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この特集では、浅田真央選手、安藤美姫選手をはじめとする注目選手の活躍や最新情報など、フィギュアスケートにまつわる様々なレポートを写真とともにお届けします。
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フィギュアスケート特集

真夏の氷上祭典 ザ・アイス2009レポート ショーは生きている(2)

Jeftheice   また、今年初めてのイベントとして観客を喜ばせたのは、2部の始まりにあった「ジェフリー・バトル主催スピン選手権」だ。「スピ~ンコンペティショ~ン プレゼンティッドバ~イミー!」とのバトルの高らかな宣言のもとに、われこそはと思うスケーターが、誰が一番長い時間スピンを回っていられるかを競い合った。賞品に釣られてかどうかは定かでないが、真剣に勝負するスケーターたちの姿や、勝者が本気で喜ぶ様子に客席は拍手喝さい。こういう時の海外スケーターの自己アピールは、是非日本のスケーターたちにも見習ってほしいもの。仕切り役のバトルがはまり役で、お遊び企画がだれることのないように、要所要所で場を引き締める才はなかなかのもの。海外ゲストスケーターである彼が、まるでホストのようになっているのに違和感がないのも興味深い。
  そして、忘れてはならないのが、ザ・アイスの十八番ともいえるコラボレーション企画だ。マッチングの妙とでもいったらいいのか。その組み合わせにはいつも感心させられる。浅田舞とベンジャミン・アゴストがしっとりとした夢のような一瞬を創り出せば、無良崇人と、アダム・リッポン、デニス・テンが若さ弾けるカッコイイスケートで会場の視線を釘付けにする。昨年に引き続いてのジョン・ケアーと小塚崇彦のコンビはますます息が合ってきたようだ。今年は浅田舞も参加してのヒゲダンス。3人の醸し出す和やかな雰囲気もまたいい。フィナーレ、シニードとジョンのケアー兄弟、チン・パン&ジャン・トン、鈴木明子、無良による動物の被り物コラボレーションはユニークに。テンと村上の高校生カップル風はさわやかに。ベルビン&アゴスト、安藤美姫、エヴァン・ライサチェクによる「ボレロ」は芸術の薫り高く。浅田真央とバトルの「アホールニューワールド」は最後を飾るのにふさわしい、フィギュアスケートの美しさに満ちたコラボレーションだった。
  観客も一緒になってのフィナーレダンスは、まさに後夜祭のノリ。出演者も観客も主催者もが一体となって、氷上の祭典は幕を閉じた。このような、作る側、観る側、出演する側、国籍の垣根をも上手に取り払ったショーに出演するのは、スケーターたち自身も楽しいだろうなと思う。
  ザ・アイスのような個性的でユニークなショーに対し、暖かい視線、厳しい視点と見る側にもいろいろとあることだろう。いまだかつてなく頻繁に、日本で世界の一流スケーターが集まるショーが開催される幸せな時代にあって、今後ショーがよくなっていくのも衰退していくのも、その未来はフィギュアスケートを愛する人たちの想いにかかっているのかもしれない。観る側、作る側、スケーターたち、それぞれの想い。よいショーになるためには、そのうちのどれひとつがかけてもだめだろう。日本のアイスショーがこれからどのような形で成熟していくのか――ザ・アイスが、来年はどんなショーになるのか――その一端を、ファンも確かに担っている。

text/Hiroko Kato photo/Sunao Noto


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世界選手権こぼれ話(3)オフリンクの選手たち 男子シングル編その2

3men010120  女子のショートプログラムがまだ始まらないころから、男子選手たちは試合が終わった解放感でいっぱい。会場のあちこちでうろうろしている選手たちを見かけます。
 まずは四大陸選手権でもおなじみ、右からジャスティン・ピーターセン選手(南アフリカ)、ルイス・ヘルナンデス選手(メキシコ)、ケビン・エルビス選手(ブラジル)。実は男子フリー後半、我々の真後ろで大騒ぎしながら見ていたのは彼らなのでした。
Cbp1010126  青い空がよく似合う爽やかな笑顔は、スウェーデンのクリストファー・ベルットソン選手。東京世界選手権の大活躍で、日本ではもおなじみに。今大会は振るわず、スウェーデンの五輪出場枠は残念ながら1枠になってしまったけれど……「バンクーバーで会えるといいね!」
 そしておなじみ、日本男子のおとぼけ3人組。織田信成、小塚崇彦、無良崇人各選手は、スペシャル対談収録のため、会場の隣にあるロサンゼルスコンベンションセンターでフォトセッション中。
「おれ、今日までにIDカード、2回忘れた!」
「僕は衣装のボタン、全部外したままリンクに出そうになった!」
Takatakanobu10129    ……はたして座談会では、日本の未来をしっかり語ってくれたでしょうか?

text/Hirono Aoshima
*3選手のスペシャルフォトセッション&座談会は、『Cutting Edge 2009 SPRING(仮・スキージャーナル刊)』に掲載予定。南里康晴選手VS鈴木明子選手の社会人対談なども収録。ご期待ください!


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男子シングル総評 吉岡伸彦強化部長&小林芳子チームリーダー

Takas10124 (小林芳子チームリーダー)
 小塚選手、リンクを降りての第一声は「ようやったー!」、って自分自身にむけて(笑)。ほんとうはもっともっと点数を取れる選手かもしれません。でも、この最終グループで滑ってここまでできたことは、収穫。来年は4回転にもチャレンジしてくるでしょうしね。今回、男子シングルは24位までの選手が全員、トリプルアクセルをフリーで入れているんです。もう、アクセルは跳べて当たり前のジャンプ。このなかで4回転を持っていれば、大きな武器になるでしょう。
 無良選手は初めての世界選手権としては、上出来。あの大きなアクセルもちゃんと2回跳べましたし、彼は「トリプルアクセルの無良」ってニックネームがついてもいんじゃないかしら(笑)。彼はちょうど一年前、最後の世界ジュニアでずいぶん苦しみました。そこからよくここまでがんばって、シニアにすんなり上がれてきたものだな、と感心しています。課題の5コンポーネンツは、これから伸びていく選手でしょう。まずはここで経験を積んで、名前を売って帰ることもできましたね。
 織田選手はやはり4回転の成功! しかもいきなり4回転-3回転。彼は降りさえすれば、すぐに後ろのジャンプ付けられるんですよ。ジュニア時代、トリプルアクセルが跳べた年もそうでした。キッチナーの世界ジュニア(05年)で、彼だけが練習グループの中でトリプルアクセルが跳べなかったのに、公式練習中に目で覚えて跳べるようになると、すぐにコンビネーションにしてしまった。4回転もこれからは、きっとコンスタントに跳んでくれると思います。
 まさに3人のチームワークで取った3枠。ふだんから3人はとてもいい雰囲気です。小塚選手と無良選手は中京大学のナショナルトレーニングセンターでいつも一緒だし、織田君はあのキャラですから、誰とでも仲良くできる。素晴らしいチームでしたね。
 
