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この特集では、浅田真央選手、安藤美姫選手をはじめとする注目選手の活躍や最新情報など、フィギュアスケートにまつわる様々なレポートを写真とともにお届けします。
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フィギュアスケート特集

リンク存続キャンペーン会見レポート 「フィギュアスケートの歴史を繋げるために」(2)

Kaiken2p1000024 【髙橋大輔選手】 
 今回、僕自身がスケートを始めたきっかけとなった倉敷のリンクが閉鎖ということになってしまいました。また、大学に入ってから練習していたリンク(明治オーツープラザスケートリンク)が数年前に閉鎖になって、その後2年間お世話になった臨海スポーツセンターまで無くなるかもしれないというお話を聞いたときは、すごくショックで……。
 自分が関わってきた場所がどんどん無くなっていくことが、まずショックです。今回閉鎖対象になっている臨海のリンクは、このフィギュアスケート人気で競技人口が増えてからも、数少ない練習場所を求めて他県からも選手たちがやって来るスケートリンクです。やはりここが無くなってしまことは、これから出てくる才能ある選手やこれから始めようと思っている子どもたちにとって、悲しい現実です。
 日本でこれだけの選手たちが、競技人口が少ないなかから出てきていることは、本当にたくさん、才能を持つ選手たちがいるということです。才能ある選手たちがもっともっと出てこられるように、この人気にのってリンクが増えていかないのが、僕はすごく不思議です。実際にリンクを経営していくこと、日本ではすごく難しいことだとわかってはいるんですが……。
 自分たちに何ができるかといえば、リンクの大切さをアピールしていくこと。僕たちもがんばりますので、皆さんのご協力をお願いします。

【村主章枝選手】
 今回、日本各地で3つのリンクが閉鎖の危機にあるとのこと。本当にフィギュアスケートがブームになっている今、ひとつとして閉鎖されては困る状況です。にも関わらずどんどんリンクが無くなっていって、海外のリンクに頼らなければいけない状況になっています。でもそれができる選手も、本当に数少ないんです。
 本田くんが今のフィギュアスケート界を作り上げ、そして荒川さんが金メダルを取られて、小さな日本の中でも少しずつフィギュアスケートの歴史を作ってきました。しかしリンクが無くなってなかなか新しい才能が出てこなくなってしまうと……。「やはり一時のブームだったんだね」って思われてしまう。そうなってしまっては、先人の方々の努力も無駄になってしまいます。
 私たち自身も次の世代に繋げていく努力をする責任がある。こうして色々な機会で訴えさせていただいて、どうかたくさんのリンクが続いていければいいなと思います。

【本田武史さん】
 僕が生まれた福島県郡山市でもリンクが無くなり(郡山スケートセンター)、仙台のリンクへ練習をしに新幹線で通う毎日を送っていたことがあります。臨海のリンクでは220名もの選手がトレーニングを積んでいまして、髙橋大輔・浅田真央を目標にしている選手たちがたくさんいます。そんなリンクが無くなってしまうと、小さな子どもたちの夢が消えてしまう。それだけはどうしても止めなければならないと思います。皆さんの力を合わせて、またプリンスアイスワールドのメンバーでもみんなで力を合わせて、リンクが閉鎖されることのないよう、訴えていきたいと思います。

 この後、スケーターたちは午後公演の準備のために席を立ったが、立ち去り際にも髙橋大輔選手は「よろしくお願いします」と何度も報道陣に頭を下げていった。

 現在、日本スケート連盟からも各自治体やJOCに訴えてはいるが、なかなか通年スケートリンクの新設には至っていないのが現状だ。東京都北区にある国立スポーツ科学センター内にも、スケートリンクは作られていない。初心者がスケートを習うにしても、トップ選手が練習に使うにしても、日本のスケートリンクは既に飽和状態となっている。村主章枝選手の言葉通り、ひとつのリンクの閉鎖でさえ、スケート界に大きな打撃となってしまう。それを食い止めるために――選手や関係者は、ひとりひとりの小さな力を集めようとしている。

text/Miduka Kumakura

*スケートリンク存続支援の署名には、以下のサイトから参加できます。
大阪府立臨海スポーツセンター存続の会
倉敷のスケートリンクの存続を願う会

*リンク閉鎖問題関連記事
西日本フィギュアスケートの危機 大阪臨海・岡山倉敷のリンク閉鎖問題
大阪府立臨海スポーツセンター閉鎖問題 大西勝敬コーチに聞く


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リンク存続キャンペーン会見レポート 「フィギュアスケートの歴史を繋げるために」(1)

Kaikenp1000022_2   プリンスアイスワールド公演期間中の5月5日、新横浜スケートセンター。
  たった1時間半しかない公演の合間を縫って、出演しているスケーター7人がスケートリンク存続を訴える記者会見を行った。出席したのは荒川静香さん、中野友加里選手、武田奈也選手、中庭健介選手、高橋大輔選手、村主章枝選手、本田武史さんと日本スケート連盟の伊東秀仁フィギュア強化部長。
 選手たちと強化部長のコメントを以下にご紹介したい。

【伊東秀仁日本スケート連盟フィギュア強化部長】
 現在、福井の敦賀(福井厚生年金健康福祉センター「ウェルサンピア敦賀」)・岡山の倉敷(岡山厚生年金健康福祉センター「ウェルサンピア倉敷」)・大阪の臨海(大阪府立臨海スポーツセンター)。全国で3つのリンクが閉鎖の危機にさらされています。様々な事情があるとは思うのですが、リンクが無くなっていくことは非常に悲しく、寂しいもの。
 今回、倉敷と臨海のリンクを存続していただけるよう、スケート連盟とこれらのリンクで滑ったことのある選手たちが協力して力になりたいということで、記者会見を行うことになりました。現在、各地で署名運動やイベントなどを行っております。全国のファンや関係者の方々はぜひ署名に協力していただき、お力を貸していただきたいと思います。

【荒川静香さん】
 私が以前滑っていたリンク(旧コナミスポーツクラブ泉・現アイスリンク仙台)も、一度閉鎖されましたが、昨年再開することができました。しかし再開までの間に、地元を離れることになったスケーター、辞めてしまったスケーター、たくさんいたと思います。その中で私ができることといえば、リンクの大切さを訴えることだと思うのですが……。
 以前フレンズ・オン・アイスというアイスショーで、リンクを奪われたスケーターを代表して2名に滑ってもらったことあがります。彼らは、リンクのある大切さ、ありがたさを感じて帰っていったと思います。小さなスケーターたちにとって、滑っているリンクを奪われることは夢を奪われるということ。仙台が無くなったときは、街頭で署名活動をして涙を流したスケーターがたくさんいました。そんな選手たちをもう目にしないために、私たちも頑張っていきたいと思いますので、リンクの存続に向けてどうかご協力をお願いします。

【中野友加里選手】
 今、日本でフィギュアスケートがブームにも関わらず、リンクがどんどん減っています。選手たちにとって練習ができない、練習場所の確保ができないことは非常に不安なことであり、今後の試合の結果も左右されてしまうこと。日本のフィギュアスケートの将来のことを考えると、荒川さんのようなオリンピックの金メダリストを目指す小さな選手もたくさんいますので、各地のリンクにはぜひ存続してほしいと思っています。

