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フィギュアスケート特集

男子シングルSP終了 神崎範之7位 

Spkanzaki
 神崎範之がリンクに現れた時、「待ってました!」の雰囲気はなかった。もちろんコロラドの観客たちはどの選手にもあたたかいけれど、ライサチェクやブラッドリーのような、おなじみの選手を迎える高揚感は、ない。なんといってもISUチャンピオンシップ、初出場。まだほとんどの人が、彼のことを知らないのだ。
 そんな、客人を迎えるような空気が一変したのは、彼が最初のトリプルアクセルを、美しく、かつ豪快に決めたときだ。
「ワーオ!」「やった!」
 隣の席でくまのぬいぐるみを抱えて観戦していた女の子と、同時に大きな声を上げてしまって、思わず顔を見合わせて笑ってしまった。日本のファンにはすっかりおなじみのあの、トリプルアクセル。今日はなんと6名ものジャッジが+2をつけている! GOEも+1.57と、出場選手中最高の評価。今日最高のトリプルアクセルだと、国際ジャッジにも高く評価されたのだ。
 もうこんなアクセルを跳ばれてしまったら、コロラドのスケートファンたちも目が離せない。駘蕩と流れる「ボレロ」の調べに乗って、軽く、舞うようなサーキュラーステップ。体を上下に激しく、そしてしなやかに動かしながらリンクを斜めに貫いていくストレートラインステップ。3つ目のジャンプ、ルッツの転倒はおしかったが、それもあまり気にならないほど。もう、「ボレロ」に思い残すことのないよう、存分に神崎範之はこのプログラムを楽しみ、彼の世界に私たちを引きずりこんでくれた。
「ねえ、彼のこと、知ってるの?」
 私の反応を見て、おそらく自身もスケーターであろう女の子は、興奮気味に聞いてきた。
 知ってるよ! 彼はノリユキ。日本のナショナルで4番で、トリプルアクセルが得意。コロラドの先生に振付けをしてもらってるんだよ。うれしくて、ついつい聞かれてもいないことまで答えてしまう。
 そして彼はたぶん、これがラストコンペティションなんだよ……。
「Really? But he is great!  またフリーで彼を見られるんだよね!」
 異国の地で、日本のスケーターを見ていてとても幸せに思うのは、こんなときだ。
 
写真/Leah Adams   文/Hirono Aoshima


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