この特集では、浅田真央選手、安藤美姫選手をはじめとする注目選手の活躍や最新情報など、フィギュアスケートにまつわる様々なレポートを写真とともにお届けします。
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2009年03月05日
写真展「氷上の妖精たち」開催のお知らせ
sports@niftyフィギュアスケート特集、立ち上げ時から写真を提供しております、カメラマンの森田です。 このたび、世界選手権を前に愛知の元気なフィギュアスケート選手を中心に写真展が開催できることとなりました。 ぜひ、名古屋のTV塔下にありますセントラルパークへおいでいただき、セントラルギャラリーまで足をお運びいただけますようお願いいたします。
セントラルパークギャラリーインフォメーション
http://www.centralpark.co.jp/gallery/gallery1.html
題 名:「氷上の妖精たち」~愛知から世界へ~ 場 所:セントラルギャラリー 地下鉄名城線・桜通線久屋大通駅 下車直結 地下鉄東山線・名城線栄駅 下車直結、名鉄瀬戸線栄町駅 下車直結 期 間:3月12日(木)~ 3月23日(月) 時 間:10:00~21:00 主 催:氷上の妖精たち実行委員会 後 援:中日新聞社 協 力:愛知県スケート連盟 *観覧無料
今月開催される世界フィギュアスケート選手権を前に、愛知県出身でおなじみの浅田真央選手、安藤美姫選手、中野友加里選手、鈴木明子選手、小塚崇彦選手らをクローズアップした写真展です。 女子選手の優美さ、男子選手の力強さはもちろん、フィギュアスケートの観戦の楽しさをより多くの皆さんに知ってもらうために、セントラパークのセントラルギャラリー壁面いっぱい(半切額66、全紙額8)に展示します。 またおなじみの選手たちだけでなく、今シーズンの全日本、全日本ジュニア、全日本ノービス選手権などに出場した愛知のジュニアたちも、フォトグラファーの目で紹介します。
photo&text/Masami Morita(写真は愛知在住で活躍が期待されるジュニア、渡辺真央選手、中村愛音選手)
2008年12月13日
フィギュアスケート日本女子ファンブック2009 発売のお知らせ
祝・浅田真央選手グランプリファイナル優勝! 大変遅くなってしまいましたが、今年も女子シングルの日本代表選手11人のロングインタビューを収録したファンブックが発売されます。
注目の浅田真央選手をはじめ、安藤美姫、中野友加里、村主章枝、鈴木明子……。 今月末の全日本選手権での戦いが楽しみな、美しく、強いアスリートたち。 スケートへの思い、迷い、夢……じっくり語ってくれた言葉を、たくさんの写真とともにお届けします。
フィギュアスケート 日本女子ファンブック2009 出版社: 扶桑社 発売日:2008年12月22日 定価:1680円
【contents】 〈11選手独占インタビュー〉 浅田真央 「世界選手権優勝は、もう昔のこと。今はすっかり、忘れちゃってます」 安藤美姫 「今年の目標は、健康に過ごすこと。そして、心から滑ること」 中野友加里 「時間を大切にしたい。すべてが終わった時に、後悔だけはしないように」 村主章枝 「テーマはLOVE。氷上でも、プライベートでも!?」 鈴木明子「あきらめなければいつか願いは叶う。そんなメッセージを、伝えたい」
武田奈也、太田由希奈、澤田亜紀、浅田舞、水津瑠美、西野友毬
〈スペシャルインタビュー&レポート〉 伊藤みどり、若松詩子インタビュー 全日本ジュニア選手権レポート 11選手全プログラム解説 11人のコーチよりメッセージ
2008年12月13日
グランプリファイナル2008 女子シングルSP終了 中野友加里3位 「ほんとうの『ロマンス』」
浅田真央か、キム・ヨナか。 今夜の主役はどちらだったかと問われれば、「どちらでもない。今日は中野友加里の夜だった」と答えたいと思う。
今シーズンのSP「ロマンス」のことを、実を言えばこの日まで、あまりいいプログラムだとは思っていなかった。 ここ数年で美しさを増したとはいえ、中野友加里にはまだ少し、プログラムを滑り急いでしまうところがある。「いい演技をしたい」という気持ちが前に前に出てしまう、その結果、かわいい女の子がずいぶん怖い顔で滑っている……ジュニア時代のそんな癖が、今は表情には現れずとも、手足の動きには時折出てしまう。ゆったりとした正統派の音楽とオーソドックスな振り付けで作られる「ロマンス」では、どうしてもそれが隠せていないように思えたのだ。これが、気持ちに余裕を持てるエキシビションナンバーならばいい。しかしフリー以上に前に突っ込みがちなSPには、「ムーランルージュ」や「SAYURI」のような、インパクトあるプログロムがいいのかな、などと勝手に思っていたのだ。
ところが、今日の「ロマンス」。驚いたことに、これまでは少しずつ感じていた焦りも、緊張感も、まったく伝わってこない。 「もちろん緊張はしていました。でも、ファイナルがかかっていたNHK杯の方が今日よりずっと緊張していたと思います。今日は、この場を楽しんで滑りたい、って思いが持てたかな」 そんな小さな気持ちひとつで、「ロマンス」は、まったく別のプログラムになってしまった。 今までは、スケートの流れの中で印象まで流れてしまっていた小さな動き、肩をくっと動かす動作や、左右の手のゆらぎなどが、今日はずいぶんくっきりと目に残る。今までも印象的だったノーマルポジションの6秒スパイラルやドーナツスピンなどは、さらに優しさやたおやかさを伴った、極上のムーブメントになる。 会場は、ほんの少し前まで、大きな歓声が飛び交う男子シングルの試合で、スタジアムのような雰囲気になっていた。その余韻を、ゆったりと洗い流すような中野友加里の「ロマンス」。そうだ、これこそがフィギュアスケート女子シングルの美しさ――そういいたくなるような、フェミンニンな魅力でいっぱいだ。 素晴らしい集中力で、プログラムの深い深いところまで入り込んで始まったスタートから、たっぷり余韻を残して長く長くポーズを取ったフィニッシュまで。「ロマンス」は、もうスポーツのコンペティションの一シーンではなく、パフォーミングアーツの作品だった。中野友加里がこんなものを見せられることに気づいていなかったとは、ほんとうに不覚だ。 彼女のことを良く知る振付師、マリーナズ・ウェアは、「この曲でこの滑りができれば、きっと素敵だわ」、それを承知で、「ロマンス」を彼女に与えたのだろう。「ロマンス」をもっと前から評価できていなかったことに対して、コリオグラファーとパフォーマーに、完敗したと言わなければならない。 「今日はシーズン通して、一番いいショートプログラムでしたから(笑)。でも、3位になれたことにはとても驚いています」 正念場は、「楽しんで滑りたい」だけではすまない全日本選手権。そこで今夜のような「ロマンス」が見せられるかどうかだろう。 でもその前、今夜のフリーもまだ、「楽しい」グランプリファイナル。どんな「ジゼル」が氷上に現れるだろうか。
photo/Masami Morita text/Hirono Aoshima
2008年12月12日
グランプリファイナル2008 女子シングルSP直前 中野友加里選手コメント
――公式練習ではいい動きを見せてくれました。 友加里 リンクがすごく滑りやすくて、スピードも出るので、いい状態です。この調子を維持して、本番に向かって行けたら。足のケガも、アイシングはしていますが、大丈夫です。
――今回の試合での目標は? 友加里 スピードのある演技をすること。NHK杯の演技は比較的満足いくものだったんですが、ひとつ残念だったのは、スピードが無かったこと。うまくまとめることはできたけれど、何か一つ、勢いが足りなかったな、と思いました。だからその後の練習では、ジャンプを失敗してもスピードを出すことを一番念頭に置いてきたんです。前の試合から時間はなかったけれど、限られた中でいい練習ができたかな。そのうえ、ここのリンクがよく滑るので!
――今年はまだ入っていないトリプルアクセルも、期待していいですか? 友加里 今シーズンはちょっと調整が遅れたこともあって、昨年ほど成功率は上がっていないですし、今のルールはジャンプだけ跳んでも点数が出ない。踊りながら、スピードの変化もつけながら跳ぶ必要があるので、難しいところです。でも私は今回、順位を気にしていないので、向かっていくのみ! 今日の練習で跳んでみた調子も良かったと思います。
――ファイナルという試合については、どんな意識を持っていますか? 友加里 シーズン前半、みんながファイナルに出るためにがんばってきています。そのなかで、トップの6人に入るなど、簡単なことじゃない。ここにいられるだけでもうれしい気持ちです。今シーズンの調子を考えると、まさか出られるとは思ってなかったですし。
――韓国での試合は05年の四大陸選手権以来となりますね。 友加里 あの時は江稜だったので、ソウルは初めて。あとからふりかえって、ソウルはいい試合ができたところ、と思えるように。ひとつのいい思い出ができたらいいなと思います。
text/Hirono Aoshima
2008年11月09日
2008 マイ・フィギュアスケート・オブ・ザ・イヤー発表 (1)
07-08シーズンから新しく創設された「マイ・フィギュアスケート・オブ・ザ・イヤー」。 フィギュアスケートに関わるあらゆる人、物、事象の中から、ファンの皆さんが「ぜひ表彰したい!」と思うものをあげていただきました。 個人的なアワードということで集計はせず、ユニークなマイ・フィギュアスケート・オブ・ザ・イヤーをできる限り紹介していきたいと思います。……といいつつも大変発表が遅くなってしまいましたので、せめて写真だけでも、最新のものを交えつつお届けいたします。
●スタンディングオベーション・オブ・ザ・イヤー 中野友加里選手の世界選手権フリー
「あの日観客から一番の賞賛を受けたのは中野友加里だった」(福岡県 locolocoさん) 「世界選で前の選手たちの完璧とはいえない流れの中で最終滑走、スタンディングオベーションも納得の全てを払拭させる素晴らしい演技。グッときました。私自身メダル獲得! と思ったのもつかの間、あの結果にブーイングしたのは会場のスケートファンだけではなかったはず」「全日本、世界選手権で見せた素晴らしい演技に、改めて心からのスタンディングオベーションを!」(埼玉県 オキナさん)
●ベストセレモニー・オブ・ザ・イヤー スウェーデン世界選手権、表彰式での国歌生合唱
「アカペラで聞く国家がとても綺麗で印象的でした。日本語の発音もカンペキでびっくりしました。ちょっとテンポはやくてすぐ終わっちゃいましたけどね。カナダ国歌が美しすぎてテレビの前で思わず涙しました。あれはいい演出だったと思います」(東京都 如月さん) 「君が代に初めて感動しました! 爽やか! 他にもオー・カナダ、ラ・マルセイエーズ、ドイツ国歌、表彰式の度に楽しませてくれましたし、他の金メダル候補国歌も練習を積んだであろうコーラス隊に拍手ですね」(北海道 雲さん)「各国の国歌を全て覚え生披露したコーラス隊に心から尊敬」(北海道 駿さん)
●ノービス・オブ・ザ・イヤー 羽生結弦選手
「ノービスの選手とは思えないほどすばらしい演技に驚愕し、一気に惚れ込みました。さらにスタイルが抜群でどのエレメンツでも魅了させられる、日本男子史上初の完璧なスケーターが誕生した! と思いました」(宮城県 mikiさん)
●キス&クライ・オブ・ザ・イヤー 髙橋大輔選手のNHK杯フリー後のキス&クライ
「フリー演技終了後のモロゾフコーチの涙、リンクから戻った時のハグ、優勝が決まった後に髙橋君が手袋をはずしてモロゾフコーチと握手、その後ベルネルともハグでお互いを讃えあう姿。スポーツマンらしい印象に残るシーンでした」 (東京都 ゆあんさん)
●サポーター・オブ・ザ・イヤー 大阪、倉敷などでスケートリンク存続活動をされている皆さん
「危機的状況の中で精一杯の努力を惜しまずされている。頭が下がります。なんとかいい方向に解決してほしいという思いから」(みきさん)「リンクがなくなることで夢を奪われる子どもの気持ちを考えると、本当につらいです。私にできるのは署名を送ることぐらいですが、がんばっている子どもたちがスケートを続けられることを願わずにいられません」(山梨県 ユウコさん)
●バトル・オブ・ザイヤー 全米選手権でのジョニー・ウィアー選手とエヴァン・ライサチェク選手
「フィギュアスケートは順位の出るスポーツですから、常に大会は勝負の世界。その中でも毎年『名勝負』が生まれます。今シーズンの名勝負は、全くの同点となったウィアー選手とライサチェク選手の全米選手権戦だと思います」(獅子朗さん)
photo/Sunao Noto(写真は08年スケートアメリカでの中野友加里選手)
2008年10月30日
2008 コスチューム・オブ・ザ・イヤー 推薦コメント(2)
5位 浅田真央 EX 『So deep is the night』 59ポイント 「真っ青な衣装が曲のイメージとぴったりあっており、さらに背中の空いた部分の縁取りのひらひらや、手首のリボン、髪の毛のリボン等の細かいデザインが華やか。浅田選手のかわいらしく、かつ美しいイメージにぴったりで、演技を引き立てていた」 「ブルーが浅田選手に良く似合っていました。モリコロのアイスショーで見た時、ライトに映えてすごく綺麗でした」 「鮮やかで可憐で、真央選手の魅力を大きく引き出していた」
6位 浅田真央 SP 『ヴァイオリンと管弦楽のためのファンタジア』(世界選手権バージョン) 58ポイント 「小さなスパンコールをあしらった光沢のある白っぽい生地に、胸から肩にがっとV字にあいていたのがとてもお洒落だと思いました。長袖は細くて長い腕を美しく見せていたし、衣装の色も昨季のノクターンのピンクからの成長を表しているようで好きでした」 「淡い色合いでありながら甘くならないシャープでセクシーなデザイン。今までの”真央ちゃん”に無かったものだと思う」 「シンプルだけどとてもエレガントで大人っぽく、素敵です」
7位 中野友加里 FP 『スペイン奇想曲』 55ポイント 「くっきり鮮やかなオレンジが氷に映えて素敵でした。ワンショルダーで片腕だけ長袖なのもおしゃれ。同じ色の髪飾りも華やかできりりとして、友加里さんに似合ってました」 「音楽、衣装、振り付け、パッケージとしてとても完成されていて、しかも彼女に似合っている」 「紅葉の形にくりぬかれていて、日本人、という感じがする。オレンジの色が友加里さんに似合っているかな。オレンジはリンクで目立って映える」
8位 キーラ・コルピ SP 『Triunfal』 41ポイント 「洋服みたいなデザインがかわいかった。ちょっと昔っぽい感じがかえってモードでした。キーラの美しさが際だっていました」 「コルピ選手はダントツの1位。華やかな美貌を際立たせるモダンな衣装がよく似合っていた」 「上が白×黒のボーダー柄、下は黒のぴたっとした感じのスカートと、フィギュアスケートの衣装としてはとても珍しく、またコルピ選手以外には着こなせないと思われる衣装でした。髪に赤いバラが1輪飾ってあるのも、かっこいい。
9位 浅田真央 SP 『ヴァイオリンと管弦楽のためのファンタジア』 (全日本選手権バージョン) 40ポイント 「衣装は舞選手のだとか。ブルーと紫がふわっとしていて、よく曲似合っていたと思う。 「舞選手のものということですが、まだ高校生で線の細い浅田選手を華やかに、かつ彼女独特の繊細でエレガントな風情を決して失わせないコスチュームだと思う。特に失敗が続いたSPを初めてほぼノーミスで滑れた全日本では、この衣装を着て情感的に舞う姿が印象に残っています」
photo/ Sunao Noto (写真は08年世界選手権での浅田真央選手「ヴァイオリンと管弦楽のためのファンタジア」)
2008年08月01日
2008 コーチ・オブ・ザ・イヤー 推薦コメント(1)1位~4位
1位 ラフェアル・アルトゥニアン 94ポイント 「浅田真央、ジェフリー・バトルの世界選手権優勝に一番かかわった人物だと思う」 「(バトル選手がインタビューで)事情があってワールドに彼は来れなかったと言っていましたが、バトル選手・浅田選手という教え子2人の優勝は、ラファエルコーチのこれまでの指導の賜物といっていいと思います」 「残念ながら浅田選手とは師弟関係を解消してしまいましたが、今回の男女の世界チャンピオンを生み出した一つの要因は間違いなく彼の存在だったと思います」 「このコーチについた代表的な選手も山あり谷ありの劇的なシーズンでしたが、ラファエルコーチにとっても波瀾万丈のシーズンだったと思います。しかも、世界選手権で男女シングルの金メダリストが教え子だったにも関わらず、そのキスクラに座ることができなかったなんて……最後の最後にどんな思いをされたのかと考えると、胸がいっぱいになってしまいます」 「世界選手権の覇者は男女とも彼のコーチを受けている。なのに、どうして晴れの舞台に現れないんだ! 何かしらお礼の気持ちを伝えたい! この賞とか……」
2位 佐藤信夫 65ポイント 「教え子の中野選手・小塚選手が世界選手権でともに好成績。やはり、ここぞという時の安定感が、ベテランコーチだなと感じました」 「国外のコーチが賞賛されがちですが、日本の恵まれないリンク事情、環境の中で、ワールドにふたり送り込んだ佐藤ご夫妻はやっぱりスゴイと思います。コーチ選定で悩んでいる選手を見てから佐藤ご夫妻に大事に育てられている中野・小塚選手を見ると、なんだかホッとします」 「世界選手権での中野選手や小塚選手の堂々とした演技、清々しさや真面目な受け答えなど、スケーティングはもちろんですが、精神的な部分での教育もシッカリなさってるんだな~と思いました」 「長年コーチをしていらして、毎年大きな大会へ選手を派遣できる指導力の確かさを感じます」 「世界選手権でのキス&クライで点数の低さにブーイングが起こる中、中野選手ともども嬉しそうな表情だったこと。最高の演技ができた選手を温かく迎える気持ちが素敵だと思いました」
3位 ニコライ・モロゾフ 46ポイント 「一番の推薦理由は髙橋君にヒップホップをさせたこと。リッポン君をジュニアチャンピオンに導いたこと」 「技術だけでなくメンタルな面でもとても選手を上手に指導していると思う。情熱を感じる」 「昨シーズンに引き続き、髙橋、安藤を成長させてきたから。安藤は悩んでいたようだけれど、全日本での素晴らしい復活はやっぱりニコライのサポートがあったからこそ可能だったと思う」 「アダム・リッポンもジュニア選手権で優勝に導いたし、ここまで選手に付き添い、親身に指導、そして結果を出すコーチはいない」
4位 タチアナ・タラソワ 43ポイント 「コリオグラファーの立場にも関わらず、あどけなさの残る浅田選手の演技に見事『女性らしさ』を加えました。殿堂入りはさすがです」 「久々に魔法を使ったから! タラソワさんのフィギュアスケートへの情熱と、選手の能力を開花させる力は本当に尊敬します」 「真央ちゃんに、可憐さと美しさという武器を与えてくれた。あんな短時間で素晴らしい選手に育ててくれて、大感謝です!!」
*写真上は07年イタリア全日本合宿での佐藤信夫コーチ(右)と、ともに小塚崇彦を指導した小塚嗣彦コーチ
2008年07月26日
2008 プログラム・オブ・ザ・イヤー 推薦コメント(1) 1位~6位
2008プログラム・オブ・ザ・イヤー、投票者の皆さんから寄せられた推薦コメントの一部をご紹介します。思わず昨シーズンのプログラムを見返したくなるようなたくさんのコメント、ありがとうございました。
1位 髙橋大輔 SP 『白鳥の湖 ヒップホップバージョン』 (ニコライ・モロゾフ) 320ポイント 「これをなくして今シーズンは語れないくらい、最高のプログラムです。大輔君にしか滑れないだろうと思います。そういうプログラムを待っていました。一度、生で見てみたいです」 「初めて見たときは、『これが人間わざか!』と、本当にびっくりしたし、その後も何度見ても飽きるどころか見るたびに輝きを増していきました」 「今季一番の話題作。競技会のはずが、いつの間にやらその場がショーに化けてしまっている、恐るべきプログラム」 「まさに今季の『事件』。モロゾフ振り付けのものは今季はこれが一番良かった。もちろん、髙橋選手の良さである『踊り心』を十分引き出している。あんなにお客の沸くSPは見たことがない」
2位 浅田真央 SP 『ヴァイオリンと管弦楽のためのファンタジア』 (タチアナ・タラソワ) 270ポイント 「まず、映画のサントラを聞いて真央ちゃんが滑る姿が目に浮かんだ。日米対抗で初めて見た時、2時間の映画が2分50秒で表現されているように感じられた。タラソワ、天才!」 「新しい浅田選手を見事に表現したショートプログラム。ストレートラインステップの素晴らしさは、まるで不死鳥が力を得て飛び立つさまをあらわしているようで、見ていて自然と涙がこぼれる」 「嵐の海を渡る一羽の鳥のようです」 「また新たな真央ちゃんがのぞけたプログラム。悲しげながら情熱的で、大人の魅力にあふれていました」
3位 浅田真央 FP 『幻想即興曲』 (ローリー・ニコル) 142ポイント 「浅田選手の耳の良さ、動きの美しさ、ステップの細かさがピアノの旋律や曲の雰囲気と見事に調和していて、『これが曲を表現することなのか……』と、何度もため息が出ました」 「3Aや3回転‐3回転などの大技を取り入れながら、涼しい顔で高密度のステップを踏んでいく姿に、もうほとんど圧倒されました。よく使われる音楽ですが、昨季のノクターンを継承する、彼女らしいプログラムに完成したと思います」 「曲に合わせてステップが変わっていくのが良かった。シーズン後半では、少しずつ振り付けを変えていて、『即興曲』の名の通り自由で、見ていておもしろかった。」
4位 中野友加里 FP 『スペイン奇想曲』 (マリーナ・ズウェア) 93ポイント 「ワールドでのステップの美しさが忘れられません。この日に向けてかなり練習して、レベルアップしたきたのでしょうね」 「歯切れの良い曲想と中野選手のシャープな動きがとてもマッチしていて、見ていて気持ちよかった」 「第四楽章から始まり、最後まで流れをとぎれせないすばらしい音楽構成と振り付けでした。特に音楽の盛り上がりに呼応する冒頭のトリプルアクセル、最後のドーナツスピンは見事でした」
5位 安藤美姫 FP 『カルメン』 (ニコライ・モロゾフ) 72ポイント 「カルメンは誰にでも踊れる曲ではない。安藤はそれを見事に安藤の曲として演じた」 「不調のなか、怖いほどの気迫と表現、技術。ともにすばらしいものでした」 「情熱と酷薄さの両面を持つ魅惑的な悪女を、安藤選手ならではの力強いスケーティングで表現した名プログラム。全日本選手権でのパーフェクトなカルメンは、今シーズン一番感動した演技でした」
6位 ヴァーチュー&モア FD 『シェルブールの雨傘』(イゴール・シュピルバンド&マリーナ・ズウェア) 58ポイント 「本当に、一遍の小説か映画のようでした。難しいリフトなどもこなしながら、流れが全く途切れない、素敵なプログラム」 「世界選手権で一番素晴らしかった。高い技術が必要なのにそれを感じさせない流れるようなスケーティングが秀逸で、ふたりの雰囲気にピッタリ合ったプログラムだと思った」 「まるで二人が歌っているような情感たっぷりな演技をNHK杯で生観戦し、涙が出るくらい感動した」
photo/Masami Morita(全日本選手権での中野友加里選手「スペイン奇想曲」)
2008年07月06日
フレンズオンアイス2008レポート(1)
先週のドリームオンアイスに引き続き、今週のフレンズオンアイス。 2週続けてこんなゴージャスなショーを見てしまって、罰が当たらないだろうか?
もちろんふたつのショーは、大きく違う。ドリームオンアイスは前のシーズンに結果を残した選手だけに参加が許されるショー。スケーターたちはその名誉を噛みしめ、そこに立つ誇りを感じながら滑ってくれる。 フレンズオンアイスは、荒川静香というメダリストを中心に、その仲間たちが作り上げるショー。選ばれたスケーター、というよりも、自ら集まったスケーターたちによる、ぐっとフレンドリーなアイスショーだ。 オープニング、名前をコールされたスケーターたちは、荒川静香を中心にくるりとまわり、彼女と親しげに目を合わせ、選手ではなくキャストとして紹介される。 「また来年も見たい、というお客さんの声に支えられて、今年で3回目のショーができました。また、ショーは私ひとりでは成り立たないもの。集まってくれるスケーターがいるからできるものです。みんながここまで短い期間でひとつのショーを仕上げてくれて……。参加したスケーター同士が、この場に集まったことでまた高めあえるショーでありたい。またこの場にいることで、スケーターたちが楽しくリラックスできるショーでもありたい。そう願っています」(荒川静香) そんな彼女が「3年目だから、06年から連続で出演しているショーのオリジナルメンバーといっしょに、何かできないか」と考え、作り上げたのが、グループナンバー「オペラ座の怪人」だ。 ショーの中盤。天井から吊るされた豪華なシャンデリアを中心に繰り広げられたのは、仮面をつけた宮本賢二の妖艶な滑り、恩田美栄、本田武史、田村岳斗と、同じ時代を戦い抜いた3人のコラボレーション。続いて中野友加里と荒川静香が純白の衣装で登場すると、二人そろってのダブルイナバウアー! そしてビールマンスピンをする荒川静香の周りで中野友加里がジャンプ。中野友加里のドーナツスピンの周りで荒川静香がジャンプ! 「作り出すのはひとつのナンバー。でもその中で、出てくれるスケーター、ひとりひとりのいいところを存分に引き出せる演出、ひとりひとりの個性がしっかり発揮できる演出を考えてみました」 白いふたりのクリスティーヌが夢のような時間をつむぎだしたかと思うと、おなじみの音楽とともに現れたのは、怪人・髙橋大輔! あの2007年東京ワールドを沸かせた「オペラ座の怪人」のステップを、あの衣装で、久しぶりに見せてくれた。 「実はこの演目を選んだのも、大ちゃんの『オペラ座の怪人』のステップがとても好きで、それをうまく生かしつつグループナンバーができないかな、と思ったからなんです。ミュージカルも映画も見て、音楽もCDを5枚くらい駆使して構成したんですよ」 1年以上を経て、怪人・大輔は一段と迫力を増していた。力強い足さばきや自在な上半身。身体の動きも表情も、すべてにおいて一層の凄みを帯びて見えたのは、ワイルドなヘアスタイルやボーカル入りのドラマチックな音楽のせいだけではないだろう。ステップの後にはジャンプもスパーンと決め、ここで一挙に美しいプログラムを引き締める。 「彼も友加里ちゃんも、アマチュア。でもショーを見ると、もうこの人たちプロだな、と思います。その姿に刺激を受けて、私たちプロももっとがんばらなきゃ! と思ってしまう」 後半には、本田、田村、荒川、中野と、4人がいっせいにイーグル。美しいこの技をそれぞれに極めた4人。試合ではいつも大きな拍手をもらっていたこの技を、4人が一度に見せてしまうのだ。仕掛け人の荒川静香は、スケートファンが何を見れば喜ぶかを、本当によく知っている。 最後は恩田、髙橋、宮本の3人が戻ってきて、華やかにフィニッシュ。 フィギュアスケートのグループナンバーは、プリンスアイスワールドやスターズオンアイスなどでおなじみだ。フレンズオンアイスの「オペラ座の怪人」は、それに比べればぐっとシンプルな構成。しかしこのうえなく煌びやかな作品だった。 こんなに美しいものをみんなで作り上げられる幼なじみ、仲間たちとは、いったいどんなものだろう? ジャンプが得意なスポーツ少年少女たちが競い合って成長して、大人になって、また自らの意思で集まって。「オペラ座の怪人」は、彼らからスケートファンに送られた、素敵なプレゼントだ。
他にも、振付けを担当したシェイ・リーン・ボーンと荒川静香が競演した「ある晴れた日に」。一般公募の子供たちによるキッズスケーティングのコーナー。ファンからリクエストの多かったナンバーを次々に滑る荒川静香メドレーなど、フレンズオンアイスならではの見どころがたくさん。 中庭健介は3年前のEXナンバー「ロミオとジュリエット」、小塚崇彦は噂の新SP「Take Five」、中野友加里も同じく新SP「ロマンス」と、現役選手たちがドリームオンアイスとは別のプログラムを滑ってくれたのもうれしい。
フレンズオンアイスは本日6日も2公演を実施。当日券も発売される予定だ。
photo/Masami Morita text/Hirono Aoshima
2008年04月24日
ジャパンオープン 2008レポート(1) 中野友加里 挑戦し続ける心
「人間、いい時もあるし、悪い時もある」 4月20日、さいたまスーパーアリーナで開催された「ジャパンオープン2008」終了後の記者会見。中野友加里が、その日不調に終わった髙橋大輔へのメッセージを求められ、来シーズンへの期待をこめて語った言葉だ。 世界選手権が終わって、およそ1カ月。この時期に行われる、ヨーロッパ・北米・日本の3地域対抗戦は、選手たちにとって調整がとても難しいものだろう。オフシーズンモードの演技だったとしても、やむを得ない。シーズン中、ピーキングにどれだけの集中力を注ぎ、どれだけギリギリのところまで自分自身を追い込み、あの素晴らしい演技が生まれているのか――ある意味、そのことを実感できる。だからこそ「いい時も」「悪い時も」あるのだ。 そんな空気が支配しがちな、この時期の競技会で会場を一変させたのが、中野友加里だった。
フリープログラムの『スペイン奇想曲』で、すっかりお馴染みとなった艶やかなオレンジ色のコスチューム。中野友加里は、その衣装に負けないくらい華やかな、きりっと引き締まった表情でリンクに登場した。 まず会場を沸かせたのは、今シーズン挑戦し続けてきたトリプルアクセル。ダウングレード判定はあっても、シーズン全試合でトリプルアクセルを着氷した女子選手は、中野友加里だけだ。 実はこの日、彼女はトリプルアクセルを跳ぶつもりではなかったと言う。プロトコルの申請もダブルアクセルで提出していた。 「コーチから『挑戦する友加里ちゃんの姿を楽しみにしている人がいる。たとえ失敗してもいいからやった方がいいよ』というアドバイスがあったので……。じゃあ、何があってもいいからやろう! と決心して、今日は臨みました。その結果、たぶん回転不足を取られていると思いますが、ちゃんと転ばず着氷することができて、よかったです」 コーチから受け継ぐチャレンジ精神。それを実践することで着実に身につけている自信が、彼女の身体からキラキラと放たれている。このトリプルアクセルで、観客の心を一気につかんだ。 美しいポジションを次々と展開するコンビネーションスピンでは、会場からため息ももれる。 笑顔を振りまくスパイラル以降は、さらに畳み掛けるように魅せてくれた。トリプルトウ‐ダブルトウ‐ダブルループを成功させると、中野友加里自身も少し緊張が解けたのか、音楽に乗り、伸びやかなサーキュラーステップを披露。最後のドーナツスピンでは、彼女の手のひらが太陽のごとく突き上げられると、拍手とともに歓声が沸き起こった。そしてフィニッシュと同時に、スタンディングオベーション。会場中が興奮と感動に満ちた瞬間だった。 イエティボリの世界選手権で、あれだけ素晴らしく、本人も納得の演技を見せて1カ月。彼女は気持ちを緩めることなく、さらにシーズンベストを更新するパフォーマンスを披露した。いい時も悪い時もあるはずの中、競技会で、コンスタントに一定レベル以上の演技を披露し続ける、安定感に心打たれる。その安定感とは、きっと日々の「挑戦」に裏付けられたものなのではないだろうか。この日、改めて、観客は中野友加里の底力を見せつけられた。
photo/Sunao Noto text/Yukiko Oshima
*中野友加里選手と髙橋大輔選手のスペシャル対談が、現在発売中の別冊ザテレビジョン 男子フィギュアスケート~2007-2008メモリアルブック~に掲載されています
2008年03月26日
女子フリー終了後 中野友加里選手コメント 「すべてを出し切った達成感でいっぱい」
――フリーが終了しましたが、演技終了直後の気持ちと、結果が出た今の気持ちはいかがですか? 友加里 終わった瞬間は、すべてを出し切った達成感でいっぱいでした。もちろん、メダルを取れなかったことは残念です。でも、先生も「上出来、上出来」「何も言う事はない」と。やっぱり、先生や家族の喜ぶ顔が見られてうれしいです。
――ご家族にはもう会えたんですか? 友加里 いえ。でも観客席のどこにいるかはわかるので、顔はよく見えて。
――フリーは最終グループ最終滑走という大変な状況で、最高の演技を見せてくれました。 友加里 最終グループの選手への声援、待っている間にも、ものすごく大きく聞こえました。だからできれば、前の方の順番を引きたかったんですけれど……それは言ってもしょうがないですし! 先生も「何も聞こえない、何も聞こえない」と繰り返し言ってくださって。
――滑ってみると、自分への声援はさらに大きかった? 友加里 お客さんの声が後押ししてくれたし、今日は皆さんの声援がほんとうにはっきり聞こえるほど、落ち着いて滑れました。これだけの声援がもらえて、すごくうれしいです。
――今日のこの滑りは、来季につながりますね。 友加里 はい。でも今日はトリプルアクセルをちょっと怖がって緊張したことで、スピードを抑え気味だったかな。まず反省したいところは、出し切れなかったスピードです。それから全日本選手権から3か月空いてしまって、緊張の持って生き方も難しかった。この経験も、今後に生かせたら。他にも、今日は各国の選手たちのスコアを見ていますし、いろいろ勉強になりました。来季に向けて、他選手にあって私にないものを探して、また練習を積まなければ。
――3回転-3回転の練習も続けていますね。 友加里 今日の朝の練習でも跳んだんですが、ダウングレードの可能性があるから跳ばないでおこうと、先生と決めました。来季はぜひ。また、厳しい戦いになると思いますが……。オフシーズンも準備は怠らないようにしたいです。
達成感と悔しさがないまぜになって、かえって淡々と話してくれた演技直後の共同インタビュー。2日後、髙橋大輔選手との対談では「4位が一番悔しい!」「むしろ5位より悔しいんですよ!」とふたりで口をそろえて熱く語ってくれた。悔しさをバネにさらに美しくなる、来季の中野友加里により一層の注目を!
photo/Sunao Noto text/Hirono Aoshima
2008年03月21日
女子フリー終了 中野友加里4位、総合4位 スカンジナビウムの恋人
中野友加里は、イエティボリ世界選手権のメダリストだと私は思う。 そう言うことが許されないのならば、この日一番観客に愛されたのは中野友加里だ、といい切りたい。
キム・ヨナ、浅田真央のふたりに続く最終グループ最終滑走。ふたりのスターはともにミスの少ない素晴らしい演技を見せ、スカンジナビウムのお客さんは大喜びだった。 でも、フィギュアスケートのファンは、貪欲だ。気に入っている選手だけでなく、出場する選手すべてに分け隔てない拍手を送ってくれる観客は多いが、それは同時に、勝ち負けを楽しむ以上にできるだけたくさんのいい演技を見たい、という貪欲さに繋がる。 この日のお客さんも、最終滑走者の中野友加里に、それを要求していた。いい演技を見たなあ、でも、もうひとりいるぞ。まだすごい演技を見られるかもしれないぞ、と。 その期待に、中野友加里は見事にこたえてくれた。 彼女は、浅田真央やキム・ヨナほどの高い知名度はない。地元で大きなスポーツの試合をやっているから、ちょっと見に行こうか、というお客さんのなかには、ユカリ・ナカノを知らない人も多かっただろう。 そんな選手が、浅田真央が見せてくれなかったトリプルアクセルを、まず見せてくれた! すごいじゃないか! この時点で、もっといい演技を見たいと思っていたお客さんも、ひょっとしたら浅田・キムの演技でもう満足していたお客さんも、すべての観客の視線と興味を、中野友加里はその小さな体に集めてしまった。まだすごい選手がいるじゃないか! と。 そして続くのは、たぶん今大会に参加した女子選手の中で、最も美しく、回転とともに人の心にさざ波を起こさせるようなスピン。3-2-2のコンビネーションもトリプルルッツも、すべてがクリーンだった7つのジャンプ(判定では回転不足がいくつかあったが、ほとんどのお客さんはノーミスの演技として楽しんだ!)。そしてなんといっても、可憐に、また艶やかに、巧みなスパイラルやスケーティングを引き立てる、中野友加里の豊かで愛らしい表情。 見たかったものすべてを最後の最後にこうして見せられて、たぶんスカンジナビウムにやってきたお客さんのうち少なからぬ人数が、今日、中野友加里に恋をしたと思う。 特に最後の最後、このプログラムをここで見たことを力強く印象付ける、速い速いドーナツスピンを見せられた瞬間――何かがはじけるように彼女に恋に落ちた人は多いのではないかと思う。 ユナ・キムの、極められた優美さ。浅田真央の、音との脅威的な一体感。そんな、ちょっと手の届かないところで輝いているスケートにため息をつく感覚とはまた違う、見ていて思わず恋に落ちてしまうような、そういう種類の魅力が、今夜の中野友加里のスケートにはあふれていた。
もうストレートに言ってしまうが、ほんとうに、ほんとうに心の底から、今日の中野友加里のフリーには感動した。記者席で見ている自分はこの演技にスタンディングオベーションができないことが、これほど悔しいと思ったことは、いまだかつてなかった。 きっと、中野友加里のスケート人生すべてを振り返っても、間違いなく一番の演技だった思う。6人の最終滑走者の中でも、最も自分の力を発揮し、納得のいく演技をしたスケーターだったと思う。 だからこそ、絶対に! 彼女が表彰台の上に立っているところを見たかった! ジャッジの採点に対して……これほど不服を感じたことはないし、これほど悔しいと思ったこともない。
結果のことは、これ以上言っても仕方ないだろう。 今はただ、中野友加里のこれまでのすべての努力が、今日の演技に結実したことを喜びたい。 会場のたくさんのお客さんが点数と結果にブーイングをしてくれて、いっしょに中野友加里を愛してくれたことを喜びたい。 そして、次からは間違いなくメダリスト候補として世界の舞台で戦っていくだろう中野友加里が、彼女の地道な努力をさらに続け、その果てに、文句ない栄冠を手にする日が来ることを、心の底から祈りたい。
photo/Masami Morita text/Hirono Aoshima
2008年03月20日
SP終了後、中野友加里選手コメント
「すごく緊張していました。いつもの試合とは違う緊張感で……。全日本のような失敗は二度としないように、それを念頭に置きながら滑りました。先生も『大丈夫! 練習してきたからできる! って言ってくださったし。
結果、ジャンプはミスがなかったけれど、ちょっとスピードが抑え気味だったかな。明日はもっとスピードを出したいです。
3位に入れましたが、大事なのは明日の結果です。下の選手とも点数の差はあまりないので、考えすぎずに。今日の評価は明日へのステップとして受け止めて。今の順位、また滑走順を考えると、フリーは緊張感があると思います。上手な選手といっしょに滑ると、いつも気持ちがひいてしまうことがよくあるので……。でもそんな弱さを出さないように。あまりまわりのことは気にせずに。シーズン最後なので、いつも先生が言うように、滑りを終わったら倒れてもいいくらい力を出したいです。ひとうひとつの技を丁寧にできたらと思います」
*写真は世界選手権での初めての記者会見終了後、SP3位のスモールメダルを手ににっこり。
text/Hirono Aoshima
2008年03月20日
女子シングルSP終了 中野友加里3位 フィギュアスケートの真髄へ
かつて、10代のころの中野友加里は、誰よりもアスリートらしいアスリートだったように思う。 負けず嫌いで、ひと一倍努力家の女の子は、「もっと難しいジャンプを跳びたい!」「試合で勝ちたい!」その一心で、ひと一番熱心に練習を続けた。 その努力の結果、トリプルアクセルを跳べるまでに強くなったし、日本を代表するスケーターの一人にもなった。 でも、どこか彼女の滑りやスタイルには独特の癖があって、一生懸命なアスリートががんばって演技をするとこうなる――そんなスケートをしていた。 表情だっていつも真剣そのもので、氷の上にたった一人で立っていても、見えない敵に今にもかみつきそうな顔をしてしまう。気負いすぎて緊張だっていっぱいしたし、それで力を出せないこともたくさんあった。 汗も涙もたくさん流した努力の跡が、その滑りから伝わってくる……そんなスケーターだったのだ。
それが、今日の中野友加里はどうだろう。 世界選手権出場は、3度目。日本の、ではなく、世界のトップスケーターのひとりとしてすっかり認められて参加した今大会のSP。 彼女が見せたのは、本当にオーソドックスな、フィギュアスケートの美しさに満ちた滑りだった。スケーティングもスピンも、ぽろぽろと天上からこぼれおちるようなピアノの音色に呼応するように、自然。3回転‐2回転のジャンプは、女子選手のジャンプにはこうあってほしいと思わせる、しなやかさ、軽やかさ。すうっと差しのべる手の伸ばし具合ひとつとっても、派手さはないがひとつひとつが、見る者の心を鎮めるような美しさだ。 何かを表現する人々、中でも一流の人々は、その表現の後ろにあるはずの、汗も涙も決して見せはしない。ただ夢のような時間を提供し、自らが作り出す夢の世界に見る人を引きずりこむだけ。そんなパフォーマンスを、今夜の中野友加里はできていたと思う。そして彼女の見せてくれたものは、バレエでもダンスでも演劇でもなく、フィギュアスケートというジャンルだけが見せられる、その心髄の美しさだ。
たとえば髙橋大輔のヒップホップ風「白鳥の湖」、コストナーがパンツルックで滑ったSP「Riders on the Storm」など、フィギュアスケートらしさを超えようとするプログラムも、素晴らしい。 でも、中野友加里と佐藤コーチ夫妻が選び、作り出したショートプログラムは、もう一度フィギュアスケートの原点の美しさを、フィギュアスケートらしさを見直したくなるような、オーソドックスな作品だ。 もう半世紀以上氷の上に立ち通づける佐藤信夫コーチが、時々話してくれる昔語りの中の、ほんとうにシンプルで、だけどただただ美しかったというフィギュアスケートは、こんなだったのかもしれないな。私たちの知らない古き良き時代のスケートを、中野友加里を通してみててくれたのかもしれないな――。そんなことを、彼女の滑りを見つめるコーチの顔を見て思った。
でも、最後の最後。プログラムがほとんど終わるという時に、3つ目のジャンプ、ダブルアクセルを跳んでしまうところなど、やはりアスリート・友加里だ。誰もが前半に跳び終えてしまいたいジャンプを、最後の最後にアクセサリーのように軽々と跳んでしまうことが、私にはできるのよ、と、誇らしげに言っているかのように。 しかしその一瞬ののちには、本当に最後のエレメンツ、コンビネーションスピンで世界一美しいドーナツスピンを見せる。少しだけ見せたアスリートの顔を優雅に隠して、やはりフィギュアスケートの美を表現する者として、中野友加里は2分40秒を終えた。
癖のあるアスリートの滑りから、一番フィギュアスケートらしい滑りへ。 これだけ大きく彼女のスケートが変わっても、結局は中野友加里の心の芯にあるものは変わらないのではないか、と思う。「ジャンプを跳びたいたい」「勝ちたい」そんな気持ちで練習を続けてきた彼女は、どこかの時点でさらに、「美しく滑りたい」と願う気持ちを加えたのだ。 でも、なりたい自分が増えただけで、一貫して、「こうありたい!」という自分の姿を追い求める気持ちは、きっと変わらない。 そして、時間は少しかかったとしても……なりたい自分の姿に、中野友加里は着実に近づいている。
photo/Sunao Noto text/Hirono Aoshima
2008年03月19日
女子SP前日、中野友加里選手コメント
――滑走順も決まりましたね。 友加里 これでもう、ほんとに明日はショートプログラムなんだなって思いました。でもまだ実感はわかないんです。今回は男子より先ということなので、早く終わって試合の後を楽しみたいです(笑)。
――目標の一つでもある3回転-3回転の調子はいかがですか? 友加里 3-3は今シーズン前からずっと練習してきたジャンプ。今まで試合では回避してきたけれど、練習はずっと続けています。全日本選手権が終わった後は、曲かけでもすべて3-3を入れてきました。
――世界選手権では満を持して挑戦の予定? 友加里 それは断言できないですけれど(笑)。挑戦できたらいいと思います。ショートプログラムが終わったあとの順位、その時の気持ち次第ですね。
2008年03月18日
世界選手権直前! 佐藤有香さんからのエール(1)
アイスショーで活躍しながら、アメリカ・デトロイトのリンクでは振付師、コーチとしても実績を積んでいる佐藤有香さん。日本からも多くの選手が、彼女のもとに振付指導、スケーティング指導を受けにやって来る。今回世界選手権代表として出場する小塚崇彦選手、南里康晴選手、中野友加里選手も、有香さんの影響を大きく受けている選手たち。自身も世界選手権を制したことのある佐藤有香さんから、期待の3選手にエールを送ってもらった。
――小さな子供たちからオリンピックチャンピオンまで、コーチや振付師としてたくさんの選手と接してきた佐藤有香さんに、おなじみの選手についてお話を聞きます。まずは今年で3回目のワールド出場となる中野友加里選手。彼女はデトロイトのマリーナ・ズウェアさんにずっと振付けを依頼していますし、佐藤信夫コーチのもとに移ってからは有香さんとの関わりは深いですね。 佐藤 そうですね、彼女は私の両親(佐藤信夫・久美子コーチ)についていることもあって、いつも家族のように応援しています。がんばってほしいな! ふだんの友加里ちゃんはね……優等生なんですよ(笑)。毎年わりと賢く、きっちり練習してきますよね。でも試合になるとちょっとかたくなって、練習の時よりも演技が小さくなってしまうところがあって……。本番でも練習と同じスケールで滑れるようになるといいな、といつも思っています。
――練習では、もっともっといい演技ができている? 佐藤 はい。でも私自身も経験していることですが、試合のあの場所で体がすくんでしまうのは、当たり前のこと。そんなに簡単に克服できるものではないんです。それが最近の彼女は、緊張感で調子の悪いスタートをしてしまっても、それを演技途中で立て直せるだけの精神力を培っている。それが素晴らしいな、と感心しています。結局は、あの練習量が本番でもものを言うんでしょうね。
――年を追うごとに演技もどんどん深みを増していますしね。 佐藤 そう、友加里ちゃんは……なんとなく不思議な魅力を持った選手なんです。日頃はこれといって派手なところを見せないんですが、試合に出てくると、氷の上に立つだけでスッとした雰囲気を出すし、滑りにもなんだか独特のおもしろさがあるなあ、と。彼女の演技、いつも楽しませてもらっています。
――中野選手と同じく佐藤コーチ夫妻に師事している小塚崇彦選手も、世界選手権初登場です。 佐藤 タカのことは小さい頃から見ていますが、本当に大きくなって(笑)。いま19歳。全日本選手権で代表が決まって、世界選手権までの数か月は、練習すればするほど伸びる、いい時期だったと思います。スターズオンアイスのようなショーにも出ましたし、人前でパフォーマンスをすることもすごく大きなステップになったんじゃないかな。ほんとうに成長期、いい時期ですよね! トレーニングすればするほど、身体も強くなるし、間の取り方など様々な呼吸もつかめてきているはずです。あとはとにかく健康で、風邪などひかず、ケガもせず、世界選手権を迎えてくれれば。
――初めての大舞台、年齢的にもいい時期に迎えられるということですね。 佐藤 世界選手権そのものが、彼にとってすごくいい練習になると思いますよ。今回いい演技ができればそれはそれでうれしいけれど、結果を気にするよりもとにかく、若いので色々な経験をしてほしいです。大ちゃんみたいに一生懸命練習をする先輩も隣にいますし、彼らと一緒に遠征に出ることも、すごくいい勉強になるはず。上の選手に少しでも近づけるようにって、思いますからね。
――今回で大きな結果を出すというよりも、今後のためにいい世界選手権にしてほしい、と。 佐藤 そう、せっかく今年、大きなヤマを一つ越えて、やっとつかんだ世界選手権代表です。思い切りあの場を体験してほしいな。きっと彼は、世界選手権が終わった時にこそ、また一つ大きくなって帰ってくるんじゃないかと思います。将来性も高い選手なので、あの場を経験して、もっともっと器を大きくしてくれるでしょう。
photo/Sunao Noto text/Hirono Aoshima *写真は08年全日本選手権SP
2007年12月28日
全日本選手権女子SP終了 村主章枝3位、中野友加里4位 (2)
点差はたった2.3点。しかしミックスゾーンでの村主章枝、中野友加里の表情は対照的だった。気丈な中野友加里は、記者の前で涙を見せることはほとんどない。しかしこの日、涙は流れこそしなかったけれど、大きな瞳にたまって、必死にとどまろうとしていた。 「とにかく今はルッツの失敗のことしか考えられません」 ここまで悔しさを露わにする彼女を見るのは、はじめてかもしれない。 失敗は、ルッツがダブルになった、その一点のみだった。 「今シーズン、一番緊張しました」 と本人も言うように、村主章枝の演技で熱くなったリンク、そこに出て行く時の表情の硬さは、グランプリファイナルの比ではなかった。こぶしは固く結ばれたままほどかれないし、氷を蹴る勢いも、演技ではなく喧嘩でも始めそうだ。 世界選手権がかかった一戦。ずっと好調を維持してきたシーズン、絶対に出たいという気持ち。争う相手が、元は同じコーチのもとで練習し、大学の先輩でもある村主章枝だということ。その彼女と滑走順が隣り合わせになり、直前に素晴らしい演技で終えられてしまった状況。いやでも聞こえるお客さんの大喝采……。これだけの重圧の中、パーフェクトな演技ができればほんものだ、と思った。 「でも、ルッツがダブルに……。踏み切るのが、いつもより早かったんだと思います。タイミングが合わなかった」 試合は怖い。心の大きな揺れが、猛練習の積み重ねで身につけた得意のジャンプなタイミングをも、狂わせてしまう。 しかし今日、中野友加里の底力を見たのは、ルッツの失敗以降だったかもしれない。「女子では世界で数人の、トップレベルに入るのではないでしょうか」と平松純子フィギュア部長にも絶賛されたスピンは、この日誰よりも速く、スムーズなポジション変化で魅せた。ストレートラインステップの動きの鮮やかさやスピード感も、イーグルからのダブルクセルのジャンプとして美しさも、どのエレメンツをとってもトリノでみたものの何倍も精度を上げている。 そしてスパイラルで、ステップで見せた、観客にしっかり視線を送る華やかな笑顔! この笑顔を見た時点で、中野友加里はルッツの失敗のことなど何も気にしてはいないんだ、と思ってしまった。一つのジャンプの失敗などにとらわれず、自分の世界を今日は描けているんだ、と。 とにかくルッツの失敗以外は今シーズン最高の、いや中野友加里のSP史上最高の演技だったのではないだろうか。
しかしどんなに記者が讃えても、ジャンプミスがありながら高得点が出ていることを聞いても、表情は曇ったまま。「他の部分が良かったかどうか……わかりません。ルッツのことしか頭になくて、得点もしっかり見ていないんです」 そんなに落ち込むことなど、ないのに! と、本当に大きな声で言いたい。この緊張感のなかでこれだけの演技ができたこと。ルッツの失敗をこんなに引きずりながら、体はきっちり身につけた動きをこなし、表情には一点の曇りもなかったことに、むしろ驚いた。質問に答える泣きそうな表情、振り絞るような悔しさとは対照的に、見ているこちらはほんとうに、失敗したからこそ中野友加里の真価が見られたことが、うれしかった。 「今日のことは忘れて……フリーでは、まずは自分の演技に集中してがんばります」
村主章枝と中野友加里。26歳と22歳。日本の女子シングル黄金時代を築いてきたふたりが今日、おそらく世界選手権への3枚目の切符をかけて、争う。ほんとうに、今年ほど世界選手権の切符が4枚あればいいのに、と思ったことはない。 きっとどちらも一歩も引かない。お互いの積み上げてきたもの、お互いの信じるスケートを、思い切りぶつけてくれるだろう。「技術的には二人ともが高いものを持っている。『世界選手権に行きたい!』その気持ちが大きい方が、勝てるのでしょう」(伊藤秀仁強化部長) ふたりともに、体調もメンタルも最高のコンディションでフリーを迎えてくれること祈るしかない。そしてすべてが終わった後、ふたりともが悔やむことなく結果を受け入れられる戦いであることを、祈るしかない。
photo/Masami Morita text/Hirono Aoshima
2007年12月22日
グランプリファイナル2007 エキシビション終了、中野友加里共同インタビュー「イタリアでこの曲が滑れて良かった」
競技の緊張から解放された表情で、エキシビションに登場した中野友加里選手。気持ちはすでに年末の全日本選手権に向かっているようだが、「アリア(風)」にのって、ひとときリラックスした空間を作り出してくれた。
――グランプリファイナル、無事終わりましたね。 友加里 はい、すごくレベルの高い試合だったと思います。フリーのトリプルトウループの転倒は残念だったけれど、全体的には自分のやれるだけのことはできた。それはとてもよかったと思います。でも技術的には3回転-3回転をはじめ、いろいろなことがまだまだ足りないなあ、と。プログラムも、ひとつひとつの動作をきれいにしたいし、もっと見せられるものにしたい。まだまだ磨いていかないといけない、と思いました。
――エキシビションでは生き生きとした「白鳥」を見せてくれました。 友加里 イタリアでエキシビションが滑れるのがすごくうれしくて! 歌ってる方もイタリアの方(ジョルジア・フマンティ)、歌詞もイタリア語ですし、ここで披露できなかったらもったいなかった! 出られてほんとうに良かったです。フマンティさんも喜んでくれてます。
――ここまで4試合連続で決めているトリプルアクセル。次はいよいよ全日本選手権ですね。 友加里 全日本でトリプルアクセルを跳ぶこと、すごく怖いです。難しいジャンプ、そんなに簡単に跳べるジャンプではないので。でも決めたい、という気持ちは確かにあります。
――これから全日本選手権までの予定は? 友加里 一度新横浜に帰って練習スケジュールをチェックして、それから新横浜のクラブから全日本に出る選手、みんなで中京大学のリンクに行きます。24日か25日には大阪入りかな。
――全日本までにプログラムに手を加える部分はありますか。 友加里 まずステップをもうちょっと練習しないといけないですね。それからスピンも、得意にしているエレメンツなので、すべてでレベル4がもらえるように。先生とも相談して、できれば変えてみたいです。ショートプログラムではビールマンスピンもやる予定です!
text/Hirono Aoshima
2007年12月17日
グランプリファイナル2007 女子シングル終了 中野友加里5位
グランプリファイナルとは、こんなに緊迫感のあるものだっただろうか? パラヴェーラに集まる選手たち、その間に流れる空気は、手が切れそうなほどピンと張りつめている。無事に演技を終えた選手たちが見せる表情は、ほんとうに大きな舞台を無事に終えた安堵感でいっぱいだ。 ここがオリンピックの行われた会場だから? いやいや、トリノ入りしたばかりのころは感激していた選手たちも、数日いれば「オリンピックのあったリンク」にも慣れる。それよりも、賞金も上がり、世界ランキングの価値も上がり、注目度もずいぶん高まったまったグランプリシリーズ、そのファイナルのポジションが今年はさらに上がっていること。それを選手たちが肌で感じているのだろう。 数年前までは、スキップする選手も多かったグランプリシリーズ。ファイナルといえどなごやかなお遊び的な雰囲気があったはずだが、2007年のパラヴェーラにはそんな余裕はみじんも感じられなかった。
中野友加里もまた、極限まで緊張した様子で、フリーを迎えた。 演技前には腕を大きく振りまわし、スケートもたかたかと、せわしなく走ってしまっている。高校生くらいの頃の中野友加里によく見られた、「戦闘モード」、突入だ。これは危ないな……と思った。こんな時の彼女は、周りが全く見えなくなって突っ走って、エレメンツからも演技からものびやかさが失われてしまうのだ。……高校生の中野友加里だったら。 グランプリファイナルも2度目、世界選手権でも2回も5位を経験して、すっかりおなじみのスケーターになった彼女は、もう緊張などでつぶれたりはしなかった。 戦闘モードのまま、まずはトリプルアクセルをきれいに成功! 浅田真央と中野友加里、二選手が今夜はトリプルアクセルを跳び、グランプリファイナル初となる快挙に沸いたが、アクセルで得た点数に関しては、中野友加里の方が上だった(7.5点)ほど、上質なジャンプだった。 そして、絶対に気持ちはまだ落ち着いていないはずのこの状態で、きちんと本来見せるべき演技を見せてくれたことが素晴らしい。昨日のSPではピアノの音色。今日のフリーではハープの爪弾きに合わせて回るコンビネーションスピン。優雅で、少しお姉さんな雰囲気で、ひとつひとつのエレメンツや振り付けをこなし、音楽はスパニッシュだけれどどこか高貴な滑りを見せた前半。 さらに後半は、残念なトリプルトウの転倒がありながらも、笑みを絶やさず力強くサーキュラーステップ。音楽のパワーに負けず、挑発的で、蠱惑的、前半とは打って変わって意志の強い女性を演じた。 また最後のドーナツスピンも、昨日の穏やかなスピンとは全く違うものだった。誇り高くて、強いドーナツスピン。回転の途中、カッと天に向けて突き出された腕からは、きれいなだけじゃないよ、こんなふうにだって見せられるんだよ、という彼女の誇らしげな声が聞こえてきそうだ。
22歳。もう突っ込んで自分を見失ったりしない今の中野友加里のスケートは、様々な表情を持つ。プログラムごとに見せるものは違うし、一つのプログラムの中でも、自在に輝きや色を変えてしまう。こんなに表現の幅の広い人だったのか、と、今回は改めて驚いた。そして、まだまだいろいろな顔の中野友加里を見てみたいな、と思った。 今年、大学4年生。卒論の執筆をしながら中野友加里はグランプリシリーズを戦った。大学卒業後は、ある程度の実績と覚悟がなければ競技を続けられない年齢になる。 できるだけ長く、できるだけたくさんの中野友加里を私は見たい。そのために、彼女の練習環境が整うこと、彼女の実力と魅力に見合ったサポートがあることを願っても、決して高望みではないと思う。
photo/Dave Carmichael text/Hirono Aoshima
2007年12月15日
グランプリファイナル2007 女子シングルSP終了 中野友加里4位
つくづくピアノの音色をよくとらえたプログラムだな、と思った。 ショパンの「幻想即興曲」はオーケストラバージョン、室内楽アレンジバージョンなど様々なバージョンがフィギュアスケートで使われている。そのなかで、中野友加里と振付けの佐藤久美子コーチが、原曲であるピアノ曲を選んでくれたことは、なんとなくうれしかった。ピアノだけ、ヴァイオリンだけといったシンプルな曲は、表現することが難しい、もっと盛り上がるオーケストラ曲や賑やかな映画音楽などで、曲に助けてもらいたい、多くのスケーターたちはそう言う。でも、芯に強いものを持ちつつ、フェミニンでやわらかな雰囲気を漂わせる今の中野友加里ならば、このシンプルだけれど強い訴えかけのあるピアノ曲こそが、ぴったりだと思ったのだ。
2年ぶりのファイナルという緊張感と、冒頭のコンビネーションジャンプの流れが良くなかったこともあってか、表情はやっと絞り出したような笑顔だった。しかし、しなやかな手の動きも、基本に忠実なエッジワークを見て美しいものにまで高めたステップシークエンスも、ほんとうによく音楽と調和している。「ロシア杯後は5コンポーネンツを上げるためにがんばってきました」と前日語っていたが、久美子コーチと中野友加里が作り上げた優雅さ、可憐さに、パラヴェーラのお客さんはどんどん酔いしれていったようだ。 ああ、きれいだなあ、そして何だかほっとするなあ、と思ったのは、プログラム最後、得意技の高速回転ドーナツスピンだ。競技のまっただ中なのに、そしてよくよく見ればドーナツスピンの形は、人間の体を不自然に折りたたんだいびつなもののはずなのに、なんだか見ていて心が穏やかになる、不思議な動きだ。今までも、彼女のドーナツスピンを「すごい!」と思うことはあった。でも、こんなふうに心を揺さぶられるのは初めてのこと。中野友加里が鍛錬に鍛錬を積んだポジション、リズミカルな回転、それがショパンの名曲の中に置かれることで、ドーナツスピンは大きな力を持ったような気がする。人の体の動きで人を酔わせる。そのためにスケーターたちは毎日毎日、過酷な練習を積んでいるのだな、と思った。 最後は、ピアノを弾き終えるような、響き渡った音色を鎮めるような印象的なポーズでフィニッシュ。
中野友加里の作り出した空間の穏やかさ、清廉さに対して、十分な点数は出なかった。 「この試合の前にステップシークエンスを変えたばかり。新しいステップは十分な練習ができていなかったかもしれません。その他にもいくつか小さいミスをしてしまいました」と、彼女自身も振り返る。 だが得点が出た時、思わぬ出来事が起きた。トリノのお客さんたちはこの点数に対し、大きなブーイングをしたのだ。次の滑走者は、地元の星、コストナー。普通ならばお客さんの気持ちはすぐにでもコストナーに移ってしまってもおかしくない。それでも観客たちは、確かに彼女の演技に何かを感じて、「もっと点数が出てもいいぞ!」と言ってくれたのだ。 キス&クライでちょっと顔を曇らせていた中野友加里は、このブーイングを聞いただろうか。これこそが、今夜の彼女の得たもの。点数や順位では表せない、この演技を心で受け取った人々の、確かな評価だ。
photo/Dave Carmichael text/Hirono Aoshima
2007年12月15日
グランプリファイナル2007 女子シングル公式練習レポート
女子シングルも13日、14日と二度の公式練習を終了。2日間で選手の表情にも微妙な変化が表れている。
非公式の練習でのびのびとした滑りを見せていたキャロライン・ジャンは、13日も習得したばかりの3回転-3回転を素晴らしいスピードと勢いで着氷。やはり14歳、どんどん上手くなっている様子が楽しかったが、本番を目の前にした14日は、ちょっとだけ硬い表情に。ジャンプも崩れがちで、緊張感と疲れが見えてくると、堂々と戦ってきた彼女もまだ14歳なのだと気付かされてしまう。
中野友加里も公式練習が始まってから、少し笑顔が小さくなってしまったようだ。ショート前日はジャッジ席に素敵な笑みを見せながらステップ。スパイラルでもしっかり客席に目線を送っていたが、14日は少し焦っている時の滑りの慌ただしさが見えた。練習終盤には佐藤コーチとしっかり対話。誰よりも経験豊富な彼女のことだ。本番にはしっかり合わせてくることを期待したい。また14日の公式練習では、カナダ国立バレエ団に制作を依頼した新しい衣装を着用。ピアノの音色に合わせてきらめくようなニューコスチュームもお楽しみに。
カロリーナ・コストナーは、地元でのファイナルということで、思いもひとしおだろう。公式練習中も頭上の大きなビジョンに、彼女の出演しているCMや、トリノ五輪でイタリアの旗手を務めている姿がひっきりなしに流れていた。映像のなかでゴーカートに乗ったりトランポリンで跳びはねたりしている明るい女の子が、すぐ下のリンクではジャンプが抜けたりお手付きしたりと、プレッシャーに苦しんでいる……。メンタルの弱さが指摘されがちな彼女だが、この大一番を無事に超えられたら、ひとつ強くなれるのではないだろうか。
本番直前になって表情がいきいきしてきたのは、キミー・マイスナー。06年に世界チャンピオンになってからの伸び悩みが心配されてきたが、今シーズンはスケートアメリカで優勝、初めてファイナル進出も果たした。14日朝の練習で見せた「The Feeling Begins」では、顔つきからも体の作るきりっとしたラインからも無理のない自信が感じられた。キム・ヨナ、浅田真央と戦いが決して楽ではない状況は続いているが、いい意味で気持ちをふっきって、自分の演技を極めて行こうという姿勢が今日はうかがえた。
キム・ヨナの今シーズンの好調ぶりは聞いてたが、生で見るとここまでか、と驚くほどだ。トリプルルッツ、トリプル-トリプルなど、トリノ入り直後からジャンプは美しく決めまくる。プログラムの通しも気を抜かず、表情も振り付けもきちんとつけながら、ジャンプもしっかり跳んでしまうのだ。音楽に乗っての躍動感たっぷりの動きには、コーチのブライアン・オーサーも体をゆらして見守っているし、リンクにいた他の選手も自分の練習を中断して見入ってしまうほど。オーサーコーチは、「トレーニングは良くできているし、彼女の到達できるはずのレベルはとても高い。何の問題もないね!」と、自信たっぷり。しかし、グランプリシリーズ絶好調で、優勝候補筆頭と目されての戦いは、精神的に決して楽ではない。ショートプログラム「こうもり」の曲かけで、イナバウアーからのダブルアクセルにちょっと躊躇している様子も気になった。
SP直前の今日、気持ちも滑りも一番いい状態にあったのは、おそらく浅田真央だ。現地に入ったばかりの前日の練習では、思ったよりもいい調子のトリプルアクセル、何度も完璧に着氷した3回転‐3回転に満足気。試合前にこんな明るい笑顔を見せるのは久しぶり、と思うほどご機嫌だった。今日も練習が始まる前、リンクサイドに立った時からなんだか楽しげで、滑りだせば目を見張るほど伸び伸びしたスケートを見せる。3回転フリップ-3回転ループは、セカンドジャンプの方が高い好調ぶり。この日のSPでは跳ばないトリプルアクセルも、後ろにダブルトウループをつけて成功させてしまった! プログラムを滑れば四肢の動きは他選手と比べ物にならないほど大きいし、気持よく足の上がるスパイラルも、複雑だけれど無理なくスケール感を感じさせるステップも、びっくりするほど素晴らしい。公式練習だというのに、見ていてちょっと感動してしまったほどだ。シリーズ2試合、少し納得のいかない出来だった今シーズン。自分は挑戦者だという気持ちでこのトリノにはやってきたのだろう。優勝することや他選手のことは気にせず、自分のスケートを見せたいという気持ちが、今日の浅田真央の滑りには表れていた。リンクサイドではアルトゥニアンコーチに加え、ロシアから駆け付けたタチアナ・タラソワコーチも身を乗り出して愛弟子を見つめている。
text/Hirono Aoshima
*写真はキミー・マイスナー選手
2007年12月14日
グランプリファイナル2007 13日公式練習後、中野友加里選手共同インタビュー
――2日前から現地での調整を続けてきた中野選手ですが、公式練習が始まりましたね。 友加里 はい、やっぱりみんなすごい人たちがそろったなあと、びっくりしています。なんだかみんなに触りたくないような感じで練習しちゃった(笑)。トリプルアクセルの調子も、昨日の方が良かったかな。でも、大事なのはトリプルアクセルだけじゃないので。
――ちょっと緊張していますか? 友加里 もちろんしてます(笑)。明日の本番も、緊張すると思います。まわりの6人は上手な選手ばかりだから……でも気持ちが引かないようにしたいです。今回はほんとうにレベルが高いので、びり脱出を目指していければ。
――今シーズン、ここまでいい調子で来ましたが、昨年からどのあたりがレベルアップしたと感じていますか? 友加里 エレメンツのレベルが思っている通りに取れるようになったことが、成長といえば成長かな。でも私が伸びたら、周りの選手だって上手くなってるんだと思って、常に向上心を持っていきたいです。
――さらに今、伸ばしたい部分は? 友加里 やっぱりファイブコンポーネンツ。先生にも、もうひといきだね、と言われています。スケーティングスキルやパフォーマンスの点数がもう少しもらえれば……。そのために、ロシアカップが終わってファイナルまでの間は、どう見せられる演技をするか、久美子先生にしっかりアドバイスをもらってきました。振り付けも細かく見ていただいたし、動きのメリハリ、情熱的に踊ることなど、教えていただいていて。そのあたりを今回の試合では出せればいいと思います。
――イタリアの食事を楽しみにしていましたが、堪能できましたか。 友加里 はい! もうおいしいもの、ほとんどみんな食べました。ピザ、チョコレート、カプチーノやラテもおいしくて。でもまだアイスを食べてないので、イタリアのアイスを味わってから帰りたいです!
ちょっとずつ戦闘モードに入ってきた中野選手。本人は「びり脱出!」と謙遜するが、表彰台争いに絡んでくるだろうと予想する人は多い。調子がいいだけに本人も意気込んでしまいがちだが、おいしいものを食べて、夏の練習でやってきたことを信じて。リラックスして本番にのぞめば、結果は必ずついてきそうだ。
photo/Dave Carmichael text/Hirono Aoshima *写真は13日公式練習後、リンクサイドで佐藤信夫コーチと
2007年12月13日
グランプリファイナルに向けて 中野友加里選手コメント
少し早めにトリノ入りし、本番に向けてじっくり調整中の中野友加里選手。充実した練習を積んだオフシーズンの成果をそのまま出せている今年、グランプリファイナルでも、いい笑顔を見せてくれそうだ。2年ぶりの出場となるこの大会への意気込みを聞いた。(12月3日、新横浜にて収録)
――今年の中野選手がすごいな、と思うのは、これだけスケート人気に火が付いてしまい、リンクが大混雑する中で、しっかりした練習を重ね、ファイナル進出を勝ち得たこと。日本のトップ選手の多くが海外に練習地を求める今、中野選手や神宮の武田奈也選手の活躍は、ほんとうにすごいな、と思います。 友加里 新横浜も夏の時期よりは練習時間が取れるようになってきましたが、リンクが混んでいるのは相変わらず。自分だけ、たまに崇彦(小塚崇彦選手)とふたりで、自由に練習できる時間は基本的に一日一時間なんです。
――それ以外は、一般営業時間や多くの選手たちといっしょの練習に。こんな環境で今回のファイナルに勝ち残った選手は、まずいないでしょう。 友加里 でも、練習環境が良くないからこそうまくなれるんだ、と思います。いい環境であるほど、きっと甘えてしまう。いつでも練習できるや、って気持ちに、きっとなってしまので。だから名古屋は強いんですよ。いつも混雑したリンクで育ってきたからこそ、みんな頑張れた。でも……子供のころは体も小さかったから、混雑のなかでもある程度の練習はできていたかな。大きくなってしまうと、さらに難しさはありますね。小さい子とぶつかってケガをさせないよう、気をつけて滑らなきゃいけないし……。とはいえ、ずっとこうした環境で育ってきたことは、私たちの強みだと思っています。
――今は名古屋だけでなく、全国で小さな選手たちが練習場所不足で悩んでいますが、この時代からもさらに強い選手たちが出てくるといいですね。そんなちびっ子たちにとっても憧れのひとつとなるグランプリファイナル。今大会に向けて、楽しみにしていることは? 友加里 やっぱりイタリアなので、おいしい食事かな! あとはファイナルを精一杯楽しむことです。グランプリシリーズ、今年は特に厳しい戦いだったから……。私の出たカナダとロシアは特にレベルが高かったですよね。もう、ファイナルに出られたことだけでも、幸せだと思って。
――グランプリシリーズ2戦、また東京選手権でも着氷し、今シーズンはトリプルアクセルも例年になく安定しています。このジャンプに対しての気持ち、変わりましたか? 友加里 ぜったいに跳びたい、って気持ちは、いつもの年と変わらず持ち続けています。でも実際にこうして跳んでみて、跳びたい気持ちの強さは、より増してきたかな。でもほんとうに難しいですよ、試合で跳ぶのは。ファイナルでも跳べるように……できるだけの努力はしていきたいです!
text/Hirono Aoshima
*写真はグランプリファイナル記者会見でのひとこま。
既にありすぎる「根性」に関して高橋選手、松岡修造さん双方からつっこみが。
2007年12月13日
開幕直前! トリノ・パラヴェーラレポート(3) パラヴェーラのトリプルアクセル!
12日。午後になると日本の中野友加里選手が佐藤信夫コーチ、加藤修トレーナーらとともにリンク入り。前日に続き、パトリック・チャン選手とふたりで貸し切り時間をシェアして練習を行った(パラヴェーラの貸切料金、とても高いのだ!)。 ときどきオーバーターンするなど、ジャンプの調子はまだ上がりきっていない様子だが、佐藤コーチと密にコミュニケーションを取りながらいつも通りの落ち着いた練習ぶり。昨日は軽い練習のために跳ばなかったというトリプルアクセルにも、今日は挑戦した。練習中の成功率は約5割。フリー「スペイン奇想曲」の曲かけでは見事に成功! 一昨年のトリノ五輪でも昨年のユニバーシアードでも、女子シングルにトリプルアクセラーはいなかったから、練習とはいえ、パラヴェーラのリンク上で見られた初めての女子のトリプルアクセルだ。 憧れのトリノ、中野選手はわくわくしているのか、それとも緊張しているのか? 「緊張しているでしょうねえ」と、佐藤信夫コーチ。 「本番でどうなるか……うーん、それが読めたら、なんだってできますよ(笑)」 腰が痛い痛いといいながら、久しぶりに訪れたトリノでもいつものニコニコ顔。選手が調子がいときの、緊張感も漂わせながらの笑顔だ。 しかし本番までまだ2日ある今日は、練習も全体的になごやかなムード。パトリック・チャン選手のロウコーチと佐藤コーチはリンクサイドで何やら楽しげに談笑しているし、パトリックの音楽CDを日本の加藤トレーナーがかけたりも。 しかしこの時点ですでに、試合に向けてどう気持ちを持っていくか、選手たちのメンタル戦は始まっている。
text/Hirono Aoshima
2007年10月18日
フィギュアスケートDays vol.4 本日発売