【武田奈也選手】
 私も中学校1年生のときにホームリンクを失って(新松戸DLLアイスアリーナ)、他のリンクを色々回ったり、苦労をしてきました。できたら、今の小さな子どもたちはそんな思いをしないようにしてあげたいなと思います。

【中庭健介選手】 
 自分も過去に2度、メインで使っていたリンク(スポーツガーデン香椎アイススケートセンター)が閉鎖されたことがあります。スケート選手はリンクが無いと練習が出来ません。世界と戦う選手を目指してスケートを始めた小さな子どもたちの望み、夢を最初から絶たれてしまう、それはすごく辛いことです。自分にできることはすごく小さなことですが、こうした形で選手ひとりひとりや関係者の方が少しの力を合わせれば、きっと大きく変わるのではないでしょうか。各地のリンクが存続・維持されることを心から願っています。

text/Miduka Kumakura


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大阪府立臨海スポーツセンター閉鎖問題 「存続の会」に聞く(2)

――リンクを残すために何をどう変えればいいか……そんなアイディアも出ているそうですね。
高林 ただ署名を集めて「お願いします」と言うだけでは、難しいかもしれない、と。父兄からは、例えば現在無料で使えている駐車場を有料化するなどして、経営効率を上げていく案なども出ています。府知事からも「そういう声を待っていたんですよ。存続のために、どんどん議論してもらいたい」という言葉がありました。確かに、100%今のままの状態で残してください、というわけにはいかない。運営システムをこう変えたら、もっと人が集まるかもしれない、府の負担も減るかもしれない――臨海をよく知る私たちの方から、そんなアイディアを出していき、大阪府にぶつけていこう。そんなことも考えています。

――では全国のスケートファンの皆さんからも、署名だけでなく存続のためのアイディアが寄せられたら……。
高林 とてもうれしいことです。どんな小さなアイディアも、積み重ねていけば大きな変化につながるはずです。また同時に、私たちの活動に反対している皆さんにも、理解を求めていかなければと思っています。どうしても数字だけを見て「税金でスケートの練習をしているのでは」と、おっしゃる方もいる。賛否両論出るのは仕方ないのですが、誤解は解いて行くために、私たちの実際の状況をもっとお知らせできたらと思っています。

――存続の会、今後の予定も教えてください。
高林 5月13日のイベントが終わった後、5月14日に存続の会として大阪府に陳情に行く予定です。その後に見直し試案が出るかどうかはわからないのですが、7月の府議会で正式に採決の予定だと聞いております。それまで、ぎりぎりまで、できる行動は何らかの形で続けて行ければと思っています。どうか全国のスケートファンのみなさんからのご支援、よろしくお願いいたします。

 臨海スポーツセンターでスケートを習う子供たちは、様々な経緯でこのリンクに集まっている。2年前同じ大阪の明治O2プラザスケートリンク(高槻市)が閉鎖された後、臨海を拠点にした選手の父兄は、こんなことを語ってくれた。
「02リンクが無くなったとき……臨海の皆さんが助けてくれて、選手たちはスケートを続けられました。大量に選手がやってきたのに、みんな嫌な顔を一つせずに受け入れてくれた。一緒に練習させてくれたんです。臨海が無かったら、02のたくさんの選手たちの今もありませんでした。だから絶対に、臨海は残してもらいたいんです」
 選手ひとりひとり、父兄ひとりひとりが様々な思いを抱えて、「存続の会」の活動を続けている。

*スケートリンク存続支援の署名には、以下のサイトから参加できます。

大阪府立臨海スポーツセンター存続の会
倉敷のスケートリンクの存続を願う会

text/Hirono Aoshima


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大阪府立臨海スポーツセンター閉鎖問題 「存続の会」に聞く(1)

Rinkai  臨海スポーツセンターを練習拠点としている選手たち、その父兄によって立ち上げられた「存続の会」。
 これまでも多くのスケートリンクが閉鎖の危機にあい、署名運動などで存続を求めてきた。しかし願いはむなしく、無くなってしまったリンクは数多い。大阪では今、どんな動きが起きているのか。「府立臨海スポーツセンター存続の会」の高林永統さんに話を聞いた。

――大阪府から出された突然の廃止案、選手たちも父兄の皆さんも驚かれたと思いますが。
高林 子供たちも「どうなるの? どうなるの?」と、毎日不安がっています。府の財政危機はみんな知っていましたが、青少年の利用する施設まで廃止の対象になることはないだろう……そんな雰囲気は、やはり私たちの間にありました。それが4月11日、いきなり財政再建プログラム第一試案で廃止対象にあがっていて……そこで初めて、あわてた次第です。心の準備も何もなかったので、存続の会の立ち上げも遅れてしまったかもしれませんね。同じく試案に上がっていた「ワッハ上方(府立上方演芸資料館)」の存続署名活動などを見て、私たちも何かしなければ、と動き始めたわけです。

――フィギュアスケーターだけでも、このリンクを拠点としている選手は220名。それだけの子供たちがここでスケートをがんばっていること、より多くの人に知ってもらいたい、と。
高林 はい。フィギュアスケートは毎日継続して練習することが大事なスポーツ。いつでも滑れる場所が、彼らにはどうしても必要です。私の娘にとっても、苦しんだり笑ったり、様々な思い出が詰まった場所。そこが今、急になくなるという。果たして子供たちがこの先スケートを続けられるのか……とても不安に思っています。また臨海には、フィギュアスケートだけでなく、ホッケーもスピードスケートの選手もいる。ショートトラックは何人かオリンピック選手も輩出した名門中の名門のリンクですし、ホッケーも最近目覚ましい活躍を見せるチーム(臨海ジュニアアイスホッケークラブ)があります。今、リンクを無くしてしまうわけにはいかないんです。

――さらに臨海スポーツセンターにはリンクだけでなく、体育館もありますね。
高林 そうなんです。バレーボール、バトミントン、バスケットボール……土日は様々な競技の子供たちの大会が目白押し。駐車場は車であふれかえりますし、駅からは続々と学生たちの列が続きます。彼らもまた臨海が無くなると聞くと、「困るわあ!」「来年からどうしたらいいの?」と驚きの声を上げるんですよ。これだけ多くの学生さんたち、小学生から大学生までが親しんでいる場所だということも、ぜひ知ってもらいたいですね。ほんとうに、多くの若者たちが集い、様々な思いを抱き、目標を持つ場所。ぜひともこの場所は残してあげたい、そのためにできることをしたい、と思っているのですが……。

――存続の会のホームページを見ますと、街頭での署名活動など、精力的に動いていらっしゃいます。地元の高石だけでなく、堺や難波まで出向かれて。この連休中も朝から夕方まで、連日署名呼び掛けを続けられると聞きました。父兄のみなさん、リンクへの選手の送り迎えなどで毎日大変ななか、さらに会の活動も忙しく。
高林 お母さん方が中心になって動いているのですが、やはり大阪のお母さん、パワーがあります! 口だけではなく皆さんが率先して身体を動かして、できることは全部しようと頑張っています。皆さん顔も広くて、色々なルートへの働き掛けも試みているんですよ。

