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この特集では、浅田真央選手、安藤美姫選手をはじめとする注目選手の活躍や最新情報など、フィギュアスケートにまつわる様々なレポートを写真とともにお届けします。
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フィギュアスケート特集

ドリームオンアイス2008レポート(2)  小塚崇彦・少年と青年のはざまで

Taka080627doi_0827_3  今年は小塚崇彦、踊るつもりだな!
 ドリームオンアイスで滑る予定のナンバー、「ラストダンスは私に」の話を彼から聞いたとき、あまりに楽しそうに新しいプログラムのことを語ってくれるので、ずいぶん驚いてしまった。
 憧れのカート・ブラウニング、そしてブライアン・ボイタノ。彼らの振付師として有名なサンドラ・べシックに、エキシビションのみだが振り付けをしてもらえることになって。彼女の元で、ひとうひとつの音を丁寧に拾うことの面白さ、見せる部分の楽しさと丁寧なスケーティングの両立の醍醐味を知って。
「カートにもこのプログラム、いいねって言ってもらえたんですよ!」
 そう言って顔をほころばせる彼の言葉に、選手にプログラムの話を聞くのはほんとうに楽しいな、と思った。

 思えばフィギュアスケートのプログラムは、贅沢なものだ。バレエなどの振り付けは、たくさんのダンサーに踊り継がれていくことが多いが、スケートのプログラムは、基本的にひとりの選手のためだけに作られる。一流の振付師、一流の芸術家が、自分のためだけの作品を作ってくれる――それはいったい、どんな気持ちがするものだろう。
 小塚崇彦が今、本当に大切にしているナンバー「ラストダンス――」は、彼の思いの強さにたがわず、見るものを爽やかな心地よさに浸らせてしまう、すばらしい作品だった。
 滑りの美しさが何よりの武器である彼が、音楽が鳴りだすと同時に見せたのは、ちょっと粋なマイム。両手を差し出すしぐさ、顔に手を当てる動き。今までならば少し照れが入っていた振付けも自然にこなし、それがちっともいやみな感じがしない。お客さんをのせるために作られたようなダンスナンバーに、まずは彼自身が自然にのると、客席からの手拍子もごく自然にわいてくる。
 今年19歳。年齢的には青年といえるかもしれないが、まだちょっと少年の面影が濃い彼によくあった動き。迷いなく軽やかな、この時期の男性だけがまとい、放つことをゆるされる空気。
 また、ポップに、キュートに、おしゃれに踊りつつも、スケートの信じられないような滑らかさも大事にしたプログラム。よくぞ小塚崇彦に、今この時期の小塚崇彦にこれを作ってくれた! とサンドラ・べシックに感謝したくなってしまった。

 世界に、少年と青年のはざまの輝き、素直さを持つ男性は、たくさんいるかもしれない。でも彼らのなかで、こんなにスケートがきれいなのは、世界中できっと小塚崇彦だけ。「ラストダンスは私に」は、間違いなく彼だけの表現できる、彼だけの世界だ。
 あまりに技術的な部分が巧すぎて、もう少し個性があれば、もう少し見せてくれれば……といわれ続けてきた小塚崇彦。今年はそれを、しっかりと見つけ、しっかり捉えていく年になるかもしれない。
 でもすべてを見せ終えた後。カーテンの前で丁寧に一礼する彼を見て。やっぱりちょっと体育会系な、礼儀正しい「小塚選手」はそのままそこにいるな、と思った。まじめで、実はやんちゃで、ちょっと照れ屋な彼の本質はそのまま。そのまま新しい小塚崇彦に、無理することなく自然に変っていくのだろう。

photo/Sunao Noto  text/Hirono Aoshima


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別冊ザテレビジョン 男子フィギュアスケート~2007-2008メモリアルブック~ 本日発売!

Kadokawa 髙橋大輔、ジェフリー・バトル、ステファン・ランビエールなど世界の男子シングルスケーターを特集したメモリアルブックが、本日発売になりました。

別冊ザテレビジョン 男子フィギュアスケート~2007-2008メモリアルブック~ 
発売日:2008年4月19日
価格(税込):1800円
A4判  オールカラー112ページ
発行:角川ザテレビジョン
発売:角川グループパブリッシング
※ジャパンオープン2008会場、アイススペースブースなどでも数量限定販売
※書店ではスポーツ誌コーナーのほか、テレビ誌のコーナーでも販売

【contents】
巻頭特集30ページ 髙橋大輔

10000字独占インタビュー

トップスケーターへのインタビュー
ジェフリー・バトル、ステファン・ランビエール、ブライアン・ジュール、ジョニー・ウィアー、エヴァン・ライサチェク、小塚崇彦、南里康晴、中庭健介、羽生結弦

スペシャル対談
髙橋大輔VS中野友加里
南里康晴VS小塚崇彦
長光歌子VS河野由美
長久保裕VS田村岳斗

インタビュー 
宮本賢二、佐藤有香、アントニオ・ナハロ、アレクセイ・ミーシン、村主章枝ほか

「バンクーバー五輪、いちばん楽しみなのは男子の戦い」と、ニコライ・モロゾフ氏も語るように、今もっとも目が離せない種目、男子シングル。来シーズンの開幕が今から待てないファンの皆さんにお送りする一冊です!

*スケートまったく関係ありませんが、写真家板東寛司さんとライター青嶋の本、『逢いたくなっちゃだめ』『誰かいませんか』が文庫になりました。ついでにこっそりおすすめです。


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男子フリー終了 小塚崇彦8位、総合8位「初陣の香気」

Taka_f6i2984_2 「絶対3枠を取ってきます!」
 小塚崇彦が四大陸選手権後、力強くそう宣言してくれた時。
 今は、そう言い切ってくれる気持ちさえあれば、それでいいな、と思った。
 自ら口に出してまで宣言してくれたのだから、たとえ3枠を、2番手である小塚崇彦のせいで逃してしまったとしても、彼の健闘をたたえよう、と。
 今シーズンのグランプリシリーズや四大陸選手権での成績を考えて、そんなことを思ってしまっていたことを、今は彼に謝らなければならない。
 小塚崇彦は、宣言通り男子の3枠を掴み取ってきた。そして、彼自身と日本男子の、さらなる可能性を世界に見せつけてくれた。

