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この特集では、浅田真央選手、安藤美姫選手をはじめとする注目選手の活躍や最新情報など、フィギュアスケートにまつわる様々なレポートを写真とともにお届けします。
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フィギュアスケート特集

佐藤信夫コーチインタビュー〈4〉 村主章枝とともに、ふたたび

fumie2a●村主章枝とともに、ふたたび

 2月末、新横浜での練習を見て何よりも感じたのは、村主章枝の精神的な充実だ。荒川、安藤と世界選手権代表2名が先に決まってしまった、四大陸選手権で勝つしか出場への道はない。そんな試練を乗り越えて代表の座をつかみとった今。大きな舞台に立てる喜びと、あとはやるしかない! という強い決意のようなものが、彼女の滑る「カルメン」からは漂っていた。
 演技のキレの良さには定評があったが、「カルメン」の切れ味はさらにいっそう増している。音楽がかかったとたんにその世界に没頭する、気持ちの入れ方が他の選手とはまるで違う。最初のポーズからして、見ている者に身震いさせてしまう。さらに、どんなに強い女の感情をむき出しにしても、どこかにあどけなさが残る、という彼女独自のカルメンの魅力も際立ち始めていた。
 佐藤コーチの元に戻り、彼女の中で何かが吹っ切れたのかもしれない。練習を見て、そんなことを感じた。

――章枝さんも佐藤先生のところにやって来て、長くなりますね。
佐藤 いや、そんなには長くはないですよ。2000年のシーズンからでしょう? 00年のシーズンに初めて僕は彼女を全日本に出して、結果的には3位で世界選手権代表には選ばれなかった。でもその翌年のバンクーバーの世界選手権には、初めていっしょに行ったんです。行けなかった世界選手権が2000年で、シーズンはその前の年からだから……ややこしいね、スケートは(笑)。99年に彼女が来たのかな、今年は2005年? 

――それでも6年も経ってますよ。長いじゃないですか!
佐藤 6年に……なるんですか。

――短く感じられましたか。あっという間でしたか?
佐藤 そうですね、はい(笑)。やっぱり無我夢中でやってきましたたから。

――今回女子に注目が高まっているので、初めてテレビでフィギュアスケートを見る、村主章枝を見るという人もいると思うのですが……先生から見て、村主さんの演技の魅力はどんなところでしょうか?
佐藤 魅力……うーん、そういうふうに見られればいいんですけれど(笑)。やっぱりいつも「もうちょっと何とかならないの?」「もうちょっとどうにかしてよ」という目で見てるものですから。みなさんから「村主さん、ここが素晴らしいね」なんて言われてみれば「そうかな、、うん、素晴らしいな」なんて気づいたりもします。やはりみなさんたちの方が、選手を先入観なく見られると思いますよ。我々だったらどうしても、「この子にはこうなって欲しい」という思い入れがすごくある。だからあんまり冷静には見られないです。

――ではコーチと選手という関係では、村主さんぐらい大人になると、若い選手に比べれば多少やりやすい面はありますか?
佐藤 いや、それでもやっぱり「何でそういうことになるの、君は?」なんて、彼女に関してもわからないことはいっぱいです。彼女もまだ若くて、気持ちが大きく揺れ動くことはしょっちゅうあるから。

 村主章枝が自分のところに戻ってきたことをうれしく思うか、そんな不躾な質問もしてみたが、佐藤コーチはただだまって、にこりとするだけだった。まだトリノオリンピックに彼女が行けるのか、それが佐藤コーチと一緒なのかどうかはわからない。だが、きっともう一度ふたりであの場所へ……外には出さない気持ちが、佐藤コーチにはあるのだろう。
「それはやっぱりね……。彼女は、努力をしてきてますから」

fumie3m ところで今シーズン後半、新横浜プリンスホテルスケートセンターには、日本を代表する3人の選手が、奇しくも集まってしまった。名古屋から新幹線で通いながら佐藤信夫氏に師事する安藤美姫、アメリカから帰国し、再び新横浜をホームリンクに選んだ村主章枝、そしてメインコーチはロシア人のタチアナ・タラソワだが、日本滞在時には佐藤久美子コーチの指導を受けることになった荒川静香。この3名である。取材時、荒川静香はタラソワコーチのいるアメリカ・コネチカットに移動していたが、今年はじめの数週間は、3名がまさに同じリンクに揃い踏みし、火花を散らしながら練習する時期があった。この状況は選手たちに、どんな影響を与えたのだろうか?