――メインとなる署名活動だけではなく、さらに様々な活動をすすめられているとか。
高林 臨海のリンクを更に広くアピールするため、何かイベントを開けないか、と……。これは決まったばかりなのですが、5月13日19時から、リンクで「臨海スポーツセンター存続のためのイベント」を開催することになりました。リンクで練習している選手たちの他に、髙橋大輔選手、中庭健介選手、武田奈也選手と3選手の特別出演も決まりました。やはり様々な活動を通して、より多くの皆さんにリンクの存在を知っていただきたい。そのために、みんなで動いているところです。

*写真は臨海スポーツセンターで練習する北村明子選手、三木遥選手、淀亜紗子選手、高林史奈選手、田中刑事選手ら

*スケートリンク存続支援の署名には、以下のサイトから参加できます。

大阪府立臨海スポーツセンター存続の会
倉敷のスケートリンクの存続を願う会

photo/府立臨海スポーツセンター存続の会 text/Hirono Aoshima


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大阪府立臨海スポーツセンター閉鎖問題 大西勝敬コーチに聞く(2)

Yoshida_mg_3503 ――さらに選手たちだけでなく、臨海を拠点にスケートを教えている皆さんも、インストラクターを続けられるのか……難しい状況になるのでしょうか。
大西 それもとても心配なことです。私のようにもう歳もとって、臨海に骨を埋めるつもりだった者はまだいい。でも小関悦也、杉田由香子、巳波昌代、平池大人、林祐輔……。彼ら若いコーチたちの将来が、とても心配です。私自身が「臨海に来いよ!」と誘って、集まってくれた、いずれも日本のフィギュアスケートの未来を背負って立つ若者たち。彼らに対しても責任も感じていますし、今後のことがとても気になっているんです……。

――現在、父兄の皆さんが中心となって「臨海スポーツセンター存続の会」を発足。署名活動なども熱心にされていますが……。
大西 やはり府民の声、スケートが好きな皆さんの声を集めるのが一番効果的だろうということで、がんばってくれています。府知事は、「大阪を子供たちが笑うところにしたい」とおっしゃっていました。でもこのままリンクを無くしてしまっては、大人たちのこれまでのツケを、夢を持って頑張っている子供たちに回してしまうことになるんです。先日、子供たちが書いた存続要望書を見せてもらいましたが、スケートを楽しんでいる絵を描いたり、幼い字で「滑り続けたい」という願いをつづったり……。それはそのまま、彼らの悲鳴でした。2、3枚読んだらもう、涙で他のものが読めないくらいです。この先、彼らの願いがかなうのかどうか……。結論を下す方々が血の通った人間であることを信じて、淡い希望を持ち続けていくしかないと思っています。

――選手たちは、この状況でリンクの行く末を心配しながらも、毎日の練習はがんばっているそうですね。
大西 はい。実は僕の教えている吉田行宏が、ほんの数日前にトリプルアクセルを初めて降りたんですよ! 彼も神戸から毎日毎日、1時間半かけて臨海まで通っている選手です。いつだったかな……国体の帰りかな、彼がこんなことを言ったんです。「先生、僕ね、小さなときから『才能があるからがんばれ』ってみんなに言われてスケートを続けてきました。でも最近わかりましたよ。僕には才能なんて無いってことが」と。それを聞いて僕は「アホか!」と言いましたよ。「毎日こうやって、神戸から通えることがおまえの才能や」と。「簡単にできることや無い。凡人にはこんな大変なことできへん!」と。そうやってがんばって、辛抱してきて、やっとトリプルアクセルが降りられた。これでやっとライバルたちと並んだな、これで勝負できるわ、と皆で大喜びです。リンクがどうなるかわからない今、彼自身も不安でいっぱいの中、ほんとうによくがんばったと思います。教えている私たちにとっても、今、何物にも代えがたい喜びです。

 昨年の全日本選手権。吉田行宏選手はフリーでほぼノーミスの演技を披露し、みごと新人賞を獲得。リンクサイドで愛弟子の滑りに感極まって号泣していたのが大西コーチだ。「熱血漢で、一から育てた選手も、他のリンクから移ってきた選手も分け隔てなく教えてくれる先生です」と、父兄からの信頼も厚い。
 かつての教え子でオリンピックにも出場した加納誠さんは、現在ジャッジとしてスケート界で活躍中。平池大人さんら、大西コーチの教えを受け継ぎ、指導者となった教え子もいる。
 この日も、日中は子供たちの指導、その後はリンク存続に向けて奔走し、深夜ながら電話インタビューを受けていただいた。

*スケートリンク存続支援の署名には、以下のサイトから参加できます。臨海スポーツセンターの受付は短い期間ですが、ぎりぎりまでひとりでも多くの方の署名をお待ちしています。

大阪府立臨海スポーツセンター存続の会
倉敷のスケートリンクの存続を願う会

*「臨海スポーツセンター存続の会」で活動する父兄の声も、追って掲載予定です

*臨海スポーツセンターで練習する田中刑事選手に関する林祐輔コーチのインタビューが発売中の別冊ザテレビジョン 男子フィギュアスケート~2007-2008メモリアルブック~に掲載されています

*写真は08年全日本選手権での吉田行宏選手

photo/Sunao Noto   text/Hirono Aoshima


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大阪府立臨海スポーツセンター閉鎖問題 大西勝敬コーチに聞く(1)

 4月22日の記事でお伝えした西日本のふたつのリンクの閉鎖問題
 スケートファンの皆さんによりくわしい状況を知っていただくべく、大阪・臨海スポーツセンターのスケートヘッドコーチ、大西勝敬さんにお話を聞いた。

――大西先生は01年に難波スケートリンクが閉鎖されて以降、7年間臨海スポーツセンターで選手たちの指導に当たっていらっしゃいますね。
大西 はい。以前教えていた難波リンクが閉鎖されるときも途方にくれていまして、「これは選手たちを連れてあちこちのリンクをまわる生活になるか?」と……。しかしその時、南海電鉄の方が探してくださったのが、当時閉鎖されていた臨海スポーツセンターなんです。施設は古いもので、アスベストの問題などもありましたが、リンクも体育館も、なんとか補修していただいて、再開されたのが7年前です。

――一度近畿ブロック大会の取材でうかがったことがあるのですが、なかなか古めかしいリンクではありますね。
大西 特に選手がいない時間帯に来れば、まるでお化け屋敷ですよ(笑)。府の職員の方が先日視察に来られたのですが、午前10時という一番人が少ない時間帯でした。その状況を見られた直後、今回の廃止案が挙がったわけですが……。できれば午後の、一番子供たちでにぎわっている時間を見ていただきたかった。建物も古いのですが、2年前には大きな欠陥のほとんどの補修が終わっています。古くなった柱なども補強していただき、大きな地震が来ても大丈夫、と南海電鉄さんも保証してくれています。ボロは着れども心は錦、といいますか、古い施設でも皆で誇りを持って大切に育ててきたリンクです。