 小塚崇彦、イエティボリでの4分30秒。まずいつものように、60×30メートルの隅々までが自分の場所だと確かめるように、大きく、素晴らしいスピードでリンクを一周する。
 最初のジャンプは惜しくも3回転-1回転。でも続くトリプルアクセルに、3回転トウをつけて3回転-3回転を挽回!
「3-3のコンビネーションは、できれば最初に決めたかった。それが抜けてしまったので、やむを得ずトリプルアクセルに3をつけました。昨日、3-3が3-2になってしまったことで、今日は絶対3-3! って気持ちがあって。どこで跳ぶか、もう、迷ってる場合じゃなかったです」
 ほとんど練習していなかったというアクセルからの3-3に続き、もう一本のトリプルアクセルも成功! これはすごい! 体も昨日のSPに引き続き、のびのび動いている。
 小塚崇彦は、表情や手の振り付けなどではなく、ブレードに感情をこめて滑るタイプのスケーターだ。まだまだ笑顔は硬いし、氷上で物語を語ったり、風景を描いたりしたりする術も、まだ知らない。でも、今は派手な表現ができなくても、ここまで自在に氷をつかむスケートがあれば――これから自分の表現手法やスタイルを見つけた時、スケートで見せたいものが見つかったとき、どんなにダイナミックな演技ができるかを、ジャッジもよく知っている。期待の表れは、高いスコアにもしっかり表れた。
「でも今日は、コンビネーションをどこで跳ぶかを変えたので、ジャンプの構成を考えなおすことに気持ちが行ってしまった。そのことで、身体の呼吸が少し乱れたかもしれないです。演技への集中が最後の方、少し途切れてしまった……」
 そんな戸惑いなど、見ていて気付かないほどスケートは良く滑っていたはずだが、ジャンプは3-2-2、続いて今シーズンずっと失敗していたトリプルループと決めて、いいぞ、このまま! と思った矢先。トリプルサルコウ転倒。続くトリプルルッツも転倒……。
 あまりにも、初陣ながらSPで好位置につけた選手らしい試合展開、だったかもしれない。
 タカヒコいいぞ、行け、と、昨日彼を覚えたお客さんもみんなが彼の滑りを喜んで、残るジャンプもあと少し、もうちょっとだ! と思った矢先の、ふたつの転倒。
 あまりにも若い、これからの選手らしい失敗だ。
 演技を終えると、小塚崇彦は天を仰いで、キッと唇を噛みしめた。その姿がまた、あまりにも「これからの若者」らしくて、スカンジナビウムの観客たちは微笑みながら、心から暖かな拍手を彼に送った。

「ます、2本転倒したことがすごくくやしいです」
 演技後、ミックスゾーンにやってきた小塚崇彦は、報道陣を前にまず深々と、本当に深く頭を下げて、「ありがとうございました」と静かに言った。そのあとに、苦手でも何でもないジャンプを転倒した悔しさをゆっくりと口にした。
 彼自身が、一番悔しいだろう。でも、彼には悪いが、会場のお客さんも、記者も、彼自身ほどはこの転倒を悔しがってはいないのだ。それはもちろん、年齢的にも資質的にも、明らかに小塚崇彦はこれからさらに伸びるスケーターだし、この悔しさを挽回するチャンスがいくらでもあることを知っているからだ。
「世界選手権、簡単じゃないってこと、すごく実感しました」
 そう、このくらいの苦い思いこそが、きっと次に繋がる力になる。
 それに、ふたつも転倒があったというのに、134.24という得点、8位という順位。
 これは、クリーンに滑ればトップスケーターに仲間入りできる結果だったということ。来年の出場枠3も、彼の活躍のおかげで見事にキープした。
 小塚崇彦、これから行けるじゃないか! たくさんの人が日本男子のこれからに、明るさを感じたはずだ。
 今持てる力は見せられて、ジャッジからの評価も得て。
 でもふたつの転倒で、悔しさと大舞台の怖さも知って。
 小塚崇彦はイエティボリで、得られるはずのもの、すべてを得た。
 19歳。最高の、世界選手権初出場だ。

photo/Sunao Noto   text/Hirono Aoshima 

*小塚崇彦選手へのインタビュー&スペシャル対談は、4月発売予定の月刊ザテレビジョン別冊フィギュアスケートムックに掲載予定です


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男子シングルSP終了、小塚崇彦8位  滑りの申し子

Kodukamma_5564s  やっと、見たかった小塚崇彦が見られた! 
 そんな満足感でいっぱいにさせてくれたSP、「キャラバン」だった。 
 滑り出しから、誰よりもスムーズで素晴らしい一歩を、彼のスケート靴は、すーっと踏み出す。
 タカヒコ・コヅカ? 知らないなあ、と思っていたお客さんも、きっとこの一歩目で「おっ?」と目を見張らずにはいなかっただろう。それほど、滑りそのものに人の目を奪う力が小塚崇彦にはあるし、今日の彼の滑りはことさらだった。
 ジャンプも、3回転-3回転が3-2になってしまったけれど、トリプルアクセル、トリプルフリップとともにOK。特に3つ目のフリップをタシーンと軽く、力強く決めた後は、右手で小さくこぶしを作り、笑顔の佐藤久美子コーチの前を「やった!」という氷上で駆け抜けていく。
 スピンもさすが、佐藤チームで鍛えられたスピードと安定感。ひょっとしたら、勘のいいお客さんだったら、彼のスケートやスピンを見て、昨日最後に滑った女の子とおなじコーチのもとで育って選手だ、と気づいたのではないだろうか。少し古いファンならば、さらにコリオグラファーの名前にユカ・サトウの名を見て、膝を打ったかもしれない。
 そんなことを思うほど、今日の小塚崇彦の若くてしなやかな身体には、スケートを愛した先人たちの技術の結晶が、しっかり息づいていた。そしてとびきりクオリティ高いスケート技術を携えて、今、氷上を疾走しているのは、彼の若くて無垢な魂だ。磨き抜かれた古き良きものと、まぶしいほどの若いエネルギーが結びついて、初めて生まれるかけがえのないもの。それがこの日、小塚崇彦が氷上で見せてくれたものだ。
 最後は、超高速のアップライトスピンで客席をわかせ、大喝采の中、堂々のフィニッシュ。
 これがあの、「滑走順にびびって」歯をガチガチ言わせていた青年だろうか?

