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フィギュアスケート特集

世界ジュニア選手権直前レビュー(3) 水津瑠美・無良崇人「シニアと隣り合わせのジュニア」

Rumi_mg_0802  次にご紹介するのは、初出場時(03年)の13位から毎年順位を上げ、今季とうとう全日本ジュニアを制した女子シングル代表、水津瑠美(駒場学園高校)。
 彼女のことは、シーズン序盤に日本で開催された日米対抗で知ったという人も多いかもしれない。ここ数年の日本のジュニア女子を制してきたのは、澤田亜紀や武田奈也といった「元気いっぱい!」なスケーターたちだった。だがこの試合に出場した水津瑠美は、彼女たちとはまた違う、シックな魅力を持つ選手だ。
 彼女は決して、ジャンプで得点を稼げるタイプのスケーターではない。ミライ・ナガスを初めとするアメリカ勢はトリプルルッツからのコンビネーションまで跳べるのに対して、彼女はまだフリップが課題、という段階。実は全日本ジュニア2位だった西野のほうが、ジャンプは難易度の高いものを跳んでいるのだ。それなのに、水津瑠美が全日本ジュニアで勝てたのは何故だろう。
「精神的な持って行き方のコツを覚えたかもしれないです。周りは気にせず、自分の中でぐっと集中してできたかな」
 全日本ジュニアの試合後に、彼女はこう話していた。これこそが、今季の彼女が得たもの。シニア選手に混じって戦う貴重な経験をきっかけに手に入れた、勝てる理由だ。
 シニアの全日本では、目標に掲げていたフリーでの最終グループ入りを遂げた。残念ながら最終グループの緊張感に耐えられずに崩れてしまったが、ここまで着実に成長してきた彼女のことだ。きっと良い経験としているだろう。世界ジュニアでは、今季シニアと隣りあわせで戦ってきた「強さ」を存分に発揮して、昨季の5位から順位を上げてくれることを期待したい。

 最後は全日本ジュニア男子シングル1位、無良崇人(倉敷翠松高校)。彼の世界ジュニア出場は3回目、今年こそはメダルを狙う勝負の年であろう。
 今季の世界ジュニアは、強敵が揃っているといっていい。得点だけで見るならば、ジュニアグランプリファイナルで200点台を叩き出したアダム・リッポン(アメリカ)を筆頭に、ボロデュリン(ロシア)、ムロズ(アメリカ)、レイノルズ(カナダ)と、無良よりも高いパーソナルベストを持つ選手がなんと10人近くいるのだ。こうして見ると、メダルなんて遠いんじゃないか――そう思う人も少なくないだろう。
 だが、彼には強い武器がある。シニアの中に入っても遜色ない、大きなトリプルアクセルだ。全日本ではSPで1本とFSで2本、計3本ものトリプルアクセルを決めた。2本目は手を付いてしまったが、1本目は大きく、そしてゆっくりと降りてくる質の高いジャンプで、GOEもプラス2.0という高評価。しかもセカンドジャンプに今までの2回転ではなく、3回転を付ける高難度コンビネーションで見せてくれた。このコンビネーションを跳べるジュニア選手は現在、世界でもほんの数人しかいない。
 実は全日本の約2ヶ月前の東日本選手権では、このジャンプはシングルアクセルになってしまっていた。その後ジャンプ指導に定評がある長久保裕コーチに師事するようになったとはいえ、これほど短期間で変わるものだろうか、と驚いてしまう。
 私たちが彼を最後に見たのは、約2ヶ月前の全日本。1月のインターハイや国体で姿を見ることが出来ず、心配したファンも多いはずだ。だが年始に報道されたケガも、今はもう大丈夫とのこと。長久保コーチの元でみっちりと、「後半になってもバテないジャンプ」を叩き込まれてきたことだろう。SP・FSを通じて安定したジャンプを跳ぶことができたなら、メダルは決して遠いものではない。そしてそのメダルは、来季シニアの世界で彼を支えてくれるものになるだろう。

photo/Sunao Noto   text/Miduka Kumakura

*写真は日米対抗2007でのフリー「ストレンジ・パラダイス」
 水津瑠美選手関連記事
 女子シングル直前 ジュニアチャンピオンに注目(2) 水津瑠美「最終グループ目指して!」
 無良崇人選手関連記事
 全日本選手権開幕直前 ジュニアチャンピオンに注目!(1) 「無良崇人の挑戦」 
 


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世界ジュニア選手権直前レビュー(2) 女子シングル代表・西野友毬「目覚めの予感」