――府立の施設ですが、地元企業の支援もあって、一度は再開された施設、というわけですね。
大西 そうです。南海の方も、「ぜひこの場所を関西のスケート競技の中心地として育ててくれ」と、言って私たちに託してくださいました。県立、市立など、公立の施設でフィギュアスケートを教えること、実はとても大変なんです。選手たちはアマチュアですので利用してもいい、でも私たちインストラクターはプロですから、公営の施設で商売をしてはいけない……そう言われることもよくあります。民間のリンクの閉鎖が相次いで、公営リンクで練習する選手たちも増えているのですが、コーチの指導は受けられなくなったり……。全国のフィギュアスケーター、インストラクターは四苦八苦しながら生き延びている状況です。しかし臨海は、南海電鉄が仲立ちになってくださって、府立でありながら関西で一番安定してフィギュアスケートの練習ができる場所に。選手たちもたくさん集まってきている、そんなリンクだったのですが……。

――関西大学のリンクができるまでは髙橋大輔選手、織田信成選手もここで練習していましたし、現在もたくさんの選手のホームリンクですね。淀粧也香選手、ジュニアの吉田行宏選手、西上順三選手、ノービスの田中刑事選手……。
大西 京都の北村明子選手も練習に来ていますし、なみはやドームで全日本などが行われる際には、多くのトップ選手が事前練習に利用してくれています。また、神戸や京都、姫路のリンクが次々閉鎖されたことで、遠くからここまで通っている選手たちも。小学4年生のある女の子など、姫路から毎日2時間半かけて臨海まで練習に来ています。こうなるともう、毎日が遠足ですよ。さらには地元のリンクが閉鎖されたことで、臨海のリンクで練習するために高石市に家族そろって引っ越してきた方などもいらっしゃいます。現在、個人レッスンを受けている練習生だけでも、8名のコーチのもとで220名にもなるんです。

――220名! リンクが閉鎖されてしまった場合、その子供たちは……。
大西 多くは、スケートをやめざるを得ないでしょうね。ただでさえリンクの数が減っている今、このスケートブームですから、どこのリンクもかなりの人数の選手を抱えています。その場所へ220人が入っていくのは大変難しい。せっかく楽しんでやってきた子供たちの多くが、スケートを奪われることになると思います。ちょうど7年前、リンク再開と同時に一からスケートを始めた子供たちも、今は全日本ジュニア、全日本ノービスに顔を出すようになりました。リンクの補修も完了し、まさにこれからだぞ、という時だったのですが……。

text/Hirono Aoshima


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西日本フィギュアスケートの危機 大阪臨海・岡山倉敷のリンク閉鎖問題

Rinkaiimg_2160_morita_3 「昨日の真央ちゃん、すごかったね!」
「髙橋大輔、かっこよかったね!」
 こんな会話が学校や職場で日常的に交わされるほど、フィギュアスケートは今、人気スポーツになった。数年前には想像もできなかった数のアイスショーが全国各地で開催され、ゴールデンタイムのテレビ観戦も普通のことになった。リンクに行けばスケート教室の定員は数ヶ月先までいっぱいだ。
 それでも経営難や施設の老朽化を理由に、スケートリンクの閉鎖は相次いでいる。荒川静香さんが育ったコナミスポーツクラブ泉・アイスリンク(2004年12月閉鎖)がアイスリンク仙台として2007年3月に復活したのは、非常に稀なケース。ほとんどのリンクは営業再開されることはない。小さな頃によく行っていたスケート場が、いつの間にか無くなっていた……そんな寂しい思いをした人は、とても多いのではないだろうか。ひとつのリンクが閉鎖されれば多くの選手は遠いリンクに通うことになり、それが原因でフィギュアスケートを辞めざるを得ない選手も多い。
 今、西日本の2つのリンクでも、同じことが起きようとしている。ひとつは、3月末に髙橋大輔選手がチャリティーイベントに出演したことでも話題になった、 岡山厚生年金健康福祉センター「ウェルサンピア倉敷」。そしてもうひとつは、大阪府立臨海スポーツセンターだ。

 大阪府では橋下徹知事により改革プロジェクトチームが設置され、財政再建の一案として公共施設の廃止・売却が検討されている。その対象のひとつとして上がっているのが、臨海スポーツセンターだ。関西では貴重な通年営業のリンクであり(多くのリンクは夏季休業)、夏や週末には多くの選手たちが遠方からも通ってくる場所だ。実は髙橋大輔選手も、つい2年前まではこのリンクで練習をしていた。それほどフィギュアスケートにとって大切な場所が閉鎖の危機にさらされていることに、日本スケート連盟のフィギュア委員会も動き出した。
 4月20日に開催されたジャパンオープン記者会見場にて、伊東秀仁フィギュア強化部長から臨海スポーツセンターの存続を要望する方針が発表された。
「臨海スポーツセンターは、大阪のちびっこから強化選手まで、さらには京阪神のほとんどのスケーターたちが練習拠点にしています。ここが無くなってしまうと、関西のスケーターみなが、どこで滑っていいかわからなくなってしまう……。現在、父兄の方々が中心となって『臨海スポーツセンター存続の会』を発足し、フィギュア委員会でも全面バックアップすることとなりました。理事会の承認を得た後は、日本スケート連盟として存続要望の働きかけを行っていきます」
 大阪府は2009年度中に施設の廃止・跡地売却を実施する結論を2ヶ月後には出す予定と発表しており、伊東部長は「時間的にも大変厳しい状況」と何度も訴えた。
 また岡山でも『倉敷のスケートリンクの存続を願う会』が活動を行っている。スケート連盟はこちらについても「(存続バックアップについての議題を)理事会に提出する」ということだ。

 トップ選手を数多く生み出す地域は、大阪から東京、仙台、そして名古屋へと移り変わってきた。これはほとんど、その時代にスケートリンクが多い場所とイコールだ。どれほど才能がある子どもたちでも、年間を通して充分に滑れなければトップ選手にはなれない。浅田真央や安藤美姫、中野友加里、髙橋大輔……多くのスケーターの演技を私たちが楽しめているのは、彼らの育った場所にスケートリンクがあったからに他ならない。
 もちろんスケートリンクは、他のスポーツ施設に比べて維持するのが非常に難しい施設だ。だからこそ、公営のスケートリンクにはこれ以上減らないでほしい。
 まずは署名に参加して、一部ではなく多くの人々がリンク存続を願っていることを伝えていこう。今活躍している選手たち、そしてこれから活躍する選手たちへの感謝と応援の気持ちを込めて。

*スケートリンク存続支援の署名には以下のサイトから参加できます
大阪府立臨海スポーツセンター存続の会
倉敷のスケートリンクの存続を願う会

photo/Masami Morita   text/Miduka Kumakura


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第4回京都フィギュアスケートフェスティバルレポート

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 グランプリシリーズは3戦を終え、フィギュアスケートシーズンもたけなわ。
 国内でもさまざまな試合やイベントが、毎週のように行われている。
 去る11月11日には、京都アクアリーナにて、恒例となった京都フィギュアスケートフェスティバルが開催。京都醍醐クラブのメンバー中心のエキシビション、そして子どもたちの参加できるスケート教室も同時に催された。