――3人のナショナルチームメンバーが新横浜に集まってしまった。荒川静香さんも先生の奥様、佐藤久美子コーチについているわけですから、3人が3人とも「佐藤チーム」ということに……。これはちょっと珍しいことですよね。
佐藤 はい。正直に言って……ものすごく難しい状況です。もうどうにもならないほど難しいことで、コントロールする我々の方は、とてつもなく大変です。

――彼女にこれを教えて、彼女にはこれ教えて……と。
佐藤 そう。そうしているうちにどこかで分裂してしまいそうになる。普通はそうなることの方が多いでしょうね。だから一般的には、ここまでレベルの高い選手は同じリンクにいないものです。ソルトレイクの前も、そういうことがありましたが……(佐藤信夫コーチの元に村主章枝選手、佐藤久美子コーチの元に荒川静香選手が師事。ふたりは五輪出場最後の一人をかけた練習を同じリンクでいしていた)。危険、とさえいえる状況です。

――危険……。
佐藤 指導する私たちにとっては難しいし、彼女たちは精神的にきつい。でももし選手たちがこのハードな環境を乗り越えてくれれば、ものすごくいい結果に繋がるでしょうね。レベルの高い3人が毎日毎日同じ場所にいて、猛烈に競っていけることは、やっぱり何にも変えられない素晴らしい環境ですから。

――同じ氷の上であんなふうに毎日滑っていて、やはりお互い気にしていないようでも……。
佐藤 見てますね、ちゃんと。

――それがいい刺激になるんですね。
佐藤 それはもう、どんなに立派な指導の言葉よりも、はるかに刺激があります。あの3人が滑り出したら、一緒に練習してる他の連中がそばにも寄れないような雰囲気がさーっと生まれてしまう。どうしても他の子はよけちゃう。オーバーな言い方をしたら、毎日毎日が試合のようなぴりぴりした空気になっています。でもそれを、みんなが耐えて練習に励んでくれれば、最高の環境だと思うんです。ほんとに素晴らしい、恵まれた環境。それを私達も選手も、逆境とは考えず、味方につけるしかないですよね。

 あまりにもシビアで、同時にあまりにも恵まれた環境で練習に励んだ3選手。彼女たち3人は、誰が表彰台に乗ってもおかしくない、日本フィギュアスケート史上最強の代表メンバーであることは確かだ。
 それぞれの課題を抱えながら3人が何を成し遂げるのか――モスクワ世界選手権の行方を見守りたい。


(写真上:ホームリンク新横浜スケートセンターでの村主章枝選手。佐藤コーチとのマンツーマンレッスンを終えて)
Photo by  K.Asakura
(写真下:佐藤信夫コーチ、佐藤久美子コーチ門下の3人の日本代表。そろって表彰台に立った03年全日本選手権。この当時、荒川静香選手はアメリカのリチャード・キャラハンコーチに師事していた)
Photo by  M.Morita

●女子シングル試合日程(日本時間)

3/16
16.00 予選 (フリー)

3/18
19.30 ショートプログラム

3/19
19.30 フリースケーティング
23.15 表彰式


フジテレビ、関西テレビ系列で放映あり。
CS J SPORTSではフリースケーティングを生放送。


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はじめまして。レポート、楽しく読ませていただいてます。
フィギュアスケートファンとしては、渡部絵美さんが現役で活躍していたころからスポーツ新聞とニュース・わずかなTV放送をたよりに追っかけてきた、かなり年季の入った者です。
 最近フィギュアへの関心が高まって、「文明の利器」の発達もあり、いろいろな情報を得ることができるようになってきましたが、世界選手権前に,公平なしかも熱意もある視点で、深く突っ込んだ内容のいいレポートが読めるのはとてもありがたいです。そして、伊藤みどりさんに期待とメディアの注目と重圧が集中していた時期と比べると、女子も男子も実力があって活躍も期待できる、しかも個性のある選手が日本にこんなにもいる現状はは、ファンとしては幸せな限りです。
 このあとも、レポート楽しみに待っています。そして願わくば、どの選手も、後悔することが何一つないベストの演技ができますように・・・。

投稿者: (Mar 13, 2005 2:46:37 PM)