(吉岡伸彦フィギュア強化部長)
 今回の試合でわかったことは、総合得点で250点くらい出さなければ金メダルには届かないということ。そのためにはフリーで4回転は必須ですし、場合によってはショートとフリー、両方で必要になるかもしれません。また、5コンポーネンツに関しては、日本人はどうしても8点近く出すのは難しい。それよりも技術の部分で高いところを目指すことが、今まで戦ってきた日本のやり方かな、と思っています。
 そうなるとやはり、髙橋、織田から、まだ若い無良まで、この先のことを考えても、やはり4回転は大事。トップを目指すスケーターが4回転に挑まずに済む時代は、そう長くは続かないと思います。たまたま、去年と今年、そうした選手の優勝が続いただけ。スケーターはアスリートですし、より高いところを目指していく。それは当然の流れになると思います。

text/Hirono Aoshima
*写真はフリーから一夜明けて、取材のためメディアセンターを訪れた無良崇人選手、小塚崇彦選手


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男子シングル終了、無良崇人15位 ―100%彼自身―

Takahitoe4804  無良崇人の一挙手一投足から、今夜はほんとうに目が離せなかった。
 大きく決めた2度のトリプルアクセル。
 この一年でずいぶん上手になったスピン。
 力強さも軽さもあって、メリハリの利いたサーキュラーステップ。
 パワーが地の底から沸き上がって来るような、雄々しいストレートラインステップ。
 そんな生き生きとしたエレメンツだけでなく、大きく転倒したサルコウさえも、なんだかさわやかな印象がある。若さと力強さの転倒、などといったらおかしいだろうか。なんだか失敗さえも、今日の彼の、全力でぶつかったプログラムを形作るもののひとつだと思えてしまうのだ。
 それくらい、今日の「古事記」には無良崇人の気合いも魂もこもっていた。それが、うれしくて仕方がない。
「これが今の、自分の精一杯です。あまり緊張しないように心がけていたので、本当に緊張はしませんでした。先生にも『サルコウ、もったいなかったね』と言われたけれど、『よく動いてたよ』とほめてもらえた」
 精一杯の演技は、まだまだ表現技術が足りないとしても、ストレートに見る人の胸に飛び込んでくる。プログラムを通して、18歳の無良崇人の生き様や思い、それが今日はまぶしすぎるほどまっすぐに感じられた。たとえば2度目のトリプルアクセルを跳ぶ直前、彼は一瞬、胸に両手をあてている。
「まずふたつ目のアクセルを失敗したくない気持ちがありました。それからあの時間帯が、滑っていて一番しんどい。『おちつけ!』という気持ちで胸を押さえたんだと思います」
 そしてトリプルアクセル、トリプルルッツ、ループと後半のジャンプを着氷し、最後にダブルアクセルのコンビネーションを降りた時の、あの表情!
「まだ見ていないけれど、自分で見ても相当すごい顔、してるんじゃないですか(笑)。ダブルアクセルは一番苦手なジャンプ。最後の最後、もう降りるのが精一杯で、決まった瞬間には思わず『あっ』って声を出してしまってた。それくらいもう、余裕がなかったんです」
 4分30秒。プログラムの隅から隅まで、今日の「古事記」にはくっきりと彼自身の姿が投影されている。これがスポーツではなくパフォーミングアートだったら、またフィギュアスケートのそうした面を大事にするとしたら、彼は自分自身をきっちり押し隠して「古事記」の世界観を見せなければならないのだろう。
 でも今、氷の上にいるのは100%無良崇人。ジャンプを成功する姿も、転倒する姿も、彼自身以外の何者でもない。今はそれでいいと思うし、懸命に駆け抜けたシニア一年目の最後の試合、そんな彼がたっぷりと見られて、ほんとうに良かった。
「次につながる、いい試合だったと思います。アクセル2回を決められる自信がついた、という成果もあった。ぴりぴりした世界選手権の雰囲気の中、どう自分をベストの状態に持っていけるかの、いい勉強もした。スケーティングやスピードにもうちょっと磨きをかけて、5コンポーネンツを伸ばしたいという課題も見つかりました。来シーズン試合をすることが、もう楽しみになってくる、そんな世界選手権だったと思います。次はもう少し上を目指して、練習してきます! 一年がんばったら今日の自分からどれだけ差を付けることができるか、今から楽しみです」

photo/Sunao Noto   text/Hirono Aoshima


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SP終了後、無良崇人選手コメント

Takahiko0196 ――ショートプログラム、振り返ってみていかがですか?
無良 まずトリプルアクセル、跳べはしたものの、上半身が空中に残ってしまったのでちょっと怖かったですね。脚に上体がついてきてない感じで、先生も手をつくかと思ったみたいです。

――そのアクセルが無事入ったことで、少し安心しましたか。
無良 いや、ジャンプは3つ目まで終わらないと気が抜けないんです、僕の場合。先生もアクセルやばい、と思ったと。でもルッツはいい感じで跳べてたね、と。

――ジャンプ以外の見せ場も今年は増えてきましたね。
無良 先生も、今日は全体的に動きは良かったと言ってくれました。去年まではプログラムを滑る練習が比較的少なかったんです。今年はこれまで以上に、滑りこむ練習をしてきたたかな。

――リンクがNHLサイズで細長い、その影響はありましたか?
無良 中京のリンクでは氷の上にコーンを置いて練習してきました。それでも実際にフェンスがあると、狭いな、と感じますね。試合が始まるまでに慣れるための時間があったのは良かったかな。

――最近はオールバックだったヘアスタイル、今日はナチュラルでしたね。
無良 振り付けを少し変えて、頭を動かす動作が増えたので……髪の毛を固めてない方がふわっとなって感じが出るかな、と思ったんです。

――本番でも落ち着いて演技できていましたが、緊張感を抑える秘訣は?
無良 最近、J-POPを聴くようになったんです。GReeeeNの「歩み」とか、レミオロメンの「Sakura」とか。試合前に聞いて、日本語の歌詞に励まされてます。

――周囲の人からのアドバイスなどはありましたか?
無良 先生にも連盟の人にも言われたんですが、「のびのびとやってきなさい」と。その言葉が印象に残っています。明日ものびのびと滑れたら!

――初めての世界選手権ですが、お父さん(無良隆志コーチ)の順位を超えたいという気持ちは?
無良 それは今のところありません。まずはやることをやらないと、順位はついてこない。まずはやらなきゃ! と。父への電話も……する予定だったけど忘れてました(笑)。

photo/Sunao Noto   text/Hirono Aoshima 


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男子SP終了 吉岡伸彦強化部長のコメント

Nobue0489 ――ショートプログラムが終わり、小塚5位、織田7位となりましたが。
吉岡 5と7で足せば12。簡単ではないけれど、3枠に向けて十分可能性はありますね。明日またがんばります! 

――3人それぞれにまずまずのスタート、でしょうか。
吉岡 今日は3人とも、それぞれに緊張していた部分がありました。無良選手は6分練習の途中まで硬かったけれど、途中から硬さもとれて、彼なりにきちんとできましたね。織田選手はもう、スタート前まで緊張しすぎです(笑)。でも曲がかかってからはいい動きができていた。だからジャンプの転倒はなんとももったいない……。クレーンカメラを動かすためにリンクフェンスが一部切れているんですが、その部分がよく見えなかったらしいデスネ。練習ではいつもまっすぐ真ん中で跳んでいるジャンプ、今日は少し斜めに行ってしまいましたし……。でも織田君も、明日は気持ちを切り替えて、きちっとやってくれるでしょう。

――小塚選手は、日本勢最上位の5位でした。
吉岡 彼は3人の中ではいちばんリラックスできていました。ただ、フリップで慎重になってしまったのかな。ふだんはもう少しきちんと跳べています。やっぱり3人とも、それぞれきちんとできたけれど、もう少しずつできただろうな……という感じもあります。欲を言えばもう少し上の順位を、という気持ちもあるかもしれない。でも、世界選手権という場で、大きなミスもなくこの結果。明日もまたそれぞれががんばってくれれば、日本チームとしての目標も達成できると思います。