「今日はなんでか知らないけれど、今まで味わったことのないほどの滑りのなめらかさを、6分練習の時に感じていたんです。その滑りの感覚のおかげで、張りつめた気持ちもやわらいでいって……出ていく時には『がんばっていくぞ!』って気持ちになってました」
 滑りの申し子のような小塚崇彦が、「今まで味わったことのないほどの」自分のスケートのなめらかさに驚いている? そんなことは、あの佐藤有香さんでさえ、年に一度か二度、あるかないかのたぐいまれな感覚だ。ひょっとしたら私たちは、とんでもない瞬間に立ち会ってしまったのではないだろうか? それはそのままスケーティングスキル7.04という、高い得点にも現れていた。
「7点台が出てますか? (ポイント表に目を向けながら)あ、ほんとだ、すごい!! でも今日の出来のことは、今夜しっかり寝て、もう忘れて……。明日はもう一度、一からスタートしたいと思います」

 世界選手権に新人賞のようなものはない。でも、その大会を機に一気に躍進していく若い選手が、毎年必ず現れる。98年のプルシェンコだったり、06年の織田信成だったり……。今年はきっと、小塚崇彦!
 世界のスケートファンが、彼との出会いを忘れない大会に――きっと今日のフリー、タカヒコ・コヅカはしてくれる。

photo/Masami Morita   text/Hirono Aoshima 


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「正直びびってます」男子SP直前! 小塚崇彦選手コメント

Koduka_12e3647_2  男子ショートプログラムの滑走順が決まった直後、記者の質問に答えてくれた日本の3選手。
 改めて、取材すべき日本男子が3人もいることがとてもうれしい。どうしても注目は髙橋大輔選手に集中するけれど、3者3様、個性豊かな日本男子のスケートと戦いぶりを、ファンの皆さんにもぜひ楽しんでほしい。まずは3人中、最年少。初出場でSP最終グループ入りと、とんでもないスタートを切ることになった小塚崇彦選手の声をどうぞ!

――滑走順(最終グループ4番。おなじグループで、髙橋、バトル、ジュベールが滑る)が決まって、頭をかいていましたね。
小塚 まさかあそこに入るとは思っていなかったので……。まだ、歯がカタカタ言っています。正直びびってます(笑)。

――でもまだ、すぐには始まりませんよ(抽選はSPの2日前)。
小塚 もう、すぐに始まるんじゃないかって気になっちゃってます……。抽選がすすんでいって、リストに選手の名前が埋まっていって、まわり(高橋、南里選手や日本チームのスタッフ)が「これは絶対、崇彦後ろ(最終グループ)だよ!」って言いだしてから、もう緊張しだして……。ほんとに最終グループって決まってしまって「ああー、あそこに自分が入るのか……」って。でも落ち着いて、気持ちを立て直して試合に向かいたいです。

――このグループで滑ることは、予想していませんでしたか?
小塚 来る前は、もっと前のグループで滑るはずだったんですよ。(小塚選手は、世界ランキング順で並べれば参加選手中13位で、上位12人で滑走順を引く最終2グループには入らない予定だった。それがアメリカのエヴァン・ライサチェク選手の欠場で12位に繰り上がり、急きょ最終12人入り)。でも、こういうグループで滑れることは、とてもうれしいことなので。

――歯がカタカタ言うほどの緊張感、どう対処していきますか?
小塚 とりあえず今日の夜、練習をして、良く寝て、良く食べて、気持ちを落ち着かせて。

――コーチの佐藤先生たちはこの滑走順、どんな感想を持っているでしょう。
小塚 先生はまだ知らないんです。いったいなんて言われるか……。でも伊東さん(伊東秀仁強化部長)いわく「相手にとって不足なし!」だと。
伊東 お前がそう思わないとだめなんだぞ(笑)。
小塚 もう開き直るというか(笑)、時間をかけてこの気持ちを変えていくしかないと思います。当たって砕けろじゃないけど、思いきっていきたいです。このメンバーと公式練習で一緒に練習できることもいい機会だし。

――順位など、目標は何か定めていますか?
小塚 今は順位どころじゃないですよ! 滑走順のことでいっぱいいっぱいです!

 本当に「びびってます」という様子だった小塚選手には悪いけれど、記者も、日本チームスタッフも、コーチたちも、みんなこの滑走順、喜んでいるはずだ。これは日本のホープが成長するための、またとないチャンス! 韓国でもお客さんの大声援に「びびって」しまったという小塚選手。ここで一発、男らしいところを見せてほしい!

photo/Sunao Noto   text/Hirono Aoshima


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世界選手権に向けて――髙橋大輔選手、小塚崇彦選手コメント

Takaimg_8409s  前哨戦となる四大陸選手権終了後、髙橋大輔、小塚崇彦の男子シングル代表に、世界選手権への思いを聞いた。

*小塚崇彦選手
「世界選手権代表に決まったときはうれしくて、がんばろう! ってすごく思ったんですけど……。四大陸までは練習場所の確保とか4回転のこととか、いろいろなことにふりまわされてしまったかもしれません。世界選手権までは、ただ練習のことだけを考えて、思いっきり練習して、練習したな! って思える状態で臨みたい。男子の3枠を何としても確保するよう……がんばります!
 スウェーデンに行くのは初めてです。どんな国なのかな? まだ何にも調べてない!」

 インタビュアーからはなかなか聞きにくい出場枠の話。でもこちらが聞く前に、彼の方からはっきり口に出してくれたのは、うれしかった。戦う気は十分。でも、佐藤有香さんも言うように、まずは結果を気にせず、ぞんぶんに初めての大舞台を楽しんでほしい。

*髙橋大輔選手
「世界選手権は……楽しめなさそう! だって、男子シングルの試合は全日程の最後じゃないですか! それが嫌なんですけど(笑)。それに、世界ジュニアで優勝した時に行ったノルウェイは雪ばかりで、北欧はあんまり明るいイメージがないな。でもノルウェイは魚がおいしかったから、きっとスウェーデンも魚がいけると思う。勝手なイメージですが(笑)。ご飯を楽しみにしたいです.
世界選手権までの時間は、緩めすぎてもダメかと思っています。日本に帰ったらもう一回追いこんで練習して、体力をつけて。あと、スピンの練習をもっとしたいですね。これから少し、スピンに時間を割いてみよう。
 世界選手権で勝つには……最低でも四大陸ぐらいの演技をしなきゃいけないですね。他のみんながどこまで上げてくるか、わからないですから!」