創刊2シーズン目を迎えた専門誌「フィギュアスケートDays」。通巻5号目となるvol.4が本日発売になります。表紙には今シーズンも更なる飛躍が期待される中野友加里選手が初登場。sports@niftyフィギュアスケート特集にも写真を提供している本間孝行氏による撮影です。
■[ロングインタビュー]
中野友加里 「決意は胸に秘めて」
■[宮本賢二レポーター企画]
賢二としゃべろうよ! 第2回 安藤美姫
■フレンズ・オン・アイス2007レポート
[インタビュー&1日密着]荒川静香
■[姉妹対談]村主章枝×村主千香
■「アイスダンス」への招待
宮本賢二が語るアイスダンスの魅力
注目のアイスダンサーたち
[インタビュー]リード姉弟/デイビス&ホワイト
■IceGirls2007レポート
もっと知りたい! シンクロナイズド・スケーティング
■日本スケートリンク事情 第3回 中京大学オーロラリンク完成
■[インタビュー]曾根美樹
■真夏の氷上祭典 THE ICEレポート
■スタンダードナンバー比較 ロミオとジュリエット編
■世界のフィギュアスケーターたち アミ・パレック(インド)
■07-08シーズンガイド
■木戸章之のアイスダンスまるわかり講座 第4回
■フィギュアスケート中継、なんでそうなるの!?
■岡崎真のゼロからおぼえる新採点講座 第4回
■振付師に聞く 第5回 マリーナ・ズウェア
■from the backstage ―フィギュアスケートを支える力― 第5回 通訳・新村香
全国書店、ネット書店のほか、ダイエックス出版ホームページでもご注文できます。
「フィギュアスケートDays vol.4」 ダイエックス出版
ISBN: 978-4-8125-2970-6
サイズ: A4判
発行年月: 2007年10月18日
定価:1,680 円(本体価格+税)
2007年09月30日
プリンスアイスワールド2007東京公演レポート