 エキシビションで目立っていたのは、ノービスの宮原知子選手(写真上)。ご覧のようにまだ小さな体の小学生だが、トリプルトウループなどを入れた難度の高いジャンプ構成で、「ピンクパンサー」を披露。体重を感じさせない軽々とした滑りで、大きな拍手をもらっていた。実は宮原選手、2週間前に全日本ノービスの女子シングルBで優勝したばかり! ホームリンクを持たないクラブから、今年もまた新しいスターが生まれている。
 もうひとり、エキシビションで堂々主役を張っていたのは、京都醍醐クラブの田村岳斗コーチ。「トゥーランドット」でオープニングアクトを、「月光」でトリをと、ふたつのプログラムを滑り、なんと4回転にも挑戦。衰えないチャレンジャースピリットで、選手たちを引っ張り続けているようだ。
 他にも、スピード感いっぱいに「ウエストサイドストーリー」の世界を表現した村元哉中選手、すっかり大人の体型になり、スケートにも安定感が増した松下未瑠紅選手など、8歳のノービス選手から、28歳のコーチまで、京都のスケーターたちはこの冬も元気!

 しかし彼らは2005年9月にホームリンクの京都醍醐スケートが閉鎖されて以降、2年間、決まった練習場所を持っていない。あるときは大阪へ、奈良へ、滋賀へ、姫路へと、氷を求めて関西のあちこちのリンクをさまよわなければならず、学業との両立も体調管理も、どんどん難しくなっているという。昨シーズン、全日本選手権4位に入賞した神崎範之さんも、このクラブで育った選手。この春、惜しまれつつ現役を引退したが、もしリンクがあれば今年も選手を続けていたかもしれない、と語っていた。
 このイベントも、彼女たちの現状を京都市民に知ってもらおうと、京都府スケート連盟が企画しているもの。将来が期待できる優秀な選手がたくさんいるだけに、練習環境さえ整えば……とため息が出るばかりだ。

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 エキシビション後のスケート教室では、国際試合で活躍する選手たちも氷に降り立ち、この日初めてスケート靴を履く子供たちにも、熱心に指導をしていた。やさしく、めんどうみのいいお姉さんぶりに、いつも目が行く村元小月選手は、昨年、世界ジュニア選手権に出場。今年もジュニアグランプリのノルウェー大会で銀メダルを獲得している。今週末のグランプリシリーズ・エリックボンパールトロフィーでの滑りが楽しみな澤田亜紀選手も、身体をかがめて子供たちと同じ目線になって、一生懸命にスケートの楽しさを教えていた。
 今日、初めてスケートをした、楽しかった! そう思ってくれた子どもたちの中から、彼女たちを追いかけて世界に飛び出す選手がたくさん出てくることを。また、彼らがのびのび練習ができる場所が一日も早く確保されることを、願わずにはいられない。

Photo&Report/Masayuki Kojima Text/Hirono Aoshima


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東京女子体育大学シンクロナイズド・スケーティングクラブ演技披露レポート

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 10月22日、東大和スケートセンターに、一般営業時間途中の整氷後、鮮やかなライトブルーの衣装のスケーターたちが登場した。
 彼女たちは、東京女子体育大学のシンクロナイズド・スケーティングクラブのメンバー。
 こんなにたくさんのスケーターによるスケートを見たことのない人たちも多かったようで、お客さんは皆、フェンスにかじりついてじっと演技の行方を見つめていた。

 これまで、日本国内でシンクロの演技を披露できるのは、メダリストオンアイスなどのショーや全日本選手権など限られた機会しかなかった。
 けれど、「シンクロっておもしろい!」という観客の声を聞くたびに、選手たちの中では、シンクロをもっと多くの人たちに知ってもらいたい思いが高まってきた。

 それに、シンクロも「魅せる」スポーツ。
 少しでも「魅せる」シンクロ・スケーターとしての経験値を上げたい……そんな思いから、選手たち自らが各スケートリンクに掛け合うなどして、今、演技披露の場を増やしている。
 そのひとつが、この日の演技だった。

 7月のドリームスオンアイスのとき同じショートプログラム、サラ・ブライトマンの「A Question of Honour」……なのに、スタートの形から違う!
 さらに、随分とスピードがあり、以前にはなかった全員でのビールマンスパイラルは大迫力だ。
 たった3ヶ月で、「A Question of Honour」は、随分と違った作品になっていた。

 これまで13回連続で全日本選手権で優勝しているこのチームだが、実は今年の3月、チェコ・プラハの世界選手権に出場しているまさにそのとき、それまでのホームリンクだった昭和の森アイススケートリンクが閉鎖されてしまった。
 シンクロは、人数が多くスペースも必要となるため、シングルなどのスケーターたちと一緒のリンクで同時に練習することはできない。
 それまでは週に5回ほど、1回に1~1.5時間取ることのできた貸切練習だが、新たな拠点となった東大和スケートセンターでは週2~3回に。
 だけど、彼女たちはその厳しい現実に屈しなかった。

 まず、貸切練習の減少を補うために、毎年1度の夏合宿を2度に増やした。
 それぞれ約1週間の日程。
 最初の合宿では、オフアイスでピラティスなどで基礎体力づくりに励み、2つ目の合宿ではフリーのプログラムを作る。「スケートと体力づくり以外は、ご飯食べて寝るだけ、みたいな合宿だった」という。
 演技披露を増やしたのも、氷に乗っていられる時間を増やしたい思いからだ。

 さらに今、チームはスケーターのリクルーティングもこれまで以上に積極的に行っている。
「バッジテストの7級と6級だけでチームができちゃいそうなくらい、レベルが上がってます。ついていけなくなっちゃいそうなくらい、みんなうまい!」と言う選手もいるように、シングルの大会で何度も見たあの選手やこのスケーターも、このチームの一員としてシンクロに取り組んでいる。
「シンクロが、来年のユニバーシアード(イタリア・トリノ)の公開競技に決まったことで、一気に選手が入ってくるようになった気はしますね。ユニバに出たい、って人が多い」
 そう、シンクロは今、世界的にも注目を集め始めているのだ。
 2010年のバンクーバー五輪でも、公開競技になるのではないかともいわれている状況だ。

 もうひとつ、このチームのレベルが急激にステップアップしたのには秘密がある。
 そしてそれはなんと、貸切練習時間が減ったことと関係あるようだ。
「貸切があんまりないから、とにかく氷の上にいるときには一秒でも時間をむだにしたくない。短い時間でも集中しなきゃって。それが、実演にも生かされてるのかもしれない」

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 現在、シングルと両立しているスケーターも数名おり、うち2名は11月上旬の東日本選手権への出場も決まっている。
 シンクロの練習のほかに、また別のリンクでシングルの練習をするのは、ものすごくハードなことではないのだろうか。
「でも、ぜんぜん違うんだよね、シンクロとシングルって。ステップなどは同じだけど、シンクロはとにかく腕など上半身をすごく使う。それにみんなで一緒にリンクに立つ、それがやっぱり楽しい」
 と一人が言えば、
「もうシングルには戻れないよね。試合のときにリンクに出て行くときは、ものすごく足がガクガクするんだけど、シンクロでみんなと一緒だと、シングルのときほど怖くない。演技中、たとえば全員でひとつの円を描いているようなとき、正面の人がニコニコ笑ってこっちを見ていたりすると、こっちもなんだか笑っちゃうんだよね」

 一気にレベルアップしている東京女子体育大学のシンクロチームは、全日本選手権にむけて、毎週のように演技披露を行っている。

11月11日(土) 9:30、13:30、17:30~ アクアリーナ豊橋
11月12日(日) 15:15~ 笠松運動公園(茨城)

 11月後半以降も、まだまだ演技披露は続きます。
 一度、ご覧になってはいかがでしょうか?