 いつもの世界選手権では、トリをつとめる試合は女子シングル。しかし今年はヨーロッパ勢、男子に有力な選手が多いためか、男子シングルが最後の決戦に選ばれている。
 毎年試合後には女子シングルの応援(05年の記事)をするなど、リラックスしている髙橋選手。でも今年は、最後に控えた最もドラマチックな舞台に立つ。「嫌なんですけど」と笑いながらも、一番目立つ試合、一番注目を集める試合で戦うこと、楽しんでくれそうだ。

photo/Masami Morita   text/Hirono Aoshima 
*写真は07年全日本選手権のフリー


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世界選手権直前! 佐藤有香さんからのエール(1)

Yukari_mg_3099  アイスショーで活躍しながら、アメリカ・デトロイトのリンクでは振付師、コーチとしても実績を積んでいる佐藤有香さん。日本からも多くの選手が、彼女のもとに振付指導、スケーティング指導を受けにやって来る。今回世界選手権代表として出場する小塚崇彦選手、南里康晴選手、中野友加里選手も、有香さんの影響を大きく受けている選手たち。自身も世界選手権を制したことのある佐藤有香さんから、期待の3選手にエールを送ってもらった。

――小さな子供たちからオリンピックチャンピオンまで、コーチや振付師としてたくさんの選手と接してきた佐藤有香さんに、おなじみの選手についてお話を聞きます。まずは今年で3回目のワールド出場となる中野友加里選手。彼女はデトロイトのマリーナ・ズウェアさんにずっと振付けを依頼していますし、佐藤信夫コーチのもとに移ってからは有香さんとの関わりは深いですね。
佐藤 そうですね、彼女は私の両親(佐藤信夫・久美子コーチ)についていることもあって、いつも家族のように応援しています。がんばってほしいな! ふだんの友加里ちゃんはね……優等生なんですよ(笑)。毎年わりと賢く、きっちり練習してきますよね。でも試合になるとちょっとかたくなって、練習の時よりも演技が小さくなってしまうところがあって……。本番でも練習と同じスケールで滑れるようになるといいな、といつも思っています。

――練習では、もっともっといい演技ができている?
佐藤 はい。でも私自身も経験していることですが、試合のあの場所で体がすくんでしまうのは、当たり前のこと。そんなに簡単に克服できるものではないんです。それが最近の彼女は、緊張感で調子の悪いスタートをしてしまっても、それを演技途中で立て直せるだけの精神力を培っている。それが素晴らしいな、と感心しています。結局は、あの練習量が本番でもものを言うんでしょうね。

――年を追うごとに演技もどんどん深みを増していますしね。
佐藤 そう、友加里ちゃんは……なんとなく不思議な魅力を持った選手なんです。日頃はこれといって派手なところを見せないんですが、試合に出てくると、氷の上に立つだけでスッとした雰囲気を出すし、滑りにもなんだか独特のおもしろさがあるなあ、と。彼女の演技、いつも楽しませてもらっています。

――中野選手と同じく佐藤コーチ夫妻に師事している小塚崇彦選手も、世界選手権初登場です。
佐藤 タカのことは小さい頃から見ていますが、本当に大きくなって(笑)。いま19歳。全日本選手権で代表が決まって、世界選手権までの数か月は、練習すればするほど伸びる、いい時期だったと思います。スターズオンアイスのようなショーにも出ましたし、人前でパフォーマンスをすることもすごく大きなステップになったんじゃないかな。ほんとうに成長期、いい時期ですよね! トレーニングすればするほど、身体も強くなるし、間の取り方など様々な呼吸もつかめてきているはずです。あとはとにかく健康で、風邪などひかず、ケガもせず、世界選手権を迎えてくれれば。

――初めての大舞台、年齢的にもいい時期に迎えられるということですね。
佐藤 世界選手権そのものが、彼にとってすごくいい練習になると思いますよ。今回いい演技ができればそれはそれでうれしいけれど、結果を気にするよりもとにかく、若いので色々な経験をしてほしいです。大ちゃんみたいに一生懸命練習をする先輩も隣にいますし、彼らと一緒に遠征に出ることも、すごくいい勉強になるはず。上の選手に少しでも近づけるようにって、思いますからね。

――今回で大きな結果を出すというよりも、今後のためにいい世界選手権にしてほしい、と。
佐藤 そう、せっかく今年、大きなヤマを一つ越えて、やっとつかんだ世界選手権代表です。思い切りあの場を体験してほしいな。きっと彼は、世界選手権が終わった時にこそ、また一つ大きくなって帰ってくるんじゃないかと思います。将来性も高い選手なので、あの場を経験して、もっともっと器を大きくしてくれるでしょう。

photo/Sunao Noto   text/Hirono Aoshima 
*写真は08年全日本選手権SP


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四大陸選手権アフターレポート 小塚崇彦フリー6位、総合8位 根ざし始めた「夢」

Id7e0348_2   小塚崇彦のスケーティングは優しい。ジェフリー・バトルの、正確無比な外科医が、肌に垂直にメスを入れるようなスケーティングとも、高橋大輔の、獲物のちょっとした隙を目ざとく見つけ、牙で躊躇なく肉を抉り、消えない印を刻むようなスケーティングとも違う。
 小塚崇彦のスケーティングには、さりげなく手相の上を爪でスーッとなぞるような優しさと柔らかさがある。

 フリー「ビートルズ・コンチェルト」は、よくよく見ると非常に凝ったプログラムだ。4分30秒の間、彼の足はステップを刻み続け、後半のジャンプの直前直後には美しいポジションのイーグルやハイドロブレーディングも入っている。サーキュラーステップは、コンビネーションジャンプを降りたと思って気を許すと、あっという間に始まりあっという間に終わってしまう。
 これほど難しいことをやっているのに、あまりそのすごさが伝わらない理由。それはもちろん、彼の技術の確実さやスケーティングの滑らかさもあるだろう。しかし、もう一つの大きな理由は、彼の上半身の使い方だ。