1978年、日本初のアイススケートショーとして誕生した「プリンスアイスワールド」は、今年、記念すべき30回目を迎えた。東京公演の会場となったダイドードリンコアイスアリーナには、子供たちからおじいちゃん、おばあちゃんまで幅広い客層が集まり、フィギュアスケート人気の高さを物語っていた。
「プリンスアイスワールド2007」の目玉ともいえるのが、荒川静香と本田武史による夢のコラボレーションスケーティングだ。この2人は幼い頃からのスケート仲間で、同時代にフィギュアスケート界を牽引し、共に昨年プロスケーターに転身。豪華な顔合わせでショーのトップを飾り、会場を盛り上げた。
『ウエスト・サイド物語』の曲に合わせ、深紅の衣装に身を包んだ2人が恋人どうしを演じる。最初は2人で、そして本田武史のソロ、荒川静香のソロと続き、もう一度2人のコラボレーションで終わる構成。さすが男女シングルのトップスケーターとして活躍してきた2人だけに、スピード感のあるスケーティング、揃ってステップからのアクセルジャンプを決めるなど、難度の高いコラボレーションを見せてくれた。
2人による恋人どうしの表現という点では、ソロパートの方が恋の切なさを表現できていたかもしれない。2人のコラボレーション部分では、初々しさが際立ち、微笑ましい恋人どうしが表現されていた。
これと対照的だったのが、ショーの後半に演じられた、プリンスアイスワールドのチームリーダー・八木沼純子と大島淳による『雪の華』。決して高難度の技が盛り込まれているわけではないが、純白の衣装で舞い踊る2人は、情感たっぷりに大人の愛を表現していた。

