
日本中がトリノ五輪に熱くなる毎日。コミック界でも様々な形でフィギュアスケートが描かれ、トリノ・パラヴェーラ競技場に負けない熱い戦いが誌上でも繰り広げられている。
本日発売の週刊少年マガジンでも、トリノを目指す女子高校生を主人公にした60ページの読みきり「ICE SCREAM! アイスクリーム」が登場!
作者の瀬上あきらさんに、作品の見どころ、フィギュアスケートを描く楽しさなどを聞いた。
●長期取材を通して見えてきたもの
――日本勢の活躍とともに、フィギュアスケートをテーマにした漫画を最近はよく目にしますが、瀬上さんはずいぶん前から取材を始めていらっしゃいましたよね。一昨年の野辺山合宿取材でごいっしょしたことを覚えています。
瀬上 初めての取材は一昨年(04年)の春、軽井沢の大会でした(中部日本選手権)。浅田舞ちゃんと真央ちゃんが両方出ていて、真央ちゃんが一番、舞ちゃんが2番だったんです。
――フィギュアスケートをテーマにしようという企画は、編集の方からの提案だったとか。
瀬上 そうなんです。だから最初はどんなスポーツかも知らずに見に行って……。初めて間近で選手たちの演技を見た時は、滑る音がこんなに大きく聞こえるんだ! ってびっくりしました。その取材がすごく刺激的だったので、試合も合宿も行けるところにはなるべく行って生のスケートをどんどん見ようということで、機会あるごとに足を運んできたんです。特にスケート連盟の野辺山合宿を取材したことは、衝撃でしたね! こんな小さな子たちが、こんなきついスケジュールで合宿してる! って。野辺山合宿を見てから、作品のストーリーは主人公の成長モノにしようって決めたんです。本当に小さな頃、スケートを始めたばかりの頃から描き始めて、だんだん大きくなって試合にも出るようになって……と。
――取材を通して生のスケートに触れて、描きたいものを探っていかれた。
瀬上 漫画なので作り話ではあるんですが、作り話の中でもリアルを感じさせたい。そのためにリアルをしっかり見ておこうと思ったんです。NHK杯などの大きな試合を見れば、レベルの高い選手とそうでない選手の違いも見えて来ました。ジャンプの高さもスピードも、人によってぜんぜん違うし、選手たちの魅力もそれぞれ違う。そうして見たものが刺激になって、主人公のスケートの魅力をどうやって描いていこうか、色々と考えるようにもなりました。実在の選手を見ながら、主人公がこの人みたいに滑ったらどうなるかなあ、なんて考えたり。
――フィギュアスケートの競技そのものだけでなく、スケートに打ち込む人たちの現実のドラマにも注目されたとか?
瀬上 フィギュアスケートってとにかく続けるのが大変なスポーツですよね。恩田美栄さんが毎シーズンごとに、続けるかどうかの家族会議を開いているという話など、いろいろ見聞きして、ほんとに大変さを痛感しました。これは描き手としてはすごく興味深い点でもあるんですが……。だから主人公と家族との関わりなども、しっかり描いていけたらと思っています。
●「ICE SCREAM!」でもトリノ代表争いで火花!
――今回の「ICE SCREAM! アイスクリーム」はその本格的な連載を目指す前の、読みきり作品ということになりますね。こちらは主人公がトリノ五輪代表権を争う高校生の女の子。
瀬上 今回は連載とはまったく違う実験的な作品で、フィギュアスケートを主軸にしたラブコメになります。恋愛が中心なので、主人公が思いっきり滑り出すのは60ページのうちラスト20ページなんです。でも現実にある大会も出てきますよ。最初の舞台が大阪のNHK杯で、ラストが東京の全日本選手権。
――おお、まさに今シーズンの日本代表選考と同じ舞台ですね。
瀬上 トリノ代表になるために、女の子がプログラムを変えてみる、という展開なんですけど、描いてるうちに安藤美姫さんが「蝶々夫人」に曲を変えたというニュースが……。あれ、現実に起きちゃったよ、とびっくりしました(笑)。それから主人公は4回転トウループにも挑戦します。このあたりは現実的に設定してみました。4回転アクセルではちょっと無理があるし、サルコウも実際に跳ばれてはいるけど易しいジャンプじゃない。でもトウループなら女の子が跳んでも無理のない4回転かもしれないな、と。
――プログラム変更、4回転ジャンプ、ちょっとずつ、今のトリノ代表選手たちを髣髴とさせますね。
瀬上 でも高校生である主人公のコーチが高校生だったりして、ファンタジーの要素も大きいんですよ。漫画なので色々と無茶なことも描いてますが(笑)、フィギュアスケートファンのみなさんには、漫画だからと笑って読んでもらえれば。それからフィギュアスケートなんて見ないというマガジンの読者の方には、漫画を読んで楽しそうだな、と感じてもらい、競技も見てもらえるようになればいいな、と思っています。拙い作品で反省点もいっぱいなんですが、ずっと取材を続けてきて、今回初めてフィギュアスケートを絵に起こしてみたんです。これが現時点で私に描けたベストのものなので、ぜひ楽しんでもらえればうれしいです。「ICE SCREAM!」をきっかけに、今後、もっと面白いものを描いていければ!
――今回はまず60ページの読みきり。もし今後、連載として瀬上さんがフィギュアスケート漫画を描くとしたら、どんな展開に?
瀬上 来シーズンのシーズンインにはぜひ間に合わせたいですね。次の冬から4年間かけて、主人公がオリンピックに向けて成長して行く過程を描けたら……。2010年、バンクーバーのオリンピックの頃、主人公もオリンピックに行く、という展開になればいいなあ。(続く)
*作品紹介*
「ICE SCREAM!(アイスクリーム)」 瀬上あきら
週刊少年マガジン11号(2月15日(水)発売) センターカラー60P
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