 フリーの後、小塚崇彦はこう語った。
「ジャンプを失敗してしまったことが一番痛いですね。アクセルが……。ループも全日本と同じ失敗で悔しいです。他のことはできているので、あとはジャンプだけです」
 この四大陸選手権では、全日本の時よりも、ジャンプの軸は細くなりランディングも流れていた。ループがシングルになった後も、全日本に比べて落ち着いていた。学習能力の高い彼のことだ、自分で認識している課題は、世界選手権までに調整してくることができるだろう。

 だが、本当にそれだけか?
 四大陸選手権の「ビートルズ・コンチェルト」では、彼の滑りの端々でストーリーが見えた。
 エリナー・リグビーという孤独な老女が、人生で一番大事で神聖な少女時代の思い出を夢に見る。遠くから見ていた憧れの男の子、成就しなかった淡い初恋の甘酸っぱさや切なさ。彼女は、その大切な思い出から抜け出してきた男の子に導かれ、新しい居場所へと旅立つ。
 こういったイメージが少しずつ小塚崇彦の4分30秒から漂いだした。なのに、もう少しで完全にそのストーリーに入り込めそうな所で、彼のちょっとだけぶっきらぼうな腕のあげ方、ほんの少しだけ力みが残る肩に気を取られ、夢から醒めてしまうのだ。
 あの足元の特筆すべき優雅な柔らかさがあるからこそ、上半身の使い方のちょっとした硬さが、どうしても目立ってしまう。彼なら上半身だってもっと優雅に動かせると思う。だからこそ、もったいないし悔しくなる。

 ISUシニアチャンピオンシップ初参戦となった四大陸選手権。オウリムヌリでの小塚崇彦を見続けていると、この場に流れる独特の緊迫した雰囲気を肌で感じ、世界のトップを目指すために必要な、「戦う気持ちの作り方」や「自分の個性のアピールの仕方」を理解しつつあるのが伝わってきた。

 彼のブレードに宿る優しいエナジーが、演技中ずっと全身に行き渡り続けた時、私達は彼の滑りに「夢」を見ることができる。それができた時、小塚崇彦は本当の意味で「シニアスケーター」になる。
 今回、結果こそ満足には残せなかったかもしれない。しかし、今の彼に必要な経験、化けるための糧は揃った。今までとは違う小塚崇彦を見られる日は、もう間もなくだ。

text/Koyori Kirishima  photo/Takayuki Honma


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四大陸選手権こぼれ話(5) オフリンクの選手たち

P1000476_3 世界選手権に向け、来シーズンに向け、決意を新たにした日本選手たちの表情をご紹介。
小塚崇彦選手&佐藤信夫コーチ。試合の後にはきっちり反省会をする佐藤コーチチーム。その反省会直後のワンショット。初めての世界選手権に向け、気持にゆるみはない。

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 ショートプログラム終了後の中庭健介選手。自分の演技を終えた後には、高橋大輔選手の「白鳥の湖」を観戦。ステップ中、二人は何度も目が合ってしまったとか。

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 キャシー・リード&クリス・リード組。アイスダンスの試合は3日間とも日中に行われた。大きな窓の下のミックスゾーンは彼らが出てくるときはいつも日差しが強く、「マブシイ!」と笑いながら記者たちの質問に答えてくれた。「ケガの再発には気をつけています。アイシングを続けて、ストレッチも入念に!」(クリス)「このあとはアメリカに帰って、もっとパワフルに滑れるように練習します。3月の最初にはヨーロッパ入りの予定です」(キャシー)

text/Hirono Aoshima


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男子シングル SP終了 ジェフリー・バトル3位、小塚崇彦7位(2)

Img_2398a  ジェフリー・バトルの演技に沸きに沸いた場内、次に出てきたのは日本の小塚崇彦だ。この雰囲気での滑走は、初めての世界選手権を前にした彼にとっては大きな経験! それを彼自身もわかっているのだろう、引き締まったいい表情で登場し、バトルに負けないくらい気持ちのいい滑りを見せてくれた。

 今年初めて全日本のメダルを手にした19歳。しかし彼だって、スケーティングやステップの巧さは、五輪メダリストのバトルに決して引けを取らない。トリプルアクセルでの転倒は惜しかったけれど、凝った振り付けではなくスケートそのものの滑らかさ、スピード感で、さーっとお客さんの前を横切るたびに「おおっ!」とどよめきが走る。得意の高速アップライトスピンでは、大きな大きな拍手ももらえた。

 バトルの後に見て改めて思ったが、小塚崇彦のスケート、スピン、ステップ。これらはひとつひとつがほんとうに質の高い一級品だ。どれをとっても、バトルに劣るものはなかったと思う。でも、バトルの後だからこそ、この素晴らしいパーツをどう組み立て、どう作品として仕上げていくかが、これからの小塚崇彦にとって必要なことなのだ、と感じた。

 滑ること、氷上での動きに対する高いセンスの持ち主が、実直に練習を重ねることで、ここまでの技術をまず身につけた。そしてここからは、「自分のスケートを作り上げていくんだ!」という強い意思、そして「自分はどんなスケートを見せたいのか」、誰でもない小塚崇彦自身の描くビジョンが、きっと必要になって来る。

 それは、ちょっと照れ屋で体育会系の彼にとって、難しいことだろうか?

 演技を終え、キス&クライで得点を待つ小塚崇彦は、佐藤コーチとともにスクリーンに映った自分が、違う方向に向かって微笑んでいることに気づいた。すると、「あ、カメラこっちですね!」とでも言うように、今度はきちんと場内のお客さんに向き直って、手を振って見せた。「こういうのが、大事なんですよね」と、日本の記者がつぶやいていたが、まさにそのとおり。

 上手くなること、ジャンプを跳んで勝つこと。それにプラス、人に見られることを彼自身が楽しみ、見せることで人を楽しませるんだ、という意思。彼はきっと、大事なものをつかみかけているはずだ。

photo/Dave Carmichael   text/Hirono Aoshima


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全日本選手権男子フリー終了「泣く者と、笑う者と」(1)

Ajdaisuke_mg_3759  高橋大輔は圧倒的だった。声援の大きさや応援バナーの数、そして何より演技の内容がずば抜けていた。世界の舞台で一番になるために何が必要かを考え、この全日本選手権では「4回転を2つ」という目標を掲げ、見事にそれを達成した。
 高橋大輔が別格の演技を披露した。そのことが、残る2つの枠を争う選手の心に少なからず影響を与え、そして与えなかった。