現役選手からは、中野友加里と高橋大輔が華を添えた。
中野友加里は、5月のプリンスアイスワールド公演でも披露した『リトルナーレ』。滑るごとに妖艶な身体の動きを身につけ、完成度を増しているようだ。
このオフシーズンのアイスショーでは、トリプルアクセルに挑戦したり、片手ビールマンスピンも積極的に取り入れるなど、シーズンに向けて、要素のレベルを上げるための努力が垣間見える。表現技術もどんどん上がっている中、勢いをつけてグランプリシリーズを闘ってほしい。
高橋大輔は、今シーズンのエキシビションナンバー『バチェラレット』を披露。公演途中からはロングバージョンになり、サーキュラーステップが追加された。うねるような全身の動きとステップが、他のスケーターにはない独自のスケート世界を表現していた。
オフシーズンはアイスショー出演が目白押しだった高橋大輔。それらの中でも、オープニングやフィナーレに、4回転ジャンプやステップからのトリプルアクセル、トリプル-トリプルのコンビネーションジャンプ、逆回転のジャンプ……と、さまざまなトライアルを繰り返していた。意気に燃える彼の心の表れだろう。
現役選手は間もなくシーズンイン。アイスショーで磨いた技や演技を生かし、今シーズンも勝ち抜いてほしい。
text/Yukiko Oshima photo/Takayuki Honma Masayuki Kojima
2007年09月29日
フレンズ・オン・アイス2007レポート(2) 宮本賢二 「遊びごころ」の演出