Nishino08wjr  2人目は全日本ジュニア女子シングル2位の西野友毬(武蔵野学院)。そのジャンプ能力は群を抜いており、ノービス時代から注目されていたジュニア1年目の選手だ。
 前評判通りの素晴らしいジャンプで、彼女はジュニア1年目から目覚しい活躍を見せている。ジュニアグランプリシリーズは2戦2勝。日本選手で唯一ジュニアグランプリファイナルに出場し、さらには表彰台にも上った。
 もちろん彼女はジャンプだけではなく、スピンだってスパイラルだって柔軟性を活かした高いレベルのものを見せる。しかしやはり、今の彼女にとって一番の武器となり魅力となるのは、軸が細くて軽いジャンプだろう。その演技にはまだ、フィギュアスケートのスポーツとしての側面が強く出ている。アスリートの凛々しさには溢れているが、意識して見せているものではないのだろう。その長い脚をもう少しゆっくりと上げれば、その視線が次の一歩ではなくて客席に向けば、きっとずっと素敵になるのに、と思ってしまう。
 そんな彼女の演技が、全日本では少し変わって見えた。一つ一つの動きを丁寧に、という気持ちが見えたのだ。考えてみれば、ノービスの試合に来るのは関係者や選手の家族がほとんど。昨シーズンまでは、フィギュアスケートはスポーツであるだけでなく、観客に見せるもの、という気持ちが芽生えていなかったのかもしれない。そんな彼女がジュニアやシニアの大会で、見せることの楽しさに気付いたのだとしたら。世界ジュニアという大舞台には、目覚めの予感が待っている。その目覚めはきっと、西野友毬という選手を本当のトップ選手に導く、大切なものだ。

photo/Sunao Noto   text/Miduka Kumakura

*写真は全日本ジュニアでのSP「レイエンダ」。西野友毬選手に関する記事はこちらにも

2007全日本ジュニア選手権レポート(1)女子シングルSP 水津瑠美1位、西野友毬2位
2007全日本ジュニア選手権レポート(4)女子シングル・西野友毬2位 涙の準優勝


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世界ジュニア選手権直前レビュー(1) 男子シングル代表・佐々木彰生「大舞台で待っているもの」

_d7e4636_jr  3月に開催されるシニアの世界選手権に先駆け、世界ジュニア選手権が2月25日からブルガリアのソフィアで開催される。日本から派遣されるのは男女シングルで各2名、それからペア1組の合計6選手だ。ここではシングルの4選手をご紹介しよう。

 まずは、全日本ジュニアで昨季6位から2位へと大躍進を遂げた、男子シングル代表佐々木彰生(武相高校)。
 ジュニアグランプリシリーズのアメリカ大会や国内の東日本選手権から、じわじわと話題になっていた選手だ。年末年始のアイスショーなどでは馬の被り物や帽子を使ったチャーミングな演技を披露、全国にファンを増やしたことだろう。
 彼の魅力は何と言っても、その踊り心あふれるスケートだ。ただ滑っているだけでも観る者を引き込み、わくわくさせてしまう。全日本の6分練習では、まるでドリフトで疾走する車のように、右へ左へと大きく動きながら滑っていた。その様子から目が離せなかった観客は、少なくないはずだ。
 そして、まるで違う曲調でも踊りこなせるだけの演技の幅広さも持っている。SP「コーヒールンバ」では、キレのある動きの中にそこはかとない愁いも漂わせる、大人びたスケーター。それがFS「Robots」ではがらりと変わって、何とも楽しくコミカルなスケーターになるのだから驚きだ。これだけ違った演技を見せられる選手は、ジュニアではなかなか見られない。
 もちろん、まだ課題もたくさんある選手だ。本人も苦手だと言うフリップとループはなかなか決まらないようだし、ステップに比べたらスピンもちょっと見劣りしてしまう。大きな国際大会の経験も豊富なわけではないし、不安要素を挙げればキリが無いだろう。
 それでも、佐々木彰生という選手が世界ジュニアという大舞台に飛び込んでいくことを、多くの人が楽しみにしている。全日本で「佐々木って選手、とっても素敵なんだよ!」と言う人が日本中に増えた。それと同じことが、世界ジュニアという大舞台にもきっと待っている。そう思わせるほどの魅力が、今の佐々木彰生にはあるのだ。

photo/Takayuki Honma   text/Miduka Kumakura

*写真は全日本ジュニアでの「コーヒールンバ」。フリー「Robots」の写真と全日本ジュニアの記事はこちら

*2008四大陸選手権特集の写真も追加アップしています


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