 小塚崇彦はトリプルループがすっぽ抜けてシングルになった以外は、ほぼ自分の力を出し切り、演技が終わると力強いガッツポーズを見せた。滑走順は最終グループの1番目。高橋大輔の演技を見ることなく自分の演技を終えることができた。
 もちろん、小塚自身はこのことをまったく意識していないだろう。自分の演技に集中して結果を出しただけだ。自分の演技に集中する。この一見当たり前のことがフィギュアスケートではとても難しい。

 小塚の次に登場した高橋大輔がすばらしい演技をして、観客のほぼ全員が立ち上がって拍手をおくった。得点が出るまでの間も、高得点をうながす拍手が続き、さらに表示された得点の高さに観客からはどよめきが起こった。
 その間ずっとリンクにいた南里康晴は「体がガチガチになってしまった」という。最初のトリプルアクセルは力が入ってしまい大きくステップアウト。次のトリプルフリップはなんとか降りたものの、トリプルループで転倒してしまった。
Ajkensuke_mg_4148  この転倒ですこし肩の力が抜けたように見えた。トリプルアクセルートリプルトウループのコンビネーションを含め、残るジャンプを決めて演技を終えたが、その表情に笑みは無かった。

 中庭健介はフリーで4回転を跳ぶことを決めてはいたが、心の片隅に迷いがあった。その時、控え室のモニターテレビで高橋大輔が4回転を2度成功させたことを知る。
「4回転は今シーズンものすごく不安で、正直逃げ出したくなりました。他の選手の出来具合で、最初に3-3を持ってくるということも考えたんですけど、高橋選手が果敢に4回転を2回、すごいプレッシャーの中で成功させたので、そういう高いレベルで戦うためには逃げてちゃダメだという気にさせてくれました」
 そしてリンクに現れた中庭健介は「今までで一番緊張していて、出番が近づくたびに体が震えるような状態だった」という。最初の4回転は着氷が乱れてオーバーターン。トリプルアクセルは決めたものの、その後のジャンプで細かい着地ミスが続いてしまう。必死に転倒だけはこらえたが、演技を終えた中庭の顔にもやはり笑みはなかった。

photo/Sunao Noto   text/Seiho Imaizumi 


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日本男子フィギュアスケート オフィシャルファンブック『Cutting Edge2008』 発売!

Ce2008
「オフィシャルブックまだですか? はやく読みたい!」と、無良崇人選手もお待ちかねの日本男子フィギュアスケート オフィシャルファンブック『Cutting Edge2008』、まもなく発売です。
『Cutting Edge』『Cutting Edge2007』に続き3冊目となる今年は、16歳の無良崇人選手から26歳の中庭健介選手まで、8選手のロングインタビューと多数の写真を収録。オンアイス、オフアイス、様々な表情の彼らに出会えます。

タイトル:Cutting Edge2008 日本男子フィギュアスケート オフィシャルファンブック
価格:1800円(税抜)
全国書店での発売日:12月5日
※NHK杯会場にて、先行販売中!

【contents】
髙橋大輔 金メダルのその先へ
織田信成 鳥のように飛べ
南里康晴 情熱は月の光のように
中庭健介 とどまることなき、意思
小塚崇彦 本当の1年目が始まる
柴田嶺  新たなる覚醒
町田樹  多面体の輝き
無良崇人 羽ばたく日のために

インタビュー 平松純子日本スケート連盟フィギュア部長
応援メッセージ  村主章枝、中野友加里
コーチインタビュー 長光歌子、織田憲子、河野由美、長久保裕、佐藤信夫、川越正大、秦安曇、重松直樹

佐藤信夫コーチの語る全日本選手権、日本最高の男たちの戦い 


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小塚崇彦健闘! ロシアカップ5位 小塚嗣彦コーチインタビュー

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グランプリシリーズはあっという間に第5戦まで終了。ロシアカップでは中野友加里が2位に入り、2年ぶりにファイナル進出を決めるうれしいニュースが舞い込んできた。男子シングルでは、同じ佐藤信夫門の小塚崇彦も大健闘! ウィアー、バトル、ランビエールと強豪ぞろいの中、フリー4位の総合5位に。しかもフリーの技術点は74.83点と、参加12選手中、最高得点をマーク。
全日本ジュニア選手権で仙台を訪れていた小塚嗣彦コーチに、早速話を聞いた。

――小塚選手、ロシアカップフリーで大健闘のニュースが伝わってきました。
小塚 そのようですね。まだ順位しか聞いていなくて、みなさんにいろいろ様子を教えていただいていたところです。

――スケートアメリカでは8位と少し振るわなかったようですが、落ち込んだ様子などは?
小塚 敗軍の将のように落ち込むことは特になかったな。「もうちょっとこれを、こうすればなんとかなるんだ……」などと、いろいろ考えてぶつぶつ言っていたようです。直接は聞いていませんが、思うところはあったようで。アメリカから帰ってきて、次の試合までは2週間しかない。この間は、がんばっていましたね。とはいっても、親父から見れば……まだまだ取り組み方が甘い! 競技というものはもっと厳しいものなんだぞ、と言ってやりたい気持ちです。やってできないヤツじゃない、それは感じているんです。だからこそ、今のがんばりもまだまだ、「彼は良くやっている」とは思えない! もっともっと自分に厳しくしてくれること、それができたとき、どこまでのものを見せてくれるかを期待しています。

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――あたたかくも厳しい喝が入りましたが、最近は小塚選手、大学の近くで一人ぐらしをしているとか。
小塚 そうなんです。私は名古屋から中京大学に通っているので、リンクで会って、別々の家に帰っています。ひとりの部屋で、ご飯を炊いて、おかずはすぐ近くのデパ地下で買ってきて……いろいろがんばっているようですよ。

――私生活でも少し大人に。スケートの面でもブロック大会で4回転にチャレンジするなど、次のステップを見据えているようですね。
小塚 4回転、練習ではちょこちょこ降りていますね。でもまだまだ、それじゃあダメ! トウループだけでなく、これから2種類も3種類も跳べるようにならないといけない。そのためにも、普段の練習からもっと厳しいところに自分を置いて、自分自身を追いつめていってほしいですね。

どの方向に話題を持っていっても、「まだまだ!」「甘い!」の言葉に戻ってきてしまう小塚嗣彦コーチ。厳しいお父さんに「良くやったな」と言われるのは、小塚崇彦にとってスタンディングオーベーションより難しいことなのかもしれない。
次に彼の演技が見られるのは全日本選手権。更なる成長を待とう。

Photo/Masayuki Kojima(上)   Text/Hirono Aoshima
*写真上は07年中部選手権のフリー、写真下はクールマイヨールでの小塚嗣彦・佐藤信夫両コーチ。氷河をバックに微笑む偉大なるオリンピアンふたり
*小塚崇彦選手のインタビューは近日発売予定の『Cutting Edge2008』に掲載されます


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COLORS2007 フィギュアスケート男子シングル読本 2月27日発売!