――チームとしての目標、どのくらいの成績で3枠を、と考えていますか。
吉岡 3枠、そう簡単に取れるものではない。6+7でも、3+4でも、もちろん1+2でも、取れるものならばどんな順位でも、と思っています。それぞれがきちんとやるべきことができれば、可能性は十分ありますしね。

photo/Sunao Noto   text/Hirono Aoshima 


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男子SP終了、無良崇人13位 ―堂々たる初陣―

Takahito0145  初出場とは思えないほどリラックスしている――少なくとも外野からは、SPでの無良崇人はそんなふうに見えた。
 じっくりと、誘い込むような動きから始まるオープニング。どの会場でも、決まれば絶対に大歓声が沸き上がる、大きなトリプルアクセル。3回転-3回転もステップからの3回転も、決めるべきジャンプはきちっと決めて見せたし、ただのつなぎの部分でも拍手が起きるほど、印象的な振り付けを丁寧にこなした。
 心も身体も、うまくコントロールしているな……見ている側にも初陣を見守るドキドキ感はなく、ひとつひとつのエレメンツをじっくり楽しみながら見ていられる。
「でも、初めてのシニアの大きな試合。いつもはテレビで見てるような試合ですから、緊張はしました。会場に入ったら、お客さんが多くて圧倒されたし……。6分練習を待っている間が一番緊張しましたね。でも、ここまですごく練習してきたんだから、と開き直って、やらなきゃ! と思った。練習で何をやったかを思い出しながら気持ちを整えて……。だから滑り出してからは、緊張はなかったんです」
 ほっとしたような表情。でも、この点数と順位に、満足はしていない。
「自分としてはまずまず、90点の出来。その割には点数が伸びなかったことはショックです。たぶん持っているものは全部だしたから、テクニカルスコアはこれでOKだと思う。でも初出場なので5コンポーネンツの方が……。こっちは、試合を重ねて伸ばしていくしかないと思います。これからはグランプリシリーズでも、ちゃんと成績を残していかないと」
 さすがに強豪ひしめく全日本を勝ち抜き、高校生で世界選手権代表となっただけのことはある。エースがケガをして急きょ駆り出されたピンチヒッターでもなく、数合わせで上から順番に選ばれた選手でもない。シニア一年目で彼自身がきちんと評価を上げ、自ら掴み取った代表の座だ。そしてこれからもこの場所にい続けたいのなら、無良崇人はさらに大きな努力を続けなければならない。気持ちも身体も、しっかりして当然。日本代表の一員としての、自覚を持って当然。そのくらいの誇りと責任を持って、彼らは日の丸を背負っているのか――急成長した無良崇人の演技を見て、しみじみ思った。
「フリーではこのままの勢いで、練習したことを出しきれたら。ミスなく滑りきることを目標にしたいです。順位の目標だった10位以内、ですか? フリーでがんばったら、達成できるかな」
 でも、もう少し楽しんでもいいよ、と今日の彼の落ち着きぶりを見て、声をかけたくなってしまった。オリンピックの枠のことは、先輩ふたりに任せておけばいい。そのうち彼にも、エースとして大きな大きな重圧がかかる時がきっと来る。それまではもっと弾けて、自分を思い切り出して、氷の上ではやんちゃをしてもいいくらいだ。
 いい時の無良崇人は、フィギュアスケートの枠からはみ出るくらいのエネルギッシュな演技をする。世界選手権の雰囲気にすっかり慣れることで、フリーではそんな演技が見られればいいな、と思う。
 やるべきことはしっかりやって、自身は納得の演技ができた。でもいきなり最終グループ、などという大きな重圧は掛かっていない。心強い先輩たちも、すぐそばにいてくれる。
 フリーで彼が好演技を見せるための条件はそろった。

photo/Sunao Noto   text/Hirono Aoshima 


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世界選手権こぼれ話(1)オフリンクの選手たち 男子シングル編

Mens10102  昨シーズン最終グループを滑った6人のうち、4人が引退、ケガなどでエントリーしていない今大会。男子シングルはいったいどうなってしまうのか? などと危ぶまれていたのが嘘のように、今年の男子はおもしろくてたまりません。
 熱戦のレポートの前に、選手たちのオフアイスの表情を少しだけお届けします。

 まずはショートプログラムを終えたばかり、ドロー会場での小塚崇彦、無良崇人、織田信成3選手。
 どんな試合でもどんなメンバーでも、3人仲良く席に並んでいる日本の男子選手(08年の四大陸ではこんな感じ)。
Pat0105  織田選手は最終前グループの3番滑走というクジを引き、「ええとこ引いた!」とご機嫌。3人ともこの表情なら、フリーはリラックスして臨んでくれるかも? 3選手のインタビューは『PASSION2009 フィギュアスケート男子シングルフォトブック』に掲載されています。

 記者会見後にカメラに目線をくれたパトリック・チャン選手と、フランスメディアのインタビューに答えるブライアン・ジュベール選手。試合前には、4回転をめぐりコメントを応酬しあった、などと伝えられたふたり。記者会見では、「僕たちの戦う場所は氷の上だから」とジュベール選手。

text/Hirono Aoshima
Brian0107


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大会初日(24日) 男子シングル公式練習レポート

 ひとりやふたりならともかく、ひとつの国から3人も世界大会レベルで戦える選手をそろえるのは、とても難しいことだ。勢いがあって3枠を取った国でも、送り込む3人すべてが人目を引くような選手になることなど、めったにない。ましてやエースの髙橋大輔を欠いたチームでは……。
 ところがSP前日、公式練習のリンクに立った日本勢3人は、これ以上ないほどの臨戦体制だった。4回転からのコンビネーションなどを跳び、「これを本番でやれたら、優勝しちゃうんじゃないのか?」と、報道陣を驚かせた織田信成。
 4回転への挑戦は見送ったが、振り付けのひとつひとつを凛とした表情でこなし、できる練習はすべてやってきたという自信が垣間見えた小塚崇彦。
 そして、「古事記」のメロディに乗って勢い良く動く姿は、初陣の若武者そのもの。緊張感は漲っているものの、力強く堂々とした滑りは、とても世界選手権初出場に見えない無良崇人。トレードマークの大きなトリプルアクセルも、たくさんのギャラリーの注目を集めていた。
 日本男子3人は、今まさに3本の矢。3人が3人とも「お、いいね!」とうれしくなってしまう滑りを見せてくれている。ここまで粒ぞろいのスケーターがひとつの国から揃うとは。そしてそれが日本の男子シングルだとは! 今大会はきっと、「日本男子、すごいじゃないか」――そう、世界のファンが唸る大会になりそうだ。

text/Hirono Aoshima


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PASSION 2009 フィギュアスケート男子シングルフォトブック 近日発売!