文・写真/Hitomi Hasegawa

シンクロナイズドスケーティング東京女子体育大学 オフィシャルサイト 


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2005 スプリングトロフィーレポート(2)

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「私、昨日むっちゃんと一緒に練習したんだよ。でもむっちゃん、ルッツがずっとうまく跳べなくて半回転しかまわれなかったんだ……。一番得意なジャンプなのに! さっきの6分練習でも失敗しちゃってて……。大丈夫かなあ」
 試合の行われた明治神宮外苑アイススケート場は、高山睦美選手のホームリンク。いっしょに練習しているクラブの友達も、今日はたくさん応援に来ている。私たちのそばで心配そうに「むっちゃん」を見守る小学生の女の子も、自分の試合は昨日で終了。今日はクラブのお姉さんたちの応援にかけつけたのだった。
 彼女をはじめ、たくさんの友人たちの見守る中、「むっちゃん」のフリープログラムは始まった。曲は「クロアチアン・ラプソディー」。ついこの間、モスクワ世界選手権で見事チャンピオンとなったロシアのイリーナ・スルツカヤのフリープログラムと同じ音楽だ。
 小さなスケーターが近況を教えてくれたためだろうか、取材に訪れた私たちも、つい食い入るように演技を見てしまう。
まずは……。
「ステップ!」
 女の子がこっちを振りむいて叫んだ。見て見て! ここが見どころだよ! と私たちの注意を促すように。
きっと彼女は「むっちゃん」がこのステップをいっぱいいっぱい練習してきたことをよく知っているのだろう。ジャンプが得意でトリプルアクセルにも挑戦中の高山選手にとって、ステップやスピンはこれからもっともっと練習を積んでいくべきエレメンツ。でも今日の彼女のステップは、昨年の全日本ジュニアのときなどに比べると、とても軽やかだ。脚だけでなく体全体が柔らかく使えるようになっているためだろうか。しかもこのステップは、今日初めて披露するプログラムの、初めて披露するステップだというのに。
 そして次は……。
「ルッツだよ!!」
 彼女の声を聞いて、思わず「ぐっ!」とこぶしを握ってしまった。ずっと手こずっていたトリプルルッツ……跳べた! しかも高くて大きくて、切れ味もいい! そして何より着氷した後の、むっちゃんの大きな大きな笑顔! ほんとうに大喜びの笑顔だ。
 練習の時から苦しんでいた、そんなことを知っていたからこそわかる、彼女の表情の意味。小さなチームメイトのおかげで、私たちは何倍もこの試合を楽しめているようだ。
 続くスパイラルシークエンスものびのびと、様々なポジションにチャレンジ。レイバックスピンも今までよりずっと繊細な形を見せてくれる。
 むっちゃん、いい感じ! ……と思っていたら後半のコンビネーションジャンプは残念ながら一回転に。
「あそこの氷はむっちゃんにとって縁起の悪い場所なんだ。前にもコンビネーションで失敗したよ。だからきっと気になっちゃうんだよね」 
 なるほど。でも次のコンビネーションはシャルロットスパイラルの後のダブルアクセルから跳んでみせるなど、失敗のままでは終わらないガッツも見せてくれた。
「むっちゃん、良かったね!」
「うん、ルッツすごかった! 鳥肌が立ったよ!」
 ジュニア期待の星、高山睦美選手の新しいプログラムを、小さな解説者つきで堪能できた私たち。
 こんな楽しみ方も、小さな試合ならではだ。

 今年は「ジャパンワールドチャレンジ2005」が10月に、グランプリファイナルが12月に東京で開催。また、エキシビションやショーも多数企画されるなど、トップスケーターの滑りを生で見るチャンスも増えそうだ。
 でも、日本全国、身近にある小さなリンクでも、フィギュアスケートの試合はたくさん開かれている。女子にも男子にも注目選手の多い現在、かなり小さな試合でも全日本選手権クラスの実力を持った選手がひとり、ふたりと出場しているのもうれしい。
 またこうした試合なら、将来の日本のエースを探す醍醐味もあるし、ジャンプが苦手で大きな大会には出られないけれど素晴らしいパフォーマンスを見せてくれる選手にも出会える。
 テレビ観戦も楽しい。でも少しでも興味があれば、ぜひ機会を見つけて生のフィギュアスケートにふれてみて欲しい。8月末に京都の醍醐スケートが、来年3月には昭島・昭和の森スケートリンクの閉鎖が決まり、日本のスケートリンク減少に歯止めがかからない昨今。
 ひとりでも多くの人がリンクに足を運ぶことで、何かが変わる――? いや、現実はそんなに甘くはないかもしれない。けれど、フィギュアスケートファンの小さな思いひとつひとつが、いつかきっと実を結ぶ。そんな希望を抱いて、私たちはこのスポーツを応援していくしかない。

*今後のフィギュアスケート試合&イベント
5/2       四大学定期戦(明治神宮外苑アイススケート場)
5/3~5    2005プリンスアイスワールド横浜公演(新横浜プリンスホテルスケートセンター)
5/14~5/15 ムサシノ杯(東大和スケートセンター)
5/21      マスターズチャレンジカップ(サントリー東伏見アイスアリーナ)
5/22      スケートジャパン(東武川越スケートセンター)
5/28      関東学生フリー選手権(東大和)
5/25~6/26 Road to TORINO Dreams on Ice 2005(新横浜)