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2007東京世界選手権でいちばんエキサイティングな種目は、男子シングルではないだろうか――?
それでもメディア情報は、どうしても女子シングルに偏りがち。
お嘆きの男子シングルファンの皆さんに、今年も『COLORS』をお届けいたします。
昨年の「フォトブック」から「読本」へ。
今年は写真に加え、記事ページもさらに充実の内容です。

■巻頭言「チャンピオンのあるべき姿」 本田武史

■トップスケーター10人のフォト&インタビュー
高橋大輔 ステファン・ランビエール ブライアン・ジュベール エフゲニー・プルシェンコ
ジェフリー・バトル 織田信成 ジョニー・ウィアー エヴァン・ライサチェク
エマニュエル・サンデュー 小塚崇彦
*リラックスしたオフショットや少年時代の貴重な写真も満載!

■注目5選手紹介
アルバン・プレオベール 中庭健介他

■さらに注目! 国内外36選手紹介
南里康晴、セルゲイ・ドブリンから、羽生結弦、アルトゥール・ガチンスキーまで

■気になるあの人が男子シングルの現在と未来を語るインタビュー
藤森美恵子、リー・バーケル、田村岳斗、岡崎真、濱田美栄、薄田隆哉

「COLORS2007 フィギュアスケート男子シングル読本」あおば出版
2007年2月27日発売
定価 1900円+税
サイズ B5判 
オールカラー 128P

*同じくあおば出版の猫+俳句コラボレーション写真集『誰かいませんか』『逢いたくなっちゃだめ』(写真:板東寛司 選と文:青嶋ひろの)もこっそりおすすめです


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日本男子フィギュアスケートオフィシャルファンブック『Cutting Edge2007』発売中!

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 昨年に引き続き、日本男子シングルトップスケーター10名のインタビューと写真を収録したファンブック『Cutting Edge2007』が1月、発売されました(予定より大幅に発売が遅れましたことをお詫びいたします)。

CuttingEdge2007 日本男子フィギュアスケートオフィシャル ファンブック
ダイエックス出版刊
A4判
定価 1,890円(税込)

■インタビュー
高橋大輔 「氷の上に立つからには、ナルシストでなくちゃいけない」
織田信成 「なにごともスケート中心。その点は僕、すごいですよ」
中庭健介 「まだまだやりたいことはたくさん。今、スケートがほんとうに面白い」
小塚崇彦 「最後まで絶対にあきらめない。この気持ちだけは大事にしたい」
南里康晴 「欲しいのは力強さ。伸びたり縮んだり柔らかくなったり硬くなったり、自在な強さ」
神崎範之 「研究を続けながらフィギュアスケートも続けてこられた、そのことは僕の誇り」
無良崇人 「スケートをやめちゃったら、今の友達もなくなっちゃう。今の自分もなくなっちゃう」
柴田嶺   「リンクに立つときは、完璧じゃないとイヤなんです」
小林宏一 「もう、人のことは気にしない。自分のできることをやれば、結果は必ずついてくるから」
岸本一美 「期待をかけられること、早く演技見たいといわれることが、辛かった」

■荒川静香、日本男子スケーターのここをチェック! 
■応援メッセージ FROM 恩田美栄/本田武史 

 選手たちの考えていることや感じていることを知れば、演技の見方は変わるでしょうか?
 スケートだけを純粋に楽しみたい方には、オフアイスの素顔やオフシーズンの裏話など、ひょっとしたら邪魔になってしまうものかもしれません。
 でも、あのきらきらした演技を見せる彼は、氷の上で何を考えているのか? 
 どんな練習をしたら、あんなに気持ちのいいスケートを滑れるのか?
 彼らのスケートを見ていたら、色々なことを聞いてみたくなって、この本は生まれました。

 言葉と写真で伝えられることは、彼らの魅力のほんの一部にすぎません。
 インタビューを読んで「がんばったんだなあ」と感じたら、その何10倍、選手たちはがんばっています。
 「辛かったんだな」と感じたら、その何10倍も辛かったのでしょう。
 そして、「なんて素敵な選手なんだろう」と思ったら、その100倍、彼らは素敵な選手たちです。

『Cutting Edge2007』を読んだ方の心なかで、選手たちを応援する気持ちがちょっとずつでも大きくなるといいな、と思っています。

*女子シングルオフィシャルファンブックも、予定とは少し違う形になりますが、発刊が決定しました。
こちらも大変お待たせしてしまったことをお詫びいたします。詳細が決定次第、お知らせいたします。


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グランプリシリーズ終了 ファイナルに向けて(3)男子シングル

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 男女シングルに関しては、トリノオリンピック女子金メダリストの荒川静香が現役を引退し、男子金メダリストのエフゲニー・プルシェンコ、銅メダリストのジェフリー・バトル、女子銀メダリストのサーシャ・コーエン、銅メダリストのイリーナ・スルツカヤが欠場。男子銀メダリストのステファン・ランビエールもNHK杯を欠場するなど、トリノを熱くさせたスケーターたちのいないグランプリシリーズとなった。トリノでフィギュアスケートに魅了されたファンにとっては少し寂しく感じたかも知れない。しかし、今季のシリーズはバンクーバー五輪までの次世代スケーターたちを見比べる、非常に面白い大会だったともいえる。

 男子シングルは、フランスのブライアン・ジュベールがエリックボンパール杯とロシア杯を制し、一気にファイナル王者へと近づいた。今まではプルシェンコやバトル、ランビエールに隠れていたジュベールだが、五輪メダリストのいないグランプリシリーズで、ついに2大会完全制覇。ショートプログラムにて4回転+3回転のコンビネーションに成功。フリーでもトウループとサルコウの2種類の4回転と、4回転トウループ+2回転トウループのコンビネーションを決めるなど、アグレッシブに攻め続け、他を圧倒した。