そして、この「フレンズ・オン・アイス」で随所に見られたのが、スケーターたちの<遊び心>。最近の日本のアイスショーにおいて、<遊び心>をうまく演出に結びつけているのが、今回振付けを担当した宮本賢二だ。彼の仕事の集結も、今回の「フレンズ・オン・アイス2007」のみどころの一つと言えるだろう。
スケートファンの間で、振付師・宮本賢二の名前が、この数カ月ほど話題に上ったことはなかったかもしれない。オフシーズンに開催されたアイスショーで、彼の振付けによるエキシビションナンバーが次々と発表されたのだ。
中野友加里の『リトルナーレ』(『コルテオ』より)、高橋大輔の『バチェラレット』、織田信成の『Around The World』、南里康晴の『炎のファイター ~INOKI BOM-BA-YE~<ピアノ・ヴァージョン>』、中庭健介の『Cerezo Rosa』、小塚崇彦の『Staying Alive』。
男子トップ選手ほとんどのプログラムを手掛ける、この勢い!
「フレンズ・オン・アイス2007」で演じられたプログラムにも、宮本賢二作品が多く含まれていた。
本田武史の『ゴッドファーザー』は、軽快なステップとジャンプで彼の魅力を表現した。演技終了後もう一度、音楽が流れ出したかと思うと、スポットライトの下には宮本賢二の姿が……。いま滑り終えたプログラムの一部を、振付けた本人の宮本賢二が演じる「おまけ」付き。最後は本田・宮本2人並んでのストレートラインステップで魅せた。
中野友加里は、5月のプリンスアイスワールド以来の『リトルナーレ』。今までにはないイメージの曲に挑戦して表現したいという彼女の演技は、オリエンタルな衣装とともにエキゾチックな輝きを放っていた。
高橋大輔が披露したのは『バチェラレット』。中野友加里の『リトルナーレ』を見て、高橋自身が「こんな不思議系のプログラムを……」と依頼したという。演じるごとに微妙に変化を遂げるこのプログラムは、見る者を迷宮の世界に引き込んでくれる。
トリは荒川静香の新プログラム『Fly me to the moon』。ショーナンバーならではのゴージャスでダンサブルな作品に仕上がった。演技が終わると、曲がそのまま流れ続ける中、フィナーレに入っていく。そんな演出も楽しめた。