Passion2009 2006年、2007年の「COLORS」、2008年の「男子シングルメモリアルブック」に続き、男子フィギュアスケートをフィーチャーしたフォトブック「PASSION 2009」が2月中旬発売になります。
 
PASSION2009 フィギュアスケート男子シングルフォトブック

出版社: 双葉社 
発行年月: 2009年02月18日 
ISBN:9784575301045
本体価格:2,200円 (税込 2,310 円)

 髙橋大輔から羽生結弦まで、日本を代表するスケーターたち。そしてブライアン・ジュベール、エヴァン・ライサチェクら世界のトップスケーターたちの魅力を、インタビューやコラム、たくさんの美しい写真でお伝えします。

<CONTENTS>
インタビュー・レポート――エヴァン・ライサチェクブライアン・ジュベール、ジョニー・ウィアー、パトリック・チャン、トマーシュ・ヴェルネル、エフゲニー・プルシェンコ、髙橋大輔、織田信成、小塚崇彦、無良崇人 他

メモリアルインタビュー&コラム――ステファン・ランビエール、ジェフリー・バトル

インタビュー――パスカーレ・カメレンゴ、佐藤有香、フィリップ・キャンデロロ

コーチ・インタビュー――ガリーナ・ズミエフスカヤ、佐藤久美子、無良隆志

スペシャル対談  大爆笑! 織田信成VS安藤美姫、  大暴露? 小塚崇彦VS中野友加里

コラム――「男子フィギュアスケーターの顔を読む」「スターたちの素顔 アイスショーの舞台裏」
「クワドラプルジャンプ伝説」 他多数

 ジュベールが棄権したグランプリファイナルで得たものとは?
 中野友加里が明かす小塚崇彦の素顔とは?
 アマチュア復帰をめざすプルシェンコの意気込みは?
 バトルとランビエール、引退後のそれぞれの変化とは?
 そして、リハビリ中の髙橋大輔が全日本選手権を見て思ったこととは?

 伸びてきた者、ふんばる者、去っていく者、戻ってくる者、そして、復活の時を待っている者……。
 それぞれのパッションが交錯する混迷のフィギュアスケート男子シングルを、多角的な視点から解き明かす一冊です。どうぞお楽しみに!


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2008全日本選手権レポート(4)男子シングルフリー終了、メダリスト決定!

Podmma_5463s_2  織田信成、小塚崇彦、無良崇人。
 表彰台で、ちょっと照れながらはしゃぐ3人の新メダリストたちを見て、こんな無邪気な少年たちを3人も、日本代表として世界選手権に送り込んでしまって大丈夫だろうか、などと思ってしまった。
 もちろん、大丈夫だ。無良崇人はフリーでのミスこそ目だったが、トリプルアクセルの高さとパワフルさは世界トップクラスと言っていい。今日も大崩れはしたものの、トリプルアクセルを2度失敗して3度目にきちんと見せたところは、さすが。このままでは終わらないぞ、という男気を感じさせてくれた。
 しかし気になるのは西日本選手権、NHK杯、全日本選手権と、舞台が大きくなるにつれて、緊張のために演技のスケールは小さくなってしまっていること! NHK杯のフリーは評価が高かったが、あの3倍はいい演技を、彼は見せることができる。世界選手権ではぜひ、大きな舞台にパワーをもらって、今季最高の演技を見せてくれるはずだ。

 織田信成はついに全日本選手権王者として。日本の一番手として世界選手権に復帰する。もうすっかりおなじみの彼を、待っているスケートファンは世界中にいるだろう。
 しかし練習での安定感、美しさ、そしてセカンドジャンプ、サードジャンプの精度もぴか一の4回転。それが決められず、優勝はしても悔しい表情は隠せなかった。試合に出なかった一年のブランクは、やはり大きい。だが4回転をあそこまで跳べるようになった身体作りも、練習も、この1年間で積み重ねてきたものだ。空白の一年間で失ったものと得たもの、どちらが大きかったのか……世界選手権でこそ、織田信成は見せてくれるだろう。

 そして昨年同様、2番手として代表切符を得た小塚崇彦。「今年はオリンピックの出場枠がかかっています。自分が3枠とってくる。それは今シーズン初めから、目標にしていました」と、記者会見ではただひとり、気になる「枠とり」について、自ら口にしてくれた。ほんとうは優勝して、2度目の世界選手権に行きたかっただろう。ファイナルで2位に入った自信も、意地もある。銀メダリストではあるが、気持ちは1番手のつもりで。誰に言われるまでもなく、彼自身がそのつもりで、世界選手権の氷の上に立ってくれると思う。

 表彰式が終わっても、彼らのマイペースなはしゃぎっぷりは変わらない。記者会見場に入る前、自分たちのことを語る伊東フィギュア部長の会見を面白げにのぞきこむ様子など、トップアスリートというよりも、廊下で立たされて教室をのぞきこんでいる少年たちのよう。「のぶりん」「むらむら」などと呼び合われたたら、メダリストが来るぞ、と身構えていたこちらのほうが気がぬけてしまう。
 織田信成や小塚崇彦のことはすでに知っていても、こんな無邪気な3人組を送り込んでしまったら、ちょっと世界はびっくりするだろう。
「なんだこのジャパニーズボーイたちは! 3人もいるぞ!」
 オフアイスでは彼らの素直さや笑顔が、愛されもするだろう。しかしこんなに頼りなさげで、こんなにらしくない男の子たちが、氷の上に乗ったらすごい! そんな驚きを、3人そろって世界の人々に見せてくれるに違いない。
 愛されて、強い。こんなフィギュアスケートの男子代表チームは、世界にいない。どんなスポーツの日本代表にだっていはしない。

photo/Masami Morita   text/Hirono Aoshima

*3選手のインタビューは、 『日本男子フィギュアスケートFan Book―Cutting Edge2009』(スキージャーナル刊)に掲載されています


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NHK杯2008レポート(3) 男子シングル・無良崇人SP4位「代々木競技場の記憶

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 国立代々木競技場第一体育館は、無良崇人と彼を取り巻く人々にとって、ちょっと特別な場所だ。
 父である無良隆志コーチが初めて出場したNHK杯第一回大会も、79年、この場所で行われた。
 そのときシャペロンとして友人を応援をしていた女性、無良千絵さんは、今度は息子・無良崇人選手の演技を、30年前と同じシャペロンのIDをつけて見守ることになる。

 02年、ソルトレイクシティ五輪壮行のアイスショーも、ここ代々木で開催された。これは無良崇人にとって、初めてのアイスショー。ノービス期待の選手として、浅田真央、武田奈也らとともにファンたちに初お目見え、あの伊藤みどりさんもの出演した最後のアイスショーでもあった。憧れの人と、スケーターとして同じ舞台に立つことになった初めての場所。この時期、無良家のおばあさんは青山の病院に入院中。しかしかわいい孫の晴れ姿を見ようと、病院から車いすに乗って駆けつけてくれたのも、代々木競技場だった。

 その3年後の05年。今度は無良崇人にとって初めての、全日本選手権がこの場所で開催された。前年は全日本ジュニアで12位。シニアの全日本出場には手の届かない順位だった。そこから実力を上げ、ジュニアで2位をとるまでがんばれた理由の一つが、この年の全日本選手権に出たかったからだという。小さなころからよく知っている本田武史さんにとって、05年は最後の全日本選手権。絶対に間に会って、同じ舞台に立ちたかったのだ。初めて座ったキス&クライ。ちょっとびっくりした顔でぎこちなく微笑んでいたのを、良く覚えている。

 08年NHK杯。無良崇人にとっては初めてのグランプリシリーズがNHK杯で、それが30周年記念大会で、代々木競技場で開催されることを知り、彼を取り巻く人々はとても驚いたという。
 父と、敬愛する先輩が氷に軌跡を刻んだこの場所で、まずは大きくて美しいトリプルアクセルを、無良崇人は跳んだ。これから彼がトップスケーターとして雄姿を見せるたび。人は「代々木のNHK杯のショートプログラムのトリプルアクセル!」を、彼の名を覚えた瞬間として思い出すだろう。
 たくさんの人の心を、あの一本のジャンプで、無良崇人は鷲掴みにしてしまった。
 