その他ご存知のイベントがあればお知らせください。

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●高山睦美選手ミニインタビュー
――同じクラブの武田奈也さんについで、7級女子2位。おめでとうございます!
高山 ありがとうございます。うふふふ。
――すっごいかっこいいルッツだったね。でも睦美ちゃん、昨日からルッツが跳べてなかったって聞きました。
高山 はい。全然跳べてなかったんです。今日の6分練習でも……。
――なんであんなにいきなり跳べてしまったの?
高山 うーん、なんででしょうねー。でもルッツは跳べたのに、コンビネーションが!
――あ、パンクしちゃったよね。
高山 そう……。他にも色々まだまだのところがありました。フリップは惜しかったな。次の試合では気をつけなきゃな、って思います。
――ジャンプはどのジャンプが得意ですか。
高山 やっぱりルッツ! トリプルアクセルは……まだ練習だけです。
――でも今日はジャンプだけでなくストレートラインステップも素敵でした。あのステップはどういう気持ちで滑ったの?
高山 ステップはすごいいっぱい練習したので、練習したこと、全部やらないとなーって。
――そうやっていくうちにステップもどんどん上手になりますね。
高山 はい、がんばります!
――さて、高山さんにとって、04-05シーズンはどんなシーズンでしたか?
高山 去年は初めてのジュニアで。ジュニアとして全日本ジュニアにも出たんですけど(02年、03年はノービスからの特別推薦で出場、それぞれ15位、8位)フリーでちょっとボロっちゃって。ショートはけっこう良かったのにフリーで順位が下がっちゃったんです(ショート6位、フリー9位、総合9位)。それが一番悔しかった。それから、去年ここのリンクでやったオール関東も思い出に残ってます。そのときもルッツをきれいに跳べて、いい出来で。
――ひょっとしてこのリンクでの試合が好きかな?
高山 そうかも(笑)。でも今年の全日本ジュニアは、がんばらないとなーって思います。
――じゃあ今年は今日滑った新しいプログラムで挑戦ですね。今日のプログラムはスルツカヤのフリーと同じ音楽?
高山 はい、そうです! 世界選手権の前に決めました。作り始めたのは……今年2月くらいからかな?
――このプログラムで、新しいこれからのシーズン、やりたいことはありますか?
高山 やっぱりジャンプ。3回転3回転をルッツ+ループ(一番難しい組み合わせ)で練習したりとか……。それからトリプルアクセルも練習したいです。アクセルはまだちゃんと試合で降りたことがないので。
――コーチの加賀山由果先生にもお聞きしましょう。睦美ちゃんはこう言っていますが、先生は彼女をどんな選手に育てて行きたいですか?
加賀山 むっちゃんはジャンプが得意。でもジャンプだけではこれからの試合は勝てません! やっぱり感情豊かに、きれいに滑れる選手になって欲しいと思います。滑る時は常に気持ちを出して……。そちらの課題を、これからはどんどん練習して欲しいですね。
――と、先生は言ってますよ! じゃあ睦美ちゃんは「こんな選手になりたい!」っていう、目標の選手、好きな選手はいますか?
高山 えーと、今は同じ曲なのでスルツカヤとか、あとイタリアのコストナーも好きです。
――このあいだの世界選手権、二人の滑りは見ました?
高山 はい、見に行きました。
――え、モスクワに? どうでしたか、生で見て!
高山 コストナーはやっぱり滑りがきれいで。スルツカヤもほんとうにすごい!
――いい選手を生で見るのはいい刺激になりますよね。さて、これからしばらくオフシーズンですが、その間のお楽しみは?
高山 やっぱり友達と遊ぶこととか、です。友達といっしょに買い物とかします! みんなで原宿とか渋谷とかに洋服を見に行って。
――じゃあオフシーズンは友達とも遊んでお洋服も見に行って……。
高山 でも練習も!
――練習も! そうだね。がんばるためにも体を大切にして。ケガなどは大丈夫ですか?
高山 今は足首と腰が。足首は捻挫で、腰も……前から痛めてるところがあるんです。
――やっぱりあちこち痛いんだね。それなのにがんばって小さな体でルッツ跳んじゃって……。いま、身長は何センチですか?
高山 150センチ、ないんです。いつもみんなにちっちゃいちっちゃい言われちゃうんで……もっと大きくなりたいです!

 表彰式後のインタビューのお願いに、「わーっ、どうしよう、こんなの初めて!」とはにかんでいた「むっちゃん」。まだまだ伸び盛りの14歳、体もスケートも、どんどん大きくなることを期待したい。

Photo by K.Asakura


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第7回プリンスアイスフェスティバルレポート(3)

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 新横浜のクラブにはまだまだ注目選手がたくさん。
 全員をご紹介はできませんが、レポートの最後に来シーズン期待される若い3組をクローズアップ!

 昨年の全日本選手権では、本田武史選手を抑えてショートプログラム1位。一躍注目を集めた小塚崇彦選手。お父さんの嗣彦さんはグルノーブル五輪男子シングル代表、おじいさんも日本のフィギュアスケート黎明期に活躍したスケーター、お母さんの幸子さんもコーチというスケート一家育ちで、親子二代でのオリンピック出場を目指します。見どころは何といっても両親、そして佐藤信夫コーチに徹底的に鍛え上げられた美しいスケーティング。この日は狭いリンクながらスピードもたっぷり。オープニングでは綺麗なトリプルルッツも披露しました。
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 ソロナンバーはアップテンポの男性ボーカル曲。小さなころからエキシビションなどに出演しているので、お兄さんお姉さんに混じって滑る小さな男の子、という印象が強かった彼ですが、手も足もすくすく伸びていつのまにか立派な青年に。陽気な音楽に乗ってトリプルアクセルも決めてくれました。最後の最後に転倒してしまったのは残念!

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 世界トップクラスの選手がひしめき、超激戦だった04年全日本選手権女子シングル、みごと9位に入ったのが村主千香選手。ご存知村主章枝選手の妹さんです。雰囲気もどことなくお姉さんに似ていて「丸顔の章枝ちゃん」といった印象。
 この日はタンゴのリズムにのって、大人のムードいっぱいの演技。美しいレイバックスピンやフライングキャメルのフライングにまで「情熱」を感じさせる滑りでした。村主章枝とは違う種類の、体から自然にわきでる情熱。でも、演技の最後の挨拶までしっかり丁寧で、気を抜かないところはお姉さんと一緒。おみごと!
 ちなみに衣装は村主章枝選手がアメリカのアイスショーツアー、チャンピオンズアイスで着用していたものでした(「日本女子フィギュアスケートオフィシャル応援ブック」35ページ参照)。

dance626 最後にご紹介するのはアイスダンス全日本ジュニア優勝の澤山璃奈・水谷太洋組。シングルに比べると日本では競技人口が少なく、なかなか世界のトップレベルには届かないアイスダンスですが、若い芽は着実に育っています。
 この日は「オペラ座の怪人」のナンバーにのって仮面をつけた怪人とクリスティーヌを演じたふたり。リフトが豪快で安定感あり! また美男美女でアイスダンスには欠かせない「いい雰囲気」を持っているので今後が楽しみなカップル。まだまだ日本人らしい奥ゆかしさは残ってしまうけれど、少しずつでも客席に向かって微笑むような余裕が出てくれば、どんどん魅力を放っていきそう。
 来シーズンは世界ジュニア出場が期待されます。

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 そしてこちらは村主章枝らトップ選手を中心に、フィナーレで勢ぞろいした新横浜プリンスクラブのスケーターたち。たくさんの子どもたちの中には楽しく自分のペースでフィギュアを続けている子たちもいれば、先輩たちに続いて世界のトップで戦うことを夢見ている選手たちもいます。すべての子どもたちがフィギュアスケートというスポーツにとって欠かせない存在であり、このリンクはすべての子どもたちにとって必要な場所。
 新横浜に限らず、日本中のアイスリンクに、ずっと子どもたちの笑い声が響き続けてくれることを祈らずにいられません。
 