これだけのスケーターたちが宮本賢二の振付けを求めたということが、日本のスケート界が寄せる、彼への期待を表している。05-06シーズンまで現役アイスダンス選手として活躍し、現在活躍するスケーターたちの年齢に近い兄貴分的な存在感も人気の理由の一つかもしれない。
宮本賢二が手掛けたプログラムに共通するのは、そのスケーターに「今」必要な表現を提供するとともに、アイスショーで観客に「今」を感じさせて盛り上げる「遊びごころ」を持っていることだろう。
そういえば、昨年4月に開催されたアイスショー「KTVダイヤモンドアイス2006」のフィナーレで、男子選手がそれぞれに別の選手の衣装を着て登場したサプライズも、宮本賢二が仕掛人だったという。
そんな遊びごころをプログラムやショーの振付けに取り入れる彼の演出。欧米からの直輸入が多いアイスショーの中で、日本の観客に向けた日本オリジナルの世界観を提示してくれているようだ。
宮本賢二は、もしかしたら日本のアイスショーを変える振付師になるかもしれない。そんな期待をもって注目していきたい。
text/Yukiko Oshima photo/Sunao Noto
2007年08月01日
野辺山サマーフェスティバル・オン・アイス2007Finalレポート(2) 荒川静香、野辺山の最後を飾る

野辺山サマーフェスティバル・オン・アイスは、世界選手権に出場した中野友加里、浅田真央、安藤美姫の3人の女子選手が揃って出演することでも注目された。
中野友加里は、サン・サーンス「白鳥」で優美な舞いを披露。より精度を増したスケーティングに加え、白鳥を思わせるポジションで後方に滑るスパイラル、トレードマークのドーナツスピンなどで魅了した。
先シーズンのエキシビションナンバー「クロディーヌ」等に続く、やわらかで可憐な滑りは、いまや中野友加里を語る上で欠かせない。そんな彼女のアピールポイントを極めるプログラムだ。
浅田真央は、新プログラムであるショパン「別れの曲」の国内初お披露目となった。3回転ジャンプを決め、跳ねるように軽やかなステップは、いつもの真央ちゃんスタイル。だが、それ以上に、情感豊かにしっとりと踊り込んでいく演技が目を引く。バレエレッスン等で表現技術を磨いている成果だろうか。
中野友加里、浅田真央ともに、今シーズンの<闘い方>をしっかりと心に決め、日々のトレーニングで女王の座に邁進しているのだろう。

安藤美姫は、プッチーニ「ラ・ボエーム」で華麗に舞った。
スパイラルでは観客に笑顔を向ける。ケガの影響か、ジャンプ等まだ本調子ではないものの、世界女王にふさわしい、まさに華のある滑りだった。
そして最後にサプライズゲスト! 「誰も寝てはならぬ」ボーカルバージョンで登場したのが荒川静香だった。野辺山で開催されてきた新人発掘合宿の第1期生として、アジア初のオリンピック金メダリストとなった彼女こそ、「野辺山サマーフェスティバル・オン・アイス2007Final」の大トリにふさわしい。
軸が完全に傾きながらも確実に着氷する3回転ジャンプ、両手を離したY字スパイラルから、さらに背中で手を組む新ポジションも披露。最後はイナバウアーで魅せ、会場中がスタンディングオベーションで興奮に包まれた。
プロとなっても更なる進化を続け、<プロフィギュアスケーターとして闘う姿>を荒川静香が示し、「野辺山サマーフェスティバル・オン・アイス2007Final」は幕を閉じた。
text/Yukiko Oshima photo/Takayuki Honma
2007年03月19日
18日公式練習終了後、中野友加里選手のコメント

●中野友加里選手
「公式練習、お客さんが多くてびっくりしました! こうして会場に入ってきてお客さんに会うと『いよいよ始まるんだな!』という感じがしますね。緊張感プラス楽しみという気持ち、両方感じて、今、とてもわくわくしています。
お客さんがたくさんいたことで、緊張感を持って本番のように練習できたのもよかったと思います。メインリンクの氷も最初はあまり慣れなくてちょっと滑りづらかったんですが、今日は3日目ということで、かなり合ってきました。
これからは体調管理を一番に考えて、疲労を残さないように、そしていかにして調子をどんどん上げていくかを考えながら過ごしていきたいです。本番での一番のポイントは、練習どおりにやること。去年はみんなに少しずつ名前を覚えてもらえて、『うまくなった!』といってもらえました。今年は去年とは一味違う私を見て欲しいです。
日本の3選手の雰囲気は、和気あいあい(笑)。私が一番年上なんですが、年齢差を感じないくらい、みんなで盛り上がっています!」
text/Hirono Aoshima
2006年12月31日
2006全日本選手権女子シングル 中野友加里3位 トリプルアクセラーの資格

