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フィギュアスケート特集

2006全日本選手権 男子シングルSP・町田樹7位 初めての全日本選手権

Machida3
 日本中のフィギュアスケーターの、思いとエネルギーが集結するこの日。
 これが最後の全日本選手権、という選手もいれば、これが生涯初の全日本選手権、という選手もいる。
 11月の全日本ジュニアで初優勝し、みごとにシニアの全日本出場権を特別枠で勝ち取った町田樹(まちだ・たつき 倉敷翠松高校)もそのひとりだ。

 でもリンクに彼が出てきた瞬間、本当にこの選手は全日本初陣だろうか、と目を疑ってしまった。
 中央でポーズをとる前に、ぱっと客席に向かって手を広げ、「行きます!」と宣言するかのように人々を見渡す。そのあまりに堂々とした態度に、思わず拍手せずにはいられなかったほどだ。
「全日本ジュニアと全日本じゃ、全然雰囲気が違うなーと思いました。でもお客さんの盛り上がりは、地元(広島)だったジュニアの時の方がすごかったんです。だから、あんまり緊張はしませんでした」
 と、なんだか憎らしいほどに冷静。
 プログラム序盤、高さがあって、良く跳ぶなあ! と見とれてしまうコンビネーションジャンプも、
「ミスじゃないから良かったけれど……3回転-3回転が3回転-2回転になってしまって残念です。全日本に向けて3-3のジャンプに賭けてきたので。一番、お客さんに見てほしかった」と悔しさを見せる。
 しかしその後のトリプルフリップとダブルアクセルは成功! ジャンプだけでなく、ジュニアの選手にはずいぶん手ごわそうなエニグマの「Push the limits」、こんな曲さえも時に無機的に、時にパッショネイトに、自在に表現してみせる様もさすがだ。
「ショートの曲は今シーズン2年目なので……そこまで難しくは感じていません。3回転-3回転が入らなかったことを引きずらずに、気持ちを切り替えて、最後までのびのび滑ろうとがんばりました。トリプルフリップが決まったあとは、自分でも乗って滑れたので良かった!」
 ジャンプとともに自信があるというステップは、ツイヅルもイーグルも流れるように織り込んでいくサーキュラー、たっぷり踊ってみせるストレートライン。ともに観客の手拍子を誘う。
 この夏休みにはアメリカへの短期留学でラファエル・アルトゥニアンやアンソニー・リュウの指導を受けたというが、「ポスト高橋大輔」との呼び声も高い「見せる力」に、さらに磨きをかけてきたようだ。
 課題だというスピンも、変形のシットスピンなどはきれいに広げた手のひらが印象的で、技術的な巧さ以前に「見せるスピン」を心がけているよう。

 大本命といわれた無良崇人を破り、全日本ジュニアチャンピオンは俺だ! と宣言しているような滑り。見せられたこちらは、さすが全日本ジュニアチャンピオン! と唸りたくなるようなショートプログラムだった。
「でも、それほど満足はしていません。ただ、ジュニアチャンピオンとしてふさわしい滑りをしようと思って……。これだけのお客さんが見ているなか、自分の滑りが出来てよかったです」
 最後はそのお客さんに向かって、自分を覚えてほしい、とばかりに、しっかりとあいさつ。
 確かに、関西大学のオープニングセレモニーで見せたショーナンバーの華麗さ、全日本ジュニアで見せた空気が切れそうな滑りに比べれば、まだまだ町田樹全開! とはいえないかもしれない。
 でも、初めての全日本選手権。初めて彼を見る人も多いこの会場で、新ジュニアチャンピオンのお披露目としては十分なインパクトだ。狙っていたという最終グループ入りこそならなかったが、表彰台をかけて多くの選手がひしめくなかでの、堂々の7位。
「全日本に出て……僕もまだまだ! と思いました。これからがんばって、少しでも高橋選手、織田選手に近づけたら! 明日のフリーでは挽回できるようにがんばります!」
 ふてぶてしいまでのチャレンジャーぶり。しかし決して奢らず、次に向かってもう切り替えられた気持ち。
 明日のフリーで、その先の様々な試合で。町田樹、まだまだ見せてくれそうだ。

写真/Keiko Asakura  文/Hirono Aoshima

*町田樹選手のインタビューは2月発売予定の「フィギュアスケートDays Vol.2」に掲載予定です


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