*日本ではこの数年間、アイススケートリンクの閉鎖が相次いでいます。昨年も高橋大輔選手や織田信成選手らが練習する大阪の「O2スケートリンク」、本田武史選手や荒川静香選手が育った仙台の「コナミアイスアリーナ泉アイスアリーナ」が反対の声もむなしく閉鎖に追い込まれました。

スケートリンク閉鎖、存続運動関連リンク
O2リンク閉鎖撤回を求める掲示板  
宮城スケート競技を考える会 
『 THE END OF 新松戸DOSCアカデミー 』 レポート - 


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「お帰りなさい、章枝ちゃん」 ――第7回プリンスアイスフェスティバルレポート(1)

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 村主章枝、荒川静香、安藤美姫。世界選手権女子シングル代表3選手のホームリンク・新横浜プリンスホテルスケートセンターで、26日、小さなアイスショーがひっそりと開催された。
 このリンクのクラブでフィギュアスケートを習っているちびっこから、全日本選手権クラスの選手、そして大人まで、たくさんのフィギュアスケーターたちの発表会的なアイスショー「プリンスアイスフェスティバル」だ。
 入場者に解放されたのは観客席の片側半分だけだが、一日二回行われた公演はともに立ち見が出るほどの盛況。出演するスケーターたちの家族や友人たちにまじり、中野友加里、小林宏一、小塚崇彦ら、シニア・ジュニアの強化選手たちの今シーズン最後の滑りも見られるとあって、マニアックなフィギュアファンも大勢つめかけている。
 そんなファンたちにとって大きな大きなプレゼントがこの日はあった。出演予定者に名前のなかったはずの村主章枝が、急遽出演! プログラムの最後に演技を披露してくれるというのだ。これは取材を申し込んでいた私たちも、当日リンクに行くまで知らなかったこと。モスクワでの世界選手権、そしてサンクトペテルブルクでのショーを終えたばかりの彼女がどんな滑りを見せてくれるのか――わくわくしながら登場を待った。

 アイスショーはふだん新横浜で行われているプロスケーターのショー「プリンスアイスワールド」や全日本代表選手のエキシビション「ドリームオンアイス」「メダリストオンアイス」などとは違う、手作り感覚あふれる雰囲気。中野友加里や小林宏一などトップ選手たちのグループナンバーもあれば、まだジャンプも跳べない子どもたちがおそろいの衣装でかわいく滑るナンバー、さらに熟年世代が思い思いにゆったり滑るプログラムなどなど。リンクに所属するインストラクター、松村充や佐藤紀子らが振り付けを手がけたナンバーは、どれも純粋にスケートを滑る喜びにあふれたものばかり。普段は見られない様々な「フィギュアスケートを楽しむ形」を見せてもらった気がした。
「新横浜は私のホームリンクというだけでなく、スケートに打ち込むたくさんの人々にとって必要な場所。何とかなって欲しい」と世界選手権で語っていた村主章枝の言葉を思い出した。
 
 約2時間のアイスショーの最後に、いよいよ村主章枝が登場。
 披露したのは世界選手権のエキシビションでも滑った今シーズンのEXナンバー「アルビノーニのアダージョ」ではなく、初めて見せるまったく新しいプログラムだ。音楽はシルク・ド・ソレイユのアルバム「キダム」から「Seisouso」。白いラメの入ったトップスに黒のパンツ姿というシックな装いだが、手にしているのは彼女の魂を体から取り出したかのような鮮やかな赤いボール。
 物悲しい女性ボーカルで始まるプログラム前半は美しい滑りやスピンを堪能、途中、音楽がドラマチックなインストゥルメンタルになると、彼女の動きも一気に躍動的に。体から染み出る気品、そして内に秘めたパワー! そのどちらも持っている村主章枝の魅力を存分に見せてくれるナンバーだ。
 ボールを小道具に使って見せたペアのデススパイラルのような動きも美しく、どこからか取り出した小さなボールを観客に投げるサービスもエキシビションならではの楽しさ!
 モスクワで世界最高のスケーターたちの演技を見てきたばかりだというのに、「なんでこんないいもの隠していたの?」と驚かずにはいられない滑りだった。
 充分な滑り込みもされていて、作ったばかりのプログラムとはちょっと思えない。振付けはローリー・ニコルということだから、おそらく昨年、「『アダージョ』の他にもうひとつエキシビションナンバーを作っています」と語っていたプログラムがこれだろう。ひょっとしたら彼女はこのプログラムを、世界選手権でメダルを獲得した暁に滑りつもりだったのかもしれない。

 世界選手権で披露はできなかったけれど、これからトリノ五輪に向けてこのリンクで滑っていく、と決めた新横浜で、この素晴らしいエキシビションナンバーを初披露できたこと。ともにスケートをしていく仲間たちと同じ舞台で披露できたことは、彼女自身にとっていいシーズンの締めくくりであり、来シーズンに向けての本当にいいスタートになったのではないだろうか。
 ここ数年の不況により、日本ではたくさんのスケートリンクが閉鎖に追い込まれた。そして日本のフィギュアスケート界にとってなくてはならないはずの新横浜のリンクも、西武グループ経営改革の一環として、売却・撤退のリストにあがっている。
 このリンクをつぶしたくない、私たちのリンクを存続させたい。そんな無言の叫びも、このショーに出演したすべてのスケーターから感じられた。村主章枝自身もそんな思いを抱いて、このショーに急遽出演を決めたのかもしれない。こんなたくさんの子どもたちがスケートを楽しんでいる場所なんです。どうか無くならないで……と。

pink 村主章枝のプログラムの後、フィナーレで出演者たちは粋な演出を見せてくれた。
 まんなかに村主章枝、そのまわりに中野友加里、小林宏一、小塚崇彦、そして妹の村主千香……。新横浜プリンスクラブを代表する選手たちがそろって挨拶をしたあと、観客席の方に滑りよった全員が一度リンクフェンスの影にひそんだ。……と思ったら、いっせいに片手を挙げて跳びあがる! そう、村主章枝の今シーズンのショートプログラム「ピンクパンサー」の最後のポーズを、トップ選手たちがそろってやって見せたのだ。きっと彼女の出演が決まってから、みんなで決めた演出なのだろう。
 それはまるで新横浜の選手たちから村主章枝に向けての「おかえりなさい」の言葉のようにも見えた。モスクワ世界選手権から「お帰りなさい」、そして改めてホームリンクを新横浜に決めたことに対しての「お帰りなさい」。
 フィギュアスケートの未来を担うたくさんの選手たち、小さな子どもたちの真ん中でフィナーレのダンスを踊る村主章枝は、今シーズン見たどの表情よりも穏やかで幸せそうに見えた。

 ほんとうにお帰りなさい、章枝ちゃん。あなたのスケート人生の最後の最後まで、この場所があなたのホームリンクでありますように。

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*村主章枝選手から世界選手権特集プレゼントの公式プログラムにサインをいただきました
(荒川静香選手からもパンフレット、ポスター等にサインをいただきました)
* 5月3日~5月4日のプリンスアイスワールド(http://www.princehotels.co.jp/iceshow/)、また6月25日~6月26日のドリームオンアイスで村主章枝選手の新EXプログラムは見られるはず。必見です!
*他選手のプログラムレポートをも後日掲載します


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