 フリープログラム、4位につけている無良崇人にとって、ライバルは織田信成、ウィアー、ポンセロだけではない。代々木の氷の上で伝説的な名演をしたたくさんのスケーターたち、彼らに負けない演技をして、「代々木のNHK杯といえば無良崇人のフリー!」、そう人々に言わせなければならない。
 大きなライバル無良隆志、伊藤みどり、本田武史……。しか彼らは同時に、無良崇人の力を引き出してくれた大きな味方でもある。これから、無良崇人が越えていかなければならない大きな壁でもある。

photo/Masami Morita text/Hirono Aoshima

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西日本選手権レポート 無良崇人フリー2位、総合2位 時代を作る男たち 

Takahito191x6325_3   フィギュアスケート男子シングル、シーズン開幕前にはジェフリー・バトル、ステファン・ランビエールとふたりの人気スケーターが引退。残念なニュースに、男子シングルを見る楽しみがずいぶん減ってしまったようにも思えた。
 だがそれならば、僕たちの番! とばかりに、スケートアメリカでは19歳の小塚崇彦が、スケートカナダでは17歳のパトリック・チャンが優勝。ランビエール達に代わる新世代が続々と名乗りを上げ、シーズン初めから目が離せない展開になっている。
 この世代でさらにもうひとり、今シーズンに入って急成長を見せているのが、シニア一年目の高校3年生、無良崇人だ。
 2日、大阪市・大阪プールスケートリンクにて行われた西日本選手権では、織田信成に次いでショート2位、フリー2位、総合2位。しかしフリー、西日本選手権としては例年になく大入りのお客さんを沸かせ、スタンディングオベーションをも起こしたのは、無良崇人の「古事記」だった。

 滑走順は、今日のお客さんのお目当て、織田信成の演技が終わった後。まずは迫力も高さもあるトリプルアクセル-トリプルトウで、長時間の観戦の疲れが出ていた観客や報道陣、スタッフの目を一気に覚まさせてしまう。
「昨日のショートがフィンランドの試合(10月上旬)ほどいい出来ではなかったので……今日のフリーはパーソナルベストが出せればいいな、と思って滑りました」
 スピードに乗って跳ぶジャンプは、トリプルルッツ-ダブルトウ、トリプルフリップと次々成功。これぞ男子シングルの醍醐味! とうなりたくなるような高くて美しいジャンプを、これでもかと爽快に決めてくれる。出だしから良く動いていた身体は、ジャンプが連続して決まると、ますます気持ちが乗ってきて、しなやかさを増していくくようだ。中盤のサーキュラーではきっちり観客に視線を送りつつ、魂を込めつつ、見ている人を自分の懐に引きずりこむような迫力のステップを見せた。
 後半、今年は得点が高くなる時間にもう一本入れたいと語っていたトリプルアクセルも、前半のパワーをキープしたまま成功! 疲れも溜まり、きついこの時間のトリプルアクセル。しかしここで、この大きさで決めてしまうと、盛り上がりが半端ではない。見ている人もぐっとプログラムに引き込まれるし、彼自身も大きなカタルシスを感じただろう。その後は、つなぎのイーグルひとつにも色気を感じるほど、プログラムの空気に凄身が増した。
 しかし最後、これさえ決まればパーフェクトという最後のコンビネーションジャンプ、ダブルアクセル-ダブルトウ-ダブルトウ。これが惜しくも体勢を崩し、ステップアウト。一瞬彼自身も「やっちゃった……」という素振りを見せたし、客席にも「もったいない……」という空気が流れた。でも、その悔しさを振り払うように、最後の最後は素晴らしい気迫のストレートラインステップ。場内は大拍手、そのまま、フィニッシュ! わああっとなだれを打つように、お客さんが次々に立ちあがる。
 スタンディングオベーションを前に、素に戻った無良崇人は、ほんとうにうれしそうに大きく手をふった。さっきまで渾身の演技を見せていたパフォーマーは、一瞬にして高校3年生に戻ってしまったようで、そのギャップがまた爽やかで、人々はさらに大きな拍手を送った。それだけ、無良崇人は「古事記」の世界に入り込んでいたのだ。

 シーズン中はスケートの試合を見てばかりいるが、終わってしばらく、放心して取材メモを放り出したくなるほどの演技というのは、そうそうない。今日の無良崇人のフリーは、まちがいなくそんな演技、一年にほんの何度かの、仕事を抜きに「いいもの見せてもらった!」と思える演技だった。
 10月上旬の国際試合、フィンランディアトロフィーでは、シニアデビュー戦でいきなりの優勝。今年の無良崇人はかなり行けそうだ、という声は上がっていたが、ここまで魅せてくれる選手になっていたとは、嬉しい驚きだ。
「バンクーバーが終わったら、大ちゃんの世代の選手が引退して、日本の男子も少しさびしくなると思う。その時、全日本選手権を見に来た人がつまらない、と思わないように。上の選手たちに続く僕らが、世界で戦える選手になっていなきゃ、と思うんです」
 そう語ってくれたのは、この夏のインタビュー。今、世界のトップで戦う世代の、次を担う選手として、日本の男子をしっかり支えていきたいという意志表明だ。しかし今日の演技が、さらにそれ以上ができるのならば、無良崇人は上の世代に遠慮する必要など、まったくない。堂々のバンクーバー五輪代表候補として、これから2シーズン、大暴れして欲しい。

 もちろん、今日は国内戦初の4回転挑戦ということで安全運転気味だった織田信成も、4回転の調子をつかめば、やすやすと無良崇人に主役の座を明け渡したりはしないだろう。スケートアメリカを制した小塚崇彦も元気だし、スケートカナダは少し残念だったが、南里康晴もメラノカップ優勝で自信と貫禄をつけている。これから国際大会を控えている中庭健介や小林宏一の動きも楽しみだ。

 男子シングル、日本のエースは髙橋大輔だ。また、おそらくバンクーバー五輪まで、その地位は揺らがないだろうと、昨年までの彼の活躍を見て、多くの人が感じている。
 しかし、これから1年と数か月。オリンピックの3枠のみならず、日本の一番手を髙橋大輔と競うような争いを、彼らが見せてくれるとしたら……日本の男子シングル、こんなにわくわくする時代は、またとない。

photo/Koichi Nakamura  text/Hirono Aoshima 


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『日本男子フィギュアスケートFan Book Cutting Edge2009』10/14発売、10/12先行発売決定!

Ce200961776_2 今年で4冊目となる日本男子シングルのファンブック、『Cutting Edge2009』
お待たせいたしました。来週火曜日、全国書店、インターネット書店にて発売です。
また10/12より、東京フィギュアスケート選手権大会会場(明治神宮アイススケート場)にて、先行発売も決定いたしました。
待ちきれない皆さんは、ぜひ会場にて!

タイトル:日本男子フィギュアスケートFan Book Cutting Edge 2009
出版社:スキージャーナル

書店発売日:10月14日
会場先行発売日時:10月12日(16時~)、10月13日
定価:本体1800+税
ISBN:978-4-7899-6177-6
髙橋大輔ポスター付き!