浅田真央、安藤美姫、中野友加里。
全日本選手権女子シングル表彰台に立つ3人が3人とも、決して当たり前のようにここに立ったのではない。中野友加里は好調なシーズンにトリノ五輪に出られなかった悔しさ、安藤美姫は五輪シーズンの不調、浅田真央はトリプルアクセルが決められないほどの今シーズンのプレッシャー。
それぞれが直面した壁を乗り越え、それぞれが素晴らしい演技を見せて表彰台に並んだ今年の全日本選手権。5年ぶりに日本で開催される世界選手権代表としても、ふさわしいメンバーが揃った。
最終グループの2番目に登場した中野友加里は、すっ、と取った最初のポーズからエレガントだった。
「今シーズンのフリー、まだ一度も納得のいく演技ができていません。明日は自信を持って今までやってきたことをぜんぶ見せたい」(前日SP終了後の共同インタビューより)
確かにフリーの「シンデレラ」では、昨年の「ドン・キホーテ」ほど鮮烈な演技を、私たちはまだ見ていない。果たして今日はどうか? エレガントな滑り出しから、最初はいきなりトリプルアクセル。しかし助走のスピードが落ち、見ている人が危ない! と思った次の瞬間、転倒。
「トリプルアクセルは、『跳ぶかどうか、しっかり決めてから滑り始めなさい、跳ぶ瞬間に迷ったらだめだ』と信夫先生に言われました。6分練習の調子を見た先生は、『もしかしたら危ないかもしれないよ』と言ってくださった。でもやっぱりチャレンジしたくて、前の選手が滑っている間に跳ぶことを決めました」
トリプルアクセルや4回転などの大技は、選手にとって大きな武器であり、大きな誇りでもある。でも同時に、いつも周囲からその技の成功を求められ、大きなプレッシャーがかかり、大技に意識を取られることで集中が乱され……。選手にとって諸刃の剣でもあるのだ。
昨シーズンの安藤美姫も今シーズンの浅田真央も、4回転やトリプルアクセルに、ずいぶん苦しんできた。初めて試合で成功させた2002年から、ずっとトリプルアクセルに挑み続けている中野友加里も、長い間その苦しみとともにあった。でもいつも「この試合こそが大一番!」というとき、彼女はトリプルアクセルを跳ぶことを選ぶ。
「転んでしまって残念。失敗したことで、一瞬焦りは感じたけれど……『この先は練習どおり!』と思って続けられました」
そう、大技を持つ選手は、技の取得と同時に身につけなければならないものがいくつかある。ひとつはプログラムの序盤に跳ぶビッグジャンプに失敗しても、気持ちを引きずらない精神力。これをこの日の中野友加里は完璧に発揮できていた。アクセル直後のトリプルルッツ-ダブルトウは成功。トリプルフリップ-ダブルトウを決めた後には笑顔も見せた。続く3-2-2も、その他の単独ジャンプも、ジャンプはすべてクリーンに入る。
そしてもうひとつは、たとえ大技を失敗しても、他のエレメンツやセカンドマークなどで減点を挽回できる力だ。こちらでも「シンデレラ」が見せてくれたのは、スピンでこんなに拍手が起こるなんて、と驚くほどお客さんに愛されているバイウルスピン、手の動きもたっぷり優雅に見せるイーグル。そして終盤、シンデレラをせかすように時が刻まれる中、音楽の緊張感などものともせずに軽やかに、うれしそうに刻むサーキュラーステップ。ちょっとここでは、時間に追われるシンデレラというよりも、時間を自在に操る時の精のようにも見えたけれど、中野友加里の満面の笑みが見られたのだから、それでいい。
最後は「やれた!」という気持ちそのままに、誇らしげなスパイラルシークエンス。そして締めのダブルアクセル、成功!
こんな表情の中野友加里が今シーズンは見られなかったのだ。こんな幸せそうに滑る中野友加里が見たかったのだ。
トリプルアクセル転倒を差し引いても、これだけの演技。これだけの充実感。
これができるのならば、この人は、これからもトリプルアクセルに挑戦し続けることができる。そんなことをトリプルアクセルに失敗したフリーでこそ、中野友加里は見せてくれた。
結果は総合3位。フリーだけなら2位で、文句なしの世界選手権代表決定。
「この日のためだけに、今まで練習を積んできました。こうして結果を残すことができて、すごくうれしいです。でも本当に3位になれるとは思わなかった。ずっといっしょ練習したり競ったりしてきた名古屋の3人で表彰台に上がることができて、ほんとうにうれしいです」
写真/S.Sato 文/Hirono Aoshima
2006年12月03日
NHK杯女子シングル終了 中野友加里3位

優勝をしなければファイナルに行けなかった浅田真央よりも、1位か2位ならばファイナルに行けるはずだった村主章枝と中野友加里の方が、実はこのNHK杯はつらい試合だったかもしれない。
「去年の友加里ちゃんは素晴らしいシーズンを送った。でも精一杯の気持ちで挑んだ年の次は、その調子が続かないこともあるもの。去年の良さがあったからこそ、今年は彼女にとっては厳しいシーズンになるかもしれません」
あるプロスケーターがそう心配していたのを思い出す。
とにかく今年のオフシーズン、中野友加里は大忙しだった。プリンスアイスワールド、そして世界最高峰のアイスショー、チャンピオンズアイス。これまで出たことのなかったアイスショーにも呼ばれ、これまでにないほどの大きな声援を受ける人気スケーターになった。ショーの準備にも、増えた取材の対応にも忙しく、昨シーズンのような「できる限りすべてのことをスケートのためにする」詰めに詰め込んだ練習はできなかったかもしれない。そんな状況とは逆に、これまで得た高い評価を崩したくない、気負いは昨年よりもずっと大きかっただろう。
そして迎えた、NHK杯。ファイナルに行くにはかつてのクラブ仲間だった浅田真央、現在同じリンクで練習している村主章枝、ふだんは仲良くふざけあえるふたりと戦って、1位か2位にならなければならない。しかも彼女は昨年のこの大会の優勝者。ディフェンディングチャンピオンとして、どれだけの重圧と戦っただろうか。
それでもショートプログラム。自身も気に入っている「SAYURI」のプログラムを、振り付けをしたマリーナ・ズウェアも見守る中で、しっとり、力強く披露して見せた。
スパイラルのときに客席に送る艶やかな視線は、はるか遠くからでも、うしろから見ていても感じてしまうほど強い。お客さんを大いに乗せたストレートラインステップも、何気ないつなぎの場面の手の動きも、ひとつひとつが「見つめていたい」と思わせるものだ。ジャンプまでもが「跳びたい!」という彼女の大きな気持ちが形になって現れたよう。
日本の女子シングル。全員がほぼノーミスで終えたショートプログラムは、スケーティングもジャンプも技術的な美で見せた浅田真央、何かを演じるというよりもひとつの表現体となって「ボレロ」を描いた村主章枝、ともにすばらしい出来だった。しかし、2分50秒の間、エレメンツひとつひとつに呼吸をさせて、生きた「思い」を伝えられたのは、誰よりも中野友加里だったかもしれない。
去年の刺激的だった「ムーランルージュ」以上に、見ている人の心に大きな塊を投げかけるような魅力が、「SAYURI」のプログラムと、演じ手の中野友加里にはある。
グランプリファイナルでその姿が見られないのは残念だが、全日本選手権、そしてそれに続く大会で、去年以上の輝きを放つ中野友加里が見られる、そんな日を待ちたい。
写真/M.Morita 文/H.Aoshima
2006年04月29日
プリンスアイスワールド2006レポート(1) 中野友加里、新プログラムを披露

スケートファンにとっては、オフシーズンのお楽しみ。
日本唯一のプロアイスショー、プリンスアイスワールドが、2005年の横浜公演より1年ぶりに帰ってきた。八木沼純子や田村岳斗、大島淳、西田美和など日本を代表する百戦錬磨のプロスケーターたちとともに、今回はたくさんの日本代表選手たちも登場。
村主章枝、荒川静香、中野友加里、浅田舞、浅田真央らの元気な姿がこのゴールデンウィークも見られそうだ。
4/29からの本公演に先だって公開された4/28のゲネプロでは、村主章枝と中野友加里のふたりが今シーズンの新プログラムを披露してくれた。
今回のゲストスケーターのうち、中野友加里は浅田舞とともに、プリンスアイスワールド初登場となる。
「初めての参加ですが、楽しんで滑りたいと思います。そして皆さんが楽しめるショーになればいいな、と願っています」
第一部中盤に登場し、「一週間前に振付けの先生のいるデトロイトから帰国したばかりなんですよ」と、ほんとうに出来立てのショートプログラムを初公開。
音楽は映画「SAYURI」より「芸者」(ジョン・ウィリアムズ作曲)。エキシビションアレンジとして、唐傘を持ってのシックな登場に、なんだか「いつもと違う友加里ちゃん」を感じてしまう。
プログラム序盤は表情も凛々しく、キッと客席を見据える強いまなざしが印象的だ。そしてきりりとした雰囲気のまま、跳ぶジャンプも凛々しい! 中盤のスパイラルシークエンスではいつものやわらかな微笑みも見せてくれたが、ほんの1ヶ月前のエキシビションよりも、少し「お姉さん」になったような笑顔。そして、終盤のストレートラインステップは、再び内に秘めた激しさを表すように力強く! 小さな中野友加里が大きく見える迫力で、アイスショー仕様の小さなリンクがさらに狭く感じられたほどだ。
また、すっかりトレードマークとなったドーナツスピンは「わあ、まだ回ってる!」とびっくりするくらいたっぷりと。しかも上に突き上げた腕の動きにバリエーションが加わり、さらに進化した姿を見せてくれた。このラストのドーナツスピンだけでも充分「中野友加里ここにあり」を見せてくれる名プログラム。振付のマリーナ・ズウェアとのコンビも3シーズン目ということで、彼女のさらなる魅力を引き出してくれているようだ。

「友加里ちゃんどう? これまでとは、またちょっと違うでしょう?」と見守る佐藤久美子コーチもにっこり。
昨シーズンはショート、フリー、エキシビションでそれぞれ違うテイストのプログラムを滑りこなした中野友加里だが、今シーズンはひとつのプログラムの中でいろいろな表情の彼女が見られるかも?
もちろんまだまだ作ったばかりのプログラム。滑り込んで自分のものにしている、とまではいかない。でも、人前で披露することほどプログラムを磨いて行くいい手段はないという。
これから一週間のプリンスアイスワールド公演で中野友加里の「芸者」が、どこまで彼女の身体になじんでいくか――楽しみに見つめてみたい。(青嶋)
写真/浅倉恵子
*プリンスアイスワールド横浜公演は4/29~5/7まで。チケットはすべて完売ですが、8月の東京公演をはじめ全国5都市にて36回の公演が予定されています。
*中野友加里選手へのインタビューは5/12発売「フィギュアスケートデイズ0号」に掲載されます。
2006年03月27日
女子シングル終了 中野友加里 フリー6位 総合5位 彼女の得たもの

中野友加里のフリー演技を待っているとき、ふっと思い出した光景がある。
2003年の全日本選手権。高校3年生だった中野友加里は、シニアに上がって2シーズン目、大きな壁にぶつかっていた。ジュニアで世界の銀メダルまで取ったというのに、シニアのグランプリシリーズではなかなか成績が出ない。その年の全日本選手権の順位は、クラブの後輩浅田真央や浅田舞にも遅れを取る7位。不本意な出来だったフリープログラムのあと、記者たちからの質問にうつむき顔で答えると、肩を落として更衣室へと去っていった。
そのときのほんとうにさびしげな後姿を、今日のフリーが始まる直前、ふっと思い出してしまった。「また来年がんばって!」。そんなことを言いたかったのに、声もかけられない。小さくなっていく後姿を黙って見ているしかない。次々と新星が出てくる女子シングルの戦国時代、この子はひょっとしたら、このまま大きな活躍をすることもなく選手生活を終えてしまうのかもしれない。そんな予感を勝手に感じて、切なくなってもいた。私は、まったくもって見る目がなかった。
あれから、2年と少し。あのうなだれていた小さな女の子が、世界選手権の最終グループで滑る姿を、今見ている。
滑走前、カナダ人のおじさんがニコニコしながら言っているのを聞いた。
「このプログラム、かわいいんだよ。見逃すなよ」
この人は、予選の中野友加里を見たのだ。日本でもNHK杯、グランプリファイナル、全日本と試合が進むにつれて、どんどんファンを増やしていった彼女。それと同じように、ここカルガリーでも、ユカリファンは日を追うごとにずいぶん増えてきている。そんな会話が観客席のそこかしこで交わされていることも知らずに……リンクの上の彼女は、一度大きく上を仰いだ。心を落ち着けよう、落ち着けようと苦心しているように見える。
「最終グループの最終滑走。待っている間に、前に滑った選手たちへの歓声が聞こえてきて、気になってしまった。だからだんだん……緊張してしまいました。先生からも、だいぶ弱気になってたね、と言われて(笑)」
弱気になってしまった結果――ジャンプの細かなミスを比べれば、同じフリーでも予選の方が出来がよかったということになる。得点を見ても、予選114.14点、フリー108.24点。
でも私には、ひとつひとつの細かな動作、作り出す空気のかわいらしさ、そんなものはむしろフリーの方が魅力的ではなかったかと思う。Y字から手を離してもしっかりとポジションをキープし続けるスパイラル、その高く上げた脚の位置の美しかったこと! 中盤、ループがダブルになった直後、一瞬動揺しただろうに、そのあとの動きに微塵も焦りを感じさせない。キトリというよりもお姫様のような軽やかな動作で、次のコンビネーションスピンにつなげていったシーンも素晴らしかった。
とにかく中野友加里の独自のカラー、気が強くてはきはきとしていて、でも少女のように初々しくて、そんな彼女の持つ空気は、緊張しながらも十分にカルガリーの氷の上に醸し出すことが出来た。
「予選からフリーまで、最後まで体がもってよかったです。でも今日の最後のジャンプ(トウループ)は跳べたはずだった。練習ではいつも跳べているジャンプなので、あの失敗がすごく悔しい。でも……何事も経験です。こういうことは、もう繰り返さないようにしたい」
中野友加里自身にとっては満足しきれない出来だったかもしれない。でも友加里ちゃん、さっきのカナダ人のおじさんは、大喜びして手を叩いていたよ。お客さんはほんとうにあなたの演技を楽しんだし、あなたの演技をまた見たいと思っている。それは滑っていて、感じることが出来ただろうか?
「今シーズン……こうなるとはぜんぜん想像していませんでした。まさかグランプリシリーズで優勝できるなんて、ファイナルや世界選手権に出られるなんて、思ってもみなかった。今までで、いちばん充実したシーズンでした」
誰よりも負けず嫌いな彼女は、シニアに上がってどん底を味わってからもずっと、誰もが賞賛する努力を続けてきた。きっと出られなかった大きな試合、上がれなかった表彰台、手に出来なかったメダルを思い描いて。そして今シーズン、本人も驚くほど素晴らしい成果を挙げ、大きな大会にも堂々と出場した。欲しかった、たくさんのものを手に入れた。
しかし――私が今シーズン、中野友加里が得たいちばん大きなものは、ニコニコしながら手を叩いているあのカナダのおじさん、彼らの存在だと思う。日本で、カナダで、世界中で。今シーズン、多くの人がユカリ・ナカノを知った。彼女がどんどん上手になってどんどん輝きを増せば、どんどん彼女を見つめる視線も増える。それはきっと他の競技のアスリート以上に、フィギュアスケーターが得られる大きな幸福のひとつだ。何よりもそんな幸福を、今シーズンの中野友加里は得た。
「世界選手権、また来たいです。この場所にもまた来たいし、この最終グループで滑ることも、できるものならまた経験してみたい」
誰もがよく知っている、現在の日本女子シングルの状況。
もう、世界中のスケートファンがその名を知っている中野友加里。世界選手権で5本の指に入った中野友加里であっても……次の世界選手権に絶対にまた来られるという保障はない。今シーズン、確かな評価と自信を得た中野友加里であっても、また再び厳しい戦いに苦しむ日々が待っているのかもしれない。
でも。友加里ちゃん、あなたにはあなたのスケートを待っているたくさんの人がいる。人々に「またユカリを見たい!」と思わせてしまう力を持っている。表彰台やメダルはその試合限りのものだけれど、中野友加里自身が心をつかんだファンは、彼女が彼女らしいスケートを見せ続けている限り、ずっと離れない。
そのことは、これからまた始まる戦いのなかでも、忘れないでいて欲しい。(青嶋)
写真/森田正美
2006年03月26日
中野友加里ショートプログラム終了後の共同インタビュー