 日本の高橋大輔織田信成は、ともにひとつずつ優勝と2位を獲得。
 織田が初戦のスケートアメリカで見せたのは、猫のように柔らかいジャンプと、細部まで気を配った演技だ。SP3位、フリーで1位に立ったライサチェクの追随を退け金メダルを獲得。NHK杯では風邪をひいて体調は最悪の状態だったが、ディフェンディングチャンピオンとしての意地を見せ、ジャンプやスピンを次々と決めた。ジャンプの流れを殺さない、膝を柔らかく使った着氷は素晴らしいの一言。織田自身も「満足できるスケートができた」と語るように、順位は2位だったものの、完成度の高い滑りでファイナル進出を決めた。ファイナルでは4回転ジャンプをプログラムに取り入れる意欲も見せ、さらに高いレベルへと挑む。

 一方、高橋のグランプリ初戦は、スケートカナダにて昨年の世界王者ステファン・ランビエールとの一騎打ち。SPで1位に立つも、SP7位のランビエールがフリーで驚異的な演技を見せ、わずか2ポイントの差で逆転を許した。NHK杯ではランビエール欠場により、またも高橋は織田との一騎打ち。スケートアメリカですでに優勝している織田に、負けるわけにはいかない、とばかりの気迫を見せ、ショート、フリー共に完璧に近い演技を日本のファンに披露した。スピンの回転数など課題は残るものの、見事NHK杯初優勝。4回転ジャンプ、そして上体は激しく動いているにも関わらずエッジが氷に吸い付くような完成度の高いステップ。これらは、グランプリファイナルにおいて、ブライアン・ジュベールの2種類の4回転に匹敵する武器になるだろう。

 そして、このNHK杯で注目を集めたのが、今年シニアデビューを果たした小塚崇彦。
 グランプリ初参戦のエリックボンパール杯ではショートプログラム11位と出遅れ、総合6位に終わったが、NHK杯でのショートプログラムは中国の4回転ジャンパー、チェンジャン・リーに次ぐ4位スタート。フリーではほぼノーミスの演技を披露し、風邪による体調不良とスタミナ不足で順位を落としたリーをかわして表彰台に登った。表現の面では未だ照れが見え隠れするものの、高いスケート技術を持つ小塚の今後に期待したい。

 ジュベール、高橋、織田以外にファイナル進出を決めたのは、エヴァン・ライサチェクアルヴァン・プレオベールジョニー・ウィアーの3名。初戦のスケートアメリカで完璧なフリー演技を見せたライサチェクは、中国杯で優勝し早々とファイナル進出を決めた。ブライアン・ジュベールと同じフランスのアルヴァン・プルオベールは、まるでアイスショーを見ているかのようなプログラムで一躍人気者に。このジュベールとプルオベールは、歳は1つ違いだが、誕生日が同じ9月20日。浅田真央もユナ・キムも9月生まれだ。偶然の一致に過ぎないが、グランプリファイナルは9月生まれに注目してみたい。

文/Niki Yamamoto 写真/Masami Morita(06年世界選手権でのエヴァン・ライサチェク)


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NHK杯男子シングル終了 高橋優勝、織田2位、小塚3位!(1)

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「フィギュアスケート、日本は男子もこんなに強かったんですか?」
 日本の3人が表彰台を独占したNHK杯が終了して、たくさんの人にそう聞かれた。
 そう、強かったんです。
 ランビエール不在、チェンジャン・リーの風邪、いくつかの要因が重なったとはいえ、全員がほぼノーミスでショートとフリーを終えた日本男子3人。海外の有力選手がいたとしても充分戦えていただろうし、大会前から期待された女子以上のエキサイティングな戦いを、3人の日本男子は見せてくれた。

 優勝した高橋大輔は4回転やトリプルアクセルの成功も素晴らしかったが、ジャンプ着地後すぐさま滑り出すスケーティング、そのスピードに圧倒させられた。ステップはいつも興奮を呼ぶ終盤のストレートラインだけでなく、中盤のサーキュラーからダイスケワールド全開。プログラムのどの部分にもすべてに思いを込めた演技で、今季最高の「オペラ座の怪人」を見せてくれた。
「でもジャンプは跳べたけど、スピンやステップは雑だった。そのあたりが今後の課題かなと思います。今回は相当疲れていて……ステップではもう、体が動いていなかったんですよ」(高橋)
 誰もが至福を感じた演技、本人はまだまだ満足していないようだ。

 試合前、声もかけられないほど緊張し、滑りだす前もガチガチの顔をしていた織田信成。いつものことだが、この人は音楽がかかった途端、別人のような安定した滑りを見せてしまう。
 コンビネーションで決めたトリプルアクセルももちろん素晴らしかったが、トリプルルッツ-ダブルトウで見せた信じられないほどの飛距離と、着地後の流れ。この人のジャンプは本当に絶品なのだと改めて唸ってしまう。
「こういう演技をいつでもできるって自信を、今はつけなくちゃいけないと思います。そんな意味でもNHK杯はいい大会になりました」(織田)Img_3655s
 脚上げのアップライトなど複雑な形も、スタンダードなポジションも。得意なスピンはどんな形でも速度を落とさない。ジャンプだけでなく技のすべてが端正で、ジャッジの評価も+1、+2が続々とついていく。
 ただ、マイムや派手な演技のない、クラシック曲の美しさを表現する今年のフリープログラム。まだまだ織田信成だけの魅力は出し切れていないかもしれない。今のところはコミカルな動きを交えたSPの方が彼本来の持ち味が出ているよう。しかし日々進化をやめない彼のことだ。世界選手権のころには、フリーでこそ、真のノブナリが出せる、そんなプログラムに仕上げてきてくれるだろう。

 3位の小塚崇彦は、先輩ふたり以上に、初めてのNHK杯を楽しんだのではないだろうか。
 序盤のトリプルアクセルを成功してからは、俄然勢いを増し、軽やかでなめらかな滑りには見入ってしまうほど。ほぼ確実に決めたジャンプ、評価の高いスピンやステップもさることながら、彼のプログラムで注目したいのは、採点されるエレメンツではない部分だ。ピアノの調べに乗り、後半にゆったり見せるイーグルからスパイラルへのムーブインザフィールドな