【contents】
日本男子シングル11選手独占インタビュー

髙橋大輔  「落ち着いて、ゆっくりと。ちょっと賢く、一年を過ごしたい」
織田信成 「新しい自分になれたのは、去年のことがあったから」
小塚崇彦 「今までとは違う僕を見せられる、そんなシーズンになる」
南里康晴 「去年以上に厳しい今年。ひとつひとつ、結果を残したい」
中庭健介 「『頑張ってるね』じゃ、ダメ。『上手くなったね!』って言われたい」
無良崇人 「初めてのシニア、プラスになる経験を絶対にしたい。ひとつでも多くしたい」
柴田嶺 「生まれ変わります。レイジーな自分から、ストイックな自分へ」  
小林宏一 「スケートは難しい。でも今、その難しさが楽しい」
佐々木彰生 「ただの踊るスケーターじゃなく、トップレベルにふさわしい技術を」
羽生結弦 「頑張ったノービスは、もう終わった時代。今年は一からやり直しです」
町田樹  「常に考えているのは、目の前の試合のことだけ」

スペシャルインタビュー 
佐藤有香、田村岳斗、荒川静香

応援メッセージ  
今泉清保、小川彌生、本田恵美、中野友加里、安藤美姫

コーチメッセージ 
長光歌子、織田憲子、佐藤信夫、河野由美、石原美和、長久保裕、川越正大、樋口豊、阿部奈々美、佐藤亜希子、秦安曇、小泉仁

選手の皆さん、コーチの先生方をはじめ、たくさんの関係者のご協力により、今年も『Cutting Edge』、発刊にこぎつけました。史上最も日本男子シングルが熱い、今。
今を見逃したくない11人の選手たちの、冷たい氷の上に立ち続ける理由、
この場所で、この時代に、見せたいものとは?
スケーターと、スケートを愛する皆さんのための、ファンブックです。

*女子シングルファンブックの詳細も追ってお伝えいたします。
*スケートまったく関係ありませんが、写真家板東寛司さんとライター青嶋の本、『まだ恋じゃない』(メディアックス刊)も発売中。ついでにこっそりおすすめです。


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世界ジュニア選手権直前レビュー(3) 水津瑠美・無良崇人「シニアと隣り合わせのジュニア」

Rumi_mg_0802  次にご紹介するのは、初出場時(03年)の13位から毎年順位を上げ、今季とうとう全日本ジュニアを制した女子シングル代表、水津瑠美(駒場学園高校)。
 彼女のことは、シーズン序盤に日本で開催された日米対抗で知ったという人も多いかもしれない。ここ数年の日本のジュニア女子を制してきたのは、澤田亜紀や武田奈也といった「元気いっぱい!」なスケーターたちだった。だがこの試合に出場した水津瑠美は、彼女たちとはまた違う、シックな魅力を持つ選手だ。
 彼女は決して、ジャンプで得点を稼げるタイプのスケーターではない。ミライ・ナガスを初めとするアメリカ勢はトリプルルッツからのコンビネーションまで跳べるのに対して、彼女はまだフリップが課題、という段階。実は全日本ジュニア2位だった西野のほうが、ジャンプは難易度の高いものを跳んでいるのだ。それなのに、水津瑠美が全日本ジュニアで勝てたのは何故だろう。
「精神的な持って行き方のコツを覚えたかもしれないです。周りは気にせず、自分の中でぐっと集中してできたかな」
 全日本ジュニアの試合後に、彼女はこう話していた。これこそが、今季の彼女が得たもの。シニア選手に混じって戦う貴重な経験をきっかけに手に入れた、勝てる理由だ。
 シニアの全日本では、目標に掲げていたフリーでの最終グループ入りを遂げた。残念ながら最終グループの緊張感に耐えられずに崩れてしまったが、ここまで着実に成長してきた彼女のことだ。きっと良い経験としているだろう。世界ジュニアでは、今季シニアと隣りあわせで戦ってきた「強さ」を存分に発揮して、昨季の5位から順位を上げてくれることを期待したい。

 最後は全日本ジュニア男子シングル1位、無良崇人(倉敷翠松高校)。彼の世界ジュニア出場は3回目、今年こそはメダルを狙う勝負の年であろう。
 今季の世界ジュニアは、強敵が揃っているといっていい。得点だけで見るならば、ジュニアグランプリファイナルで200点台を叩き出したアダム・リッポン(アメリカ)を筆頭に、ボロデュリン(ロシア)、ムロズ(アメリカ)、レイノルズ(カナダ)と、無良よりも高いパーソナルベストを持つ選手がなんと10人近くいるのだ。こうして見ると、メダルなんて遠いんじゃないか――そう思う人も少なくないだろう。
 だが、彼には強い武器がある。シニアの中に入っても遜色ない、大きなトリプルアクセルだ。全日本ではSPで1本とFSで2本、計3本ものトリプルアクセルを決めた。2本目は手を付いてしまったが、1本目は大きく、そしてゆっくりと降りてくる質の高いジャンプで、GOEもプラス2.0という高評価。しかもセカンドジャンプに今までの2回転ではなく、3回転を付ける高難度コンビネーションで見せてくれた。このコンビネーションを跳べるジュニア選手は現在、世界でもほんの数人しかいない。
 実は全日本の約2ヶ月前の東日本選手権では、このジャンプはシングルアクセルになってしまっていた。その後ジャンプ指導に定評がある長久保裕コーチに師事するようになったとはいえ、これほど短期間で変わるものだろうか、と驚いてしまう。
 私たちが彼を最後に見たのは、約2ヶ月前の全日本。1月のインターハイや国体で姿を見ることが出来ず、心配したファンも多いはずだ。だが年始に報道されたケガも、今はもう大丈夫とのこと。長久保コーチの元でみっちりと、「後半になってもバテないジャンプ」を叩き込まれてきたことだろう。SP・FSを通じて安定したジャンプを跳ぶことができたなら、メダルは決して遠いものではない。そしてそのメダルは、来季シニアの世界で彼を支えてくれるものになるだろう。

photo/Sunao Noto   text/Miduka Kumakura

*写真は日米対抗2007でのフリー「ストレンジ・パラダイス」
 水津瑠美選手関連記事
 女子シングル直前 ジュニアチャンピオンに注目(2) 水津瑠美「最終グループ目指して!」
 無良崇人選手関連記事
 全日本選手権開幕直前 ジュニアチャンピオンに注目!(1) 「無良崇人の挑戦」 
 


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全日本選手権開幕直前 ジュニアチャンピオンに注目!(1) 「無良崇人の挑戦」  

Img_6238  ついに2007年の全日本選手権が開幕。男子24名、女子30名、ダンス1組の日本のトップスケーターたちがエントリーしているが、並みいるシニア選手の中、男女各3名のジュニアの選手たちが、特別推薦で国内最高峰の競技会に挑戦する。
 シニアの選手たちはシーズン後半の国際大会派遣や来シーズンの強化選手指定をめぐり大きな緊張を強いられているが、世界ジュニアなどの代表も決まっているジュニア勢は、いたってのびのび。この場に立てる喜びを精一杯表してくれるだろう。
 まず紹介したいのは、今年初めて全日本ジュニアチャンピオンとなった無良崇人選手。全日本ジュニア直前に練習地を慣れ親しんだ東京・神宮から名古屋に移す(現在は岡山と名古屋で練習)という大きな決断をした。
 新しいコーチ、長久保裕氏に話を聞いてみよう。
 
――無良選手、念願の全日本ジュニア優勝、おめでとうございます。フリーはちょっとだけ、残念だったでしょうか。
長久保 ほんとに、ごめんなさい、です(笑)。何とか逃げ切れてよかったな、と思います。

――長久保先生のところに移られたのはいつごろ?
長久保 今までもちょくちょくね、相談されたらジャンプを見る機会はあったんです。でも2週間くらい前かな(取材日は全日本ジュニア2日目。11月25日)。ジュニアグランプリの2戦目が終わって、重松直樹先生から相談されて……おれは別にかまわないよ、ということで引き受けたんです。