――予選に引き続きいい演技でしたね!
中野 ひとつずつ終わっていくので、ほっとしています。目標はノーミスだったので、それが達成できてよかった。
――佐藤コーチからはどんな言葉をかけられましたか?
中野 いつも以上のことをやろうとは絶対しないこと。今もっていること、できることだけをやりましょう、と。そういう約束をしています。練習どおりのことができたので、今は満足です。
――予選と比べて気持ちの変化はありますか?
中野 予選のときより緊張はなかったです。落ちついて滑っていたと思います。ジャンプも決まって自然と笑顔も出ました。応援もすごくたくさんしていただいて……。信成の声もちゃんと聞こえました(笑)。
――世界選手権で初めて最終滑走という緊張は?
中野 まったく初めてなので自分が世界のどの辺りにいるかも分かりません。だから最終グループで滑れるだけで満足、という気持ちです。
――明日はいよいよ最後のフリープログラムですね
中野 このシーズンの締めくくりとして、一つ一つ、今までやってきたことすべてを出せればいいな、と思います。初めての世界選手権、楽しむことも大切だけれど、それと同時にまたひとつ勉強できれば。私は今シーズンラッキーなことが多かったので。まだまだ足りないところがたくさんありますから。
――ラッキーですか!? そればかりじゃないでしょう?
中野 本当にラッキーですよ。どの試合も、他の人の失敗に助けられた部分が大きいです。あとはトリプルアクセル! 今シーズンはすべてのフリーで挑戦してきました(トリプルアクセルに挑まなかったのは、世界選手権予選のみ)。調子は悪くないので、やっぱり明日は跳びたいです! 今シーズン何度もダウングレード(ダブルアクセル認定)されてしまったけれど、今回はちゃんとトリプルアクセルと認定されたいです!
写真/森田正美
2006年03月26日
女子シングルショートプログラム 中野友加里6位 総合4位!
NHK杯、グランプリファイナル、全日本選手権……。今シーズン、初めて中野友加里を知り、その魅力の虜になった人々がまず目に焼き付けたのは、この都会的で挑発的な黒いコスチューム姿の彼女だっただろう。秋の東京ブロック大会で、まずこの衣装とプログラムを眼にした人々が、興奮して知らせてくれた。「今年の友加里ちゃんは違う! 衣装もかっこいいよ!」「オリンピックに選ばれてもおかしくないよ!」カメラマンからも、「ぜひ見てくれ」と、真っ先にこの衣装の写真が送られてきた。そして、高まるファンの期待に十分すぎるほど応えるNHK杯優勝、グランプリファイナル3位。
振り返れば、今シーズンの中野友加里は世界選手権の最終グループを滑りに十分値する活躍をしてきた。オリンピックに出た選手の代わりとしてここにきたのではない。ここにいるべき存在として、堂々とサーシャ・コーエンや村主章枝と同じリンクに立っている。初出場ではあるけれど、十分に力を持った存在として。滑るのはすでに何度も大喝采を浴びたプログラム「ムーラン・ルージュ」。彼女なら、できる!
元気良く飛び出していった勢いそのままに、3つのジャンプはもう、当たり前のようにノーミスでこなす。速いスピンは黒く美しい機械のようで、硬質なこの音楽にぴったりだ。大きく手を広げたスパイラルは「すごい勢い。フェンスにぶつかるかと思ったよ」と織田信成が絶賛するほど、エッジにスムーズにのって滑っていく。「彼女のいいところをあげればきりがない」といつも佐藤信夫コーチが言っているように、いきいきと跳びはねていくストレートラインステップも、ぴくりともぐらつかないYの形のスパイラルも、どれもこれもがほんとうによくコントロールされていい動きだった。たった数分のなかにこれだけ見どころの詰まった華麗なプログラム。用意されたひとつひとつのエレメンツを着実にこなしていく中野友加里の技術。
大活躍の今シーズンを象徴するにふさわしいプログラム「ムーラン・ルージュ」を、シーズン最後の大舞台、中野友加里はパーソナルベストの演技で滑り終えた。(青嶋)
2006年03月24日
オフリンクの日本チーム

熱戦が続く2006世界選手権。選手であると同時にスケートファンでもある日本チームの面々は、練習の合間を縫って熱心に試合観戦も。練習仲間やライバルたちに大きな声援を送っていた。
仲良くいっしょに観戦していたのは今大会のミラクルボーイ&ガール、織田信成選手と中野友加里選手。
ペアフリー、アメリカ代表の井上怜奈選手に「がんばれ!」。
すっかり人気者になったふたりには、地元の子供たちが写真撮影をせがむ場面も。
織田選手、なんだかかわいい帽子をかぶってます。

一方こちらは、予選終了直後の恩田美栄選手とジョゼ・シュイナールコーチ。パーソナルベストを出したカナダのミラ・リャン選手に「すごいねえ!」と手放しで拍手。「でも、ショーと見ててね! がんばるから」と力強い言葉を残してドロー会場に向かっていきました。
さて、フィギュアスケートにすべてを捧げている「スケートの鬼」こと、村主章枝選手の姿は?
「試合、すごく見たいんですよ! でも自分の出番の前に他の試合を見ちゃうと、興奮して夜眠れなくなっちゃう」じゃあ、女子の試合がもっと早く終われば、ゆっくり試合を楽しめるのにね。「そうですね! そうしたらもっとスケートを研究できて、もっと上手になれるかも」
2006年03月23日
女子シングル予選 中野友加里B組2位通過!

この日、広いリンクにひとりで飛び出していった中野友加里は、なんだかとても心もとなげに見えた。
何といっても初めての世界選手権だ。
同じく初出場の織田信成とは違い、彼女はシニアに上がってもう4年目。ずっと出たかっただろう試合に、やっとめぐってきた出場のチャンス。今回参加している日本選手のなかで、誰よりも世界選手権に対して大きな思いを抱いて、カナダにやってきたのが中野友加里ではないだろうか。
スタートはちょっと笑顔がなかった。「先生と相談して、直前に跳ばないことに決めました。今年はほとんどの試合でダブルアクセルにダウングレードされてしまっているので……」というトリプルアクセルはダブルにしてきれいに跳んだ。しかしそのあともまだ、動きが硬い。滑走中、まっすぐにピーンと張ってしまう腕も、いつものやわらかさが消えてしまったスパイラルも、恐る恐る跳んでいるように見えるジャンプも、まるで1、2シーズン前の中野友加里を見ているようだ。やっぱり、ものすごく緊張している……。
でも、どんなに気持ちが固まってしまっていても、こつこつ積んできた練習は彼女を裏切らなかった。スケーティングの確かさや手足のポジションの美しさは、毎日の鍛錬を重ねた選手のもの。さらに彼女ならではの、キャッチフットスパイラルでしならせる手の動き、どんどん速くしようとがんばったドーナツスピンの回転。どれだけ緊張しても、身体がちゃんといろいろなことを覚えていてくれる。
そしてやはり、この日確実だったのはジャンプだ。最後のフリップのステップアウト以外は、ほぼ完璧!
「ジャンプがひとつ決まるごとにほっとしていったと思います」と本人も振り返るように、「うまくいってる!」という思いが、緊張も徐々に解いてくれたのだろう。中盤以降はどんどん表情も柔らかく、身体の動きもNHK杯やファイナルで見せた軽やかさを取り戻してきた。そして、大きく背中を反らせた終わりのポーズのあとには、やっと笑顔!
「初出場でもあるし、女子3人のなかで最初に滑るという不安もありました。すごく緊張してしまって、笑顔を作ることもできなくて……。でも思っていた以上にジャンプが跳べて、点数もいただけてよかった!」
「始まってみると、世界選手権! って感じはあまりしません。緊張する反面、初めてだからわくわくする気持ちもあります」
「カナダでの世界選手権に出られるのもうれしいです。何回も来ている、一番大好きな国なので」
演技後、すっかり落ち着いて、いつも通りしっかり者の受け答えをした共同インタビュー。
これでもう大丈夫だ。もうきっと、世界選手権も怖くない。
予選、ショート、フリーと3度の滑走は、体力的にきついというけれど、3度滑れるチャンスを生かし、調子を確かめながらひとつずつクリアしていくこともできる。ひとつ終わったら、きちんと振りかえって次につなげていく、そんな戦い方もできる。
勢いだけで世界選手権まで来たのではない、これまでも足元を確かめながら、一歩一歩進んできた中野友加里にとっては、どんな試合よりも戦いやすいシステム、そう考えることもできる。
まずは今日、初めての世界選手権の感触を確かめた。明後日のショートとその翌日のフリー――あとは思い切り中野友加里のスケートを世界に見せる、そのための試合が残っている。(青嶋)
写真/森田正美
2006年03月21日
女子シングル予選滑走順決定 選手たちの表情は?

村主章枝選手、恩田美栄選手、中野友加里選手の3人が出場する女子シングルは現地時間20日17時、滑走順の抽選が行われた。決して全選手が自分で抽選するわけではないドロー(昨年の記事参照)。
今大会も当然のようにやってこない選手も多いなか(特にアメリカチーム! ロシアも今回はソコロワが欠席。代理の人が引いた一番滑走のくじに拍手が……)、日本チームは3人全員が仲良く出席。佐藤信夫・久美子コーチや連盟スタッフも集合して、ドローの行方を見守った。
滑走順は中野友加里選手が22日朝9時から始まるグループBの第一グループ4番滑走!
早い登場に「なんとなくこうなると思った」という苦笑いを見せた。
村主章枝選手と恩田美栄選手はペアフリーを挟んで19時から行われるグループAに登場。
全体の8番滑走に村主選手、11番滑走に恩田選手が入った。アメリカのサーシャ・コーエンはグループAで恩田選手直後の12番滑走。
<中野友加里選手の声>
「(滑走順について)朝早いのはちょっと大変かもしれないです。でもあまり考えずに、他の人の練習も見ないようにしてのぞもうかな。世界選手権が初めてということはできるだけ気にせず、じっくり休んで普段の練習どおり滑りたいです。今日、練習がお休みなのは、実は少し不安なんですけど……。明日の練習で調整して、いい状態に持っていけたらと思います。(今日は男子の試合を観戦)男子予選(A組)、すごかったと思います。(ランビエールの演技に思わず立ち上がっていましたね)素晴らしかった! 試合もいろいろ見て、勉強しつつ、いいものを吸収していけたらと思います」
(青嶋)
*スターティングオーダーの詳細はこちら
2005年12月24日
佐藤信夫 佐藤久美子著『君なら翔べる!』発売中
 村主章枝、中野友加里、小塚崇彦らを指導する佐藤信夫コーチにとって、今年の全日本選手権は通算50回目の記念すべき大会となります。選手として11年(うち10回優勝)、続いて一年も間を空けずにコーチとして39年(一年目の教え子は大川久美子)。連続50シーズン皆勤賞! そんな日本の誇るグレートコーチ佐藤信夫氏、そして妻でありコーチとしてもパートナーである佐藤久美子氏の著作、『君なら翔べる!』(双葉社刊)が好評発売中です。 信夫コーチの語る村主章枝キス&クライ秘話、久美子コーチの語る荒川静香プログラム作りのエピソード、そして二人が語る中野友加里急成長の秘密……。 現役選手たちとのエピソードはもちろん、この本では両氏が駆け抜けてきたフィギュアスケート黎明期の苦労話や初めて物語もたくさん収録しています。 8ミリもビデオもない時代、海外の選手たちのスケート映像を見るために、当時の選手たちがしたこととは? 日本にザンボニー(整氷車)のない時代、海外遠征に行った佐藤信夫に起きた劇的な変化とは? 佐藤信夫にアメリカフィギュアスケートの真髄を教えた謎の外国人とは?
全日本選手権をふたりで合計12回制し、それそれ二度のオリンピックを経験したトップスケーターとして。佐野稔、佐藤有香、村主章枝ら世界選手権メダリストを育てたコーチとして。氷の上で過ごしてきた半世紀をおふたりが様々な角度から語っています。 1.選手時代、2.コーチ時代初期から佐藤有香の世界選手権優勝まで、3.その後の10年と現在のこと。3つの時代を信夫コーチ、久美子コーチが交互に語り、最後には爆笑夫婦対談も!
選手たちのファン、信夫コーチのファンの皆さんのみならず、フィギュアスケートを愛する全ての皆さんに、そしてフィギュアスケートを好きになりかけているたくさんの皆さんにぜひ読んでいただきたい本になりました。 全日本選手権、メダリストオンアイス会場でも発売中です。
『君なら翔べる! ~世界を魅了するトップスケーターたちの素顔 』 佐藤 信夫・佐藤 久美子著
双葉社刊 B6判 / 254ページ 1680円 ISBN : 4-575-29864-6
*佐藤信夫コーチページと対談をライター青嶋が、佐藤久美子コーチページをライター白石和己がインタビュー・構成しました。 *写真家板東寛司さんとライター青嶋の本『逢いたくなっちゃだめ』も発売になりました。
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