――無良選手にとっては大きな決断ですね。シーズン途中、コーチとともに練習環境も大きく変えるという。
長久保 そうですね、とりあえず学校はお休みをもらって。名古屋(邦和スポーツランド)でこの2週間はずーっと練習してきました。下宿は成瀬葉里子先生のところで。

――2週間という短い期間で、どんな練習を?
長久保 試合前のこの時期、ジャンプを本格的に直し始めて、元のジャンプを壊してしまってはいけない。だから最初のうちはあまり手をつけずにいたんです。でもどうしてもね……。ついつい、手をかけちゃった(笑)。特にアクセルですが、直しているうちにすごくいいジャンプが跳べる時と、以前までのジャンプをやっちゃう時と、両方があって、ごちゃごちゃした状態に今はなっています。だから今日もひとつ目のトリプルアクセルは新しい跳び方がでいいジャンプだったんですが、二つ目のアクセル(転倒)は、ちょっと元に戻っちゃった。

――今までのアクセルと新しいアクセル。これは、どこが違うのでしょうか?
長久保 他のジャンプも同じですが、彼はまだまだ、力で跳ぶことが多すぎますね。だからプログラムの後半、どうしてもバテるんです。ジャンプは力だけじゃなくて、リズムも使えるんだよ、と、これをもうちょっと覚えさせたいと思っています。もちろんシチュエーションによっては、力で跳ばざるを得ないこともあります。バテてきたときには、もうリズムで跳ぶ余裕もなくなり、何が何でも力で跳ぶしかない。そういうのは彼、上手なんです(笑)。でもここにさらにリズム、タイミングで跳べるテクニックを加えていけば、もっと強い。今、直し始めているところですが、簡単ではないですよ。彼自身の体がタイミングを感じ取れるようにならないと、なかなか直るものではない。

――ではこのタイミングで跳ぶ、ということを覚えたら……無良選手のジャンプも変わりますね。
長久保 うん、もっと流れが出てくると思うんですよ。今まではジャンプを降りても、そこで流れが止まってしまっていた。だからどうしても、セカンドジャンプを力任せで跳ぶしかなかった。今は途中経過なので、リズムをつかめばよく回っていいジャンプになるんですが、回りすぎて回転が余ってしまうことも多いんです。この調整もなかなか難しいのですが……こうした過程を経ていかないと、4回転にもたどりつきませんからね。でも少しずつ、ちょっとずつ、進歩してくれてるな、と感じています。

――楽しみですね! さらに名古屋では、若松詩子先生の指導も受けているとか。
長久保 はい。振付の方は、彼女に任せっぱなしです。このまま全日本まで……がんばらせてみたいと思います! もうがんばらせるしかないですね。そして彼が今ままで「何となくやってきた」スケートに、目標を持たせたい。それも、僕が持たせるのではなく、彼自身の考えた目標を持たせたい。その目標に向かって、自分で練習すべきことも、見つけていけるように。

photo/Takayuki Honma   text/Hirono Aoshima 


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日本男子フィギュアスケート オフィシャルファンブック『Cutting Edge2008』 発売!

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「オフィシャルブックまだですか? はやく読みたい!」と、無良崇人選手もお待ちかねの日本男子フィギュアスケート オフィシャルファンブック『Cutting Edge2008』、まもなく発売です。
『Cutting Edge』『Cutting Edge2007』に続き3冊目となる今年は、16歳の無良崇人選手から26歳の中庭健介選手まで、8選手のロングインタビューと多数の写真を収録。オンアイス、オフアイス、様々な表情の彼らに出会えます。

タイトル:Cutting Edge2008 日本男子フィギュアスケート オフィシャルファンブック
価格:1800円(税抜)
全国書店での発売日:12月5日
※NHK杯会場にて、先行販売中!

【contents】
髙橋大輔 金メダルのその先へ
織田信成 鳥のように飛べ
南里康晴 情熱は月の光のように
中庭健介 とどまることなき、意思
小塚崇彦 本当の1年目が始まる
柴田嶺  新たなる覚醒
町田樹  多面体の輝き
無良崇人 羽ばたく日のために

インタビュー 平松純子日本スケート連盟フィギュア部長
応援メッセージ  村主章枝、中野友加里
コーチインタビュー 長光歌子、織田憲子、河野由美、長久保裕、佐藤信夫、川越正大、秦安曇、重松直樹

佐藤信夫コーチの語る全日本選手権、日本最高の男たちの戦い 


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日本男子フィギュアスケートオフィシャルファンブック『Cutting Edge2007』発売中!

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 昨年に引き続き、日本男子シングルトップスケーター10名のインタビューと写真を収録したファンブック『Cutting Edge2007』が1月、発売されました(予定より大幅に発売が遅れましたことをお詫びいたします)。

CuttingEdge2007 日本男子フィギュアスケートオフィシャル ファンブック
ダイエックス出版刊
A4判
定価 1,890円(税込)

■インタビュー
高橋大輔 「氷の上に立つからには、ナルシストでなくちゃいけない」
織田信成 「なにごともスケート中心。その点は僕、すごいですよ」
中庭健介 「まだまだやりたいことはたくさん。今、スケートがほんとうに面白い」
小塚崇彦 「最後まで絶対にあきらめない。この気持ちだけは大事にしたい」
南里康晴 「欲しいのは力強さ。伸びたり縮んだり柔らかくなったり硬くなったり、自在な強さ」
神崎範之 「研究を続けながらフィギュアスケートも続けてこられた、そのことは僕の誇り」
無良崇人 「スケートをやめちゃったら、今の友達もなくなっちゃう。今の自分もなくなっちゃう」
柴田嶺   「リンクに立つときは、完璧じゃないとイヤなんです」
小林宏一 「もう、人のことは気にしない。自分のできることをやれば、結果は必ずついてくるから」
岸本一美 「期待をかけられること、早く演技見たいといわれることが、辛かった」

■荒川静香、日本男子スケーターのここをチェック! 
■応援メッセージ FROM 恩田美栄/本田武史 

 選手たちの考えていることや感じていることを知れば、演技の見方は変わるでしょうか?
 スケートだけを純粋に楽しみたい方には、オフアイスの素顔やオフシーズンの裏話など、ひょっとしたら邪魔になってしまうものかもしれません。
 でも、あのきらきらした演技を見せる彼は、氷の上で何を考えているのか? 
 どんな練習をしたら、あんなに気持ちのいいスケートを滑れるのか?
 彼らのスケートを見ていたら、色々なことを聞いてみたくなって、この本は生まれました。

 言葉と写真で伝えられることは、彼らの魅力のほんの一部にすぎません。
 インタビューを読んで「がんばったんだなあ」と感じたら、その何10倍、選手たちはがんばっています。
 「辛かったんだな」と感じたら、その何10倍も辛かったのでしょう。
 そして、「なんて素敵な選手なんだろう」と思ったら、その100倍、彼らは素敵な選手たちです。

『Cutting Edge2007』を読んだ方の心なかで、選手たちを応援する気持ちがちょっとずつでも大きくなるといいな、と思っています。

*女子シングルオフィシャルファンブックも、予定とは少し違う形になりますが、発刊が決定しました。
こちらも大変お待たせしてしまったことをお詫びいたします。詳細が決定次第、お知らせいたします。


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NHK杯男子シングル終了(2) なぜ日本男子は強くなったのか

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「こんなに強かったんですか?」その後に続くのは、「なぜこんなに強くなったんですか?」という問いだ。
 実は女子ほど大きな注目を集めてはいなかったが、日本の男子シングルは、高橋・織田世代に多くの優秀な選手が揃っている。
 これまでグランプリシリーズに出場したことのある小林宏一(法政大学)、岸本一美(日本大学)、今季世界の強豪と競っている南里康晴(中村学園大学)、柴田嶺(明治大学)、そして全日本本選手権でも頭角を現してきた大上偉才(日本大学)、梅谷英生(大阪大学)、ジュニアで引退はしてしまったがダンサブルな演技で楽しませてくれた前川忠儀。これだけのスケーターが85年~87年生まれ世代にひしめき合い、全日本ジュニアで、インターハイで、国体で、表彰台争いを繰り広げてきた。高橋大輔だけは少し早くシニアに上がってしまったが、彼以外のメンバーは試合のたびに順位が変わる団子状態。世界選手権4位の織田信成さえも、世界ジュニアの代表になれなかった、そんな層の厚さだ。
 彼らの誰もが、スケートでは誰にも負けたくないと思った。ライバルより少しでも難しいジャンプを、少しでも速いスピンを手に入れようと、せめぎあってきた。そんな時間とともに、日本男子の黄金時代は、選手たち自身が手繰り寄せてきたものだと私は思う。

「そうやって強くなって世界に出たとき。トップにいる日本人が『ひとりじゃない』ってことが、強さの秘密のひとつだと思いますよ」
 そう語ってくれたのは元全日本チャンピオンの田村岳斗さん。国際大会という緊張みなぎる場に立つとき、たったひとりの肩に日本代表の期待がかかってしまうこと、それは選手にしかわからない大きな重圧だという。本田武史さんも以前話してくれたことがある。
「僕も世界選手権、ひとりで出るときよりも岳斗や洋輔(竹内洋輔さん)といっしょに出るほうが、どれだけ心強かったか」
 表彰台での日本男子3人、和気藹々としたあの雰囲気を、見ただろうか。そして滑り終えた高橋大輔をリンクサイドで笑顔で迎える織田信成、小塚崇彦の姿。みんなで大きな舞台に立つことの喜びを感じ、そして同時に「仲良しだけど、負けたくない!」というポジティブなライバル心を持っている。
 ひとりではない、頂点を目指して競っていく誰かがいる限り、彼らはもっともっと伸びていく。

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 そして今年のNHK杯の会場には、これまで日本の男子シングルを支えてきた、たくさんの元選手のみなさんを見ることができた。2002年、ソルトレイクシティ五輪代表を競った本田武史さんはテレビ解説者として、竹内洋輔さんはスケート連盟スタッフとして、田村岳斗さんはコーチとして、岡崎真さんはテクニカルスペシャリストとして、それぞれの立場でスケートに関わりながら、日本男子の今の戦いを見つめていた。
「本当に面白い試合でした。俺、辞めてよかったなあ(笑)。絶対かなわないよ!」(田村さん)
 ひとつ前の世代では、天野真さんがカナダのパトリック・チャン選手のコーチとして、藤井辰哉さんが連盟強化部スタッフとして。さらに遡れば大会実行委員を務めた五十嵐文男さん、「豊の部屋」で選手へのインタビュアーとしてもお馴染みとなった樋口豊さん、そして小塚崇彦選手を育てた小塚嗣彦コーチ、佐藤信夫コーチ……。
 ビッグハットで後輩たちを見守ったかつてのトップスケーターたちから、脈々と受け継がれてきたもの。手探りでスケートをはじめ、体格の上でも文化的にも決して日本男子に有利ではないこのスポーツで、世界と戦ってきた人々の努力の積み重ねの上に、今回の快挙はあったのではないかと思う。
 高橋大輔、織田信成、小塚崇彦。彼らは日本男子シングルの歴史に確かな一ページを加えた。そのことを誇っていい。

 しかし日本男子シングル。まだまだこの系譜に連なりたいと願う、あの舞台に立ちたいと願うたくさんの選手たちがいる。
 前述の高橋・織田世代だけでなく、ベテランの中庭健介(パピオクラブ)、神崎範之(京都大学大学院)。刺激を受けて育ってきた下の世代の鳥居拓史(明治大学)、町田樹(倉敷翠松高校)、無良崇人(駒場学園高校)。全員が一同に介して競う全日本選手権が、今月下旬、開催される。
 フィギュアスケート、今シーズンは男子シングルにも注目。
 いや、男子シングルこそが、今、見逃せない。

写真/M.Morita 文/H.Aoshima

*コメントを寄せてくださった田村岳斗さんへのインタビューが、下記のサイトにて公開中です。
iPodがスポーツを楽しくする 田村岳斗インタビュー


「日本男子フィギュアスケートオフィシャルファンブック Cutting Edge2007」(ダイエックス出版刊)は12月27日~29日、全日本選手権会場にて先行発売予定です。大変長らくお待たせいたしました。

*12月14日からのグランプリファイナルでも、現地サンクトペテルブルクよりレポートをお届けする予定です。


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男子シングル予選終了(2) 無良崇人の初陣

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 3人のなかで、演技後、いちばん満足そうな顔をしていたのが無良崇人だ。
 滑走前の彼は、もう誰が見ても心配になるほど、緊張感最高潮、といった表情。頬に手を当て、小さくなってしまう気持ちを奮い立たせるように、頭をぶるっと振ってから演技を始める。大丈夫だろうか?
 チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲が流れる中――冒頭のトリプルアクセルでいきなり転倒! ああ、やっぱり……というため息が、小さな会場のあちこちで聞こえてくるようなスタートだ。でもひとつ転倒して気持ちが吹っ切れたのだろうか、それ以降はヴァイオリンの音色に合わせて、しなやかな、なかなかの動きを見せてくれる。全日本ジュニアのときより少し体が重たいようにも見えたが、ジャンプを決めるたびに少しずつ音楽に乗っていくような様子が、見ていてうれしい。
 仙台の振付師、阿部奈々美さんに作ってもらったという少し大人っぽいプログラム。この大舞台で披露できてうれしい、そんな気持ちも伝わってくる。とても複雑な動きも多く、まだまだ懸命にこなしているという印象はあるけれど、それでも15歳の初出場で、これだけできれば立派、と思える演技だ。得点も日本の3選手のうち唯一パーソナルベスト更新、106.78! 
「トリプルアクセルは降りられなかったけれど……他は良かったです! ものすごい緊張してて、かなりへろへろだった(笑)。やっぱり世界ジュニアって、緊迫感があります。滑る前はもうこんなんなって(と、体をこわばらせて見せる)ガチガチでした。でもここまでの演技が一応できたので、自信はついたかな。意外と点が出ていたので、それも驚きだったし」
 初めての大舞台、楽しむ余裕もあったようだ。
「滑りながら『あ、けっこううまくいってるな』って、うれしくなったりもしました。とりあえず今回の目標は、10番以内に入ることです。でも、ノーミスで滑れればそれがベストかな」
 絵に描いたような、さわやかな初陣。このあとに続くふたつの演技でも、彼がまったく同じ表情を見せてくれればうれしい。でも、例えこのあとのどこかでつまづいたとしても、今日の予選で得た自信は、きっと無良崇人のなかにしっかりと根を下ろすだろう。そしてこれは、今回の世界ジュニアではなく、このあとに控えているもっともっと大きな舞台に立つときに、きっと彼を助けてくれる。(青嶋)

写真/中村康一(EOI Global)

*無良崇人選手のフリープログラムの振付師は、岩本英嗣さんではなく、阿部奈々美さんでした(ショートプログラムは岩本英嗣さん振付け)。お詫びして訂